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異世界でニートは思ひに耽る  作者: かういん
7/9

5話

門外不出

 エイラシアン中央大陸の北西に位置するダリューノ地方。

 

 ここが我が故郷でもあり在住地である。



 朝食を済ませた私は、久々に外の陽の光を浴びている。


 ニートだからって、陽が弱点とかはない。外に出たらトラウマが再発もない。

 それは勘違いだ。外に出るのが難しいのはニートでもひきこもりでもなく、うつ病だ。併発する者が後を絶たないので間違っている人が多い。



 広い庭を数分歩くと内側城壁に差し掛かる。


 正門は常に開けっ放しだ。戦乱でない今は邪魔でしかない。


 城壁は2つある外・内。あと外城壁の外側にはお濠を備えている。


「おい、ニルトそろそろ出してくれ」


 カバンの中から声がするがあえて無視する。

 私は歩くのに忙しいのだ。


「ふざけるな。こんなかび臭い鞄に閉じ込めないでくれ」


「ひきこもりに権利はないのだ」


「それはお前だろ」


 一瞬出してやろうと思ったがやめることにした。


「冗談だから……出してくれ」


「仕方ない……」


 と鞄を開けて、中から一冊の分厚い本を出した。


「ふぅ、生きた心地がしないぜ」


「生きているのか、魔導書って……」


「物の例えだろ」


 傍らから見れば、宙に浮いた本と掛け合いをしている実に妙な光景である。


「もういいから、さっさと適当なモノに化けろ。じゃないと連れてかないぞ」


「仕方ネーな、ほらよっとっ」


 魔導書は、まばゆい光を放ちイタチのような獣に変化へんげした。


「これでいいんだろ」


「化けても獣だから、明らかに話すのはおかしいけどな」


「勘弁してくれ、ヒト型は疲れるんだ」


「致し方ない」


 半ば諦め口調で肩にのったイタチぽいものを連れ丘を降りてゆく。

 

 さっと気持ちの良い風が一瞬吹き抜ける。


 城下なら普通近くに屋敷や商家が点在するが、ここは砦そんなものはない。隣人ですら、結構な距離がある。


「ところで、今日はどこに行くんだ?」


「着いてからのお楽しみだ」




 百年前、戦略道として整備された畦道(あぜみち)


 農作業をしている人に、白い目で見られながら歩いてゆく。

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