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異世界でニートは思ひに耽る  作者: かういん
2/9

1話

経済で読み解きたい異世界史

 時は金なり


果たして本当にそうだろうか……



「当たり前だろ、なにブツブツ言ってんだ」


 親父が半分キレ気味に喰いかかってくる。

 へぇこの世界でもこの理屈はあるのか、どこの世界も反応は同じだな。

 ここでまず押さえておかなければならないのは、原点である。


【時は金なり】

意味:時間はお金と同等にレアなものだから、無駄にしてはいけないという戒め。

由来:ベンジャミン・フランクリンが1748年、若者に向けて放った言葉「Time is money」


 労働者は一日10シリングを稼いでいたが、一日の半分は汗水流して働くも、残りの半分は何もせず過ごしていた。


「これでは、10シリングの半分の5シリング分しかもらう価値がない。残りの5シリングは捨てるか無駄遣いをしているかに等しい」


 と語ったのが「Time is money」の原点だと「Advice to a Young Tradesman」という自伝に記されている。


 要約するに寝る以外の半分を、お金を稼いでいないから無駄遣いと断じている。


 別の視点で言うなら1748年、北米開拓時代における通貨は潤沢になかった。


 モノを通貨として代用する物品貨幣が広く流通するも、モノであるためにかさばったり供給制限があるという物質的限界を要していた。そこで印刷業のベンジャミン・フランクリンらは信用手形を発行するに至る。


 これが欧米初の政府紙幣のはじまりである。


 こういう流れを見ると、なんとも利得がらみのぷんぷんするきな臭い言葉に聞こえるから不思議である。




 さて、最初になぜニートでないかについて、説明しそこなったのでこれからその話に移ろう。

異世界この世界では、魔法や召喚が存在する。もちろん異世界転生もだ。

魔王も勇者も魔物も存在する。

 いわゆるファンタジーのキホンは備えている。

 

 現代の社会環境と違うのは理解していただけるであろう。

 

 例えば、このトウモロコシぽい食べ物。

 現代社会なら、有限であるため先に言った物品貨幣(※1)として使用されることもある。

しかし、ここは現世中世とは違う異世界である。


 ユニークスキル・魔法etcやチート・無双、魔物という存在は経済破綻を起こしやすい構造を抱えていた。


 つまり、モノは無限に増え続ける問題を大いに残す。増えすぎたモノに対して、金はどうなるか? 足りなくなる……、では新たに金を創造するのか。

 それとも、物品貨幣か。とはいかない、なにせ無限に増える可能性が短期的にあるからだ。

ならば、どうなるか。


 世界は大いに混沌広く混乱した。



 皮肉にも世界を救ったのは勇者召喚であった。


 結論から言えばこの世界は、転生者がお金の役割を果たすことになる。


 

 金ニートの誕生である。



 詳しくは、また次の機会に……

※1、物品貨幣とは、時間の経過とともに腐ってしまう食べ物や壊れやすい消耗品などは、通貨として不都合。そこで、劣化・価値低下しにくいモノである貝殻・鉱石・布・乾燥穀物などが通貨として使われました。これを、物品貨幣といいます。

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