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第40話 練習

 俺がパーティに参加してから毎日、授業時間のほとんどをつかい、『絆』は連繋の確認をした。


「スライム二匹とスモールバット一匹!」


 実技棟にルークの声が響く。

 彼が口にしたモンスターが出たなら、それぞれがどう動くか、まあ仮想練習だね。

 

「スモールバットに攻撃!」

 

 俺の声を追うように、背後でコルテスの声が続く。


「おいらは、ええと、スライムに攻撃!」


 一拍遅れて、イニスの声がする。


「あっ、ごめん、スライムにストーンバレット」


「生き残りに弓!」


 俺が参加してから、リンダは武器を短弓クロスボーに代えている。

 これは横向きの弓で、引き金を引けば短い矢が飛ぶようになっている。

 今は構えるだけで、矢は撃たないんだけどね。


「うーん、まだまだだね。

 意識せずに反応できるようにならないと、ダンジョンでは使えない」


「もう、ルークは完璧主義なんだから!」


「イニス、そんなこと言って、君が一番できてないよ」


「なんですって!」


「ほらほら、二人とも落ち着いて」 


 ルークとイニスの口喧嘩をコルテスがなだめるのも、彼らの「連繋」らしい。


「グレン、君の友達は魔術師なんだろう?」


「ああ、ルーク、生活魔術しか使えないけどね」


「きっと、凄い魔術が使えるようになるとおもうよ。

 校長に個人授業してもらえるんだから」


「イニス、なんでそう思うの?」


 少女にしか見えない、エルフ校長の姿が頭に浮かぶ。


「グレン知らないの?

 あの校長、凄い魔術師なんだよ。

『魔女ルシル』といえば、『剣と盾』の後衛で有名なんだから」


 あれ? 聞いたことがある名前が出たぞ。


「えっと、『剣と盾』って、凄いの?」


「勇者がリーダーをしていた伝説のパーティよ!」


 なぜかイニスが得意げだ。

 しかし、ゴリアテのおっちゃん、そんなパーティに入ってたの!?

 だけど、そのパーティって、メンバー濃くない?

 勇者にはまだ会ったことないけど、おっちゃんと校長だよ!


「あ、そうだ!

 実技試験があるって聞いたけど、なにするの?」


「えっ? 

 グレン、まだ聞いてなかったの?」


 丸顔のリンダが目を丸くする。


「聞いてないよ」


「クレタンダンジョンの何層まで降りられるかで、成績が決まるんだよ」


「へえ、そうなんだ」


「できれば第五層まで降りたいけど」


「どうして?」


 俺の質問にルークが答える。


「第五層まで降りると、銅ランクがもらえるんだ」


「銅ランクって、ギルドの?」


「そうだよ」


「なんで銅ランクになりたいの?」


「鉄ランクから銅ランクになるのに、普通ならめんどくさい採集依頼や、街中のゴミ拾いなんかしなくちゃいけないんだ。

 それに銅ランクになれば、ギルドの朝食がタダになるし」


 えっ!?

 依頼をこなしたポイントが溜まれば、そのまま昇級するんじゃなかったの?

 依頼の種類にも条件があったのか。

 だけど、一番まずいのは、俺がもう銅ランクになってることだね。

 みんなには、黙っとこう。


「私、朝ごはんのために頑張る!」


 リンダが両手を握りしめて気合いを入れている。

 それ、なんか間違ってると思うよ。







 

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