表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/181

第37話 美少女校長とチューニャビー

 授業が終わると、生徒たちにとり囲まれた。


「ねえ、どこから来たの?」

「ダンジョン行ったことある?」

「魔術使える?」


 ブロンドの髪を肩まで伸ばした、真面目そうな背の高い少女が、俺の左目を指さす。


「それ、どうしたの?」


 ああ、この眼帯が気になるんだね。

 

「カッコイイでしょ!

 昨日買ったんだ」


「ええっと、目が悪いわけじゃないのね?」


「別に悪くないよ。

 プーキーって人の魔道具屋で買ったんだ」


「「「プーキーの魔道具屋……」」」


 なぜかみんなの声が揃う。

 そして、なぜか周囲にいた生徒たちが誰もいなくなった。

 なんでだろう?


 ◇


 厩舎のような場所に預けておいたピュウを連れ、学校の二階に上がる。

 一番奥の部屋が校長室だと聞いている。

 

 ノックをすると鈴を転がすような声がした。


「どうぞ」


 扉を開けると、窓際の大きな机に、声に似合った少女が座っていた。

 緑髪を三つ編みにした少女の耳は長く、ある種族の特徴を表していた。


「エルフ!?」


「グレン、失礼よ!」


 そう言ったのは、白いワンピースを着たミリネだ。

 彼女は机の横に置かれた、木の丸椅子に座っていた。


「校長のルシルだ」


 どこか魔道具屋のプーキーさんに似た、エルフの少女がそう言った。


「ピューッ!」


 いつもは静かなピュウが、なぜか一声高く鳴いた。


「えっ!?

 エルフ美少女が校長?」


 よく見ると、少女は左目の瞳が緑、右目が銀色だった。


「オッドアイ、キター!」


「こやつは、いつもこうなのか?」


 エルフ少女が、困ったような顔でミリネに尋ねる。


「時々、変なことを口走りますね」


「ふう、なるほど。

 だが、フッカのやつがこやつを私の所に送ってきたのは正解だな」


 銀色の右目がキラリと光った。


「異世界から来た少年と、変化へんげした――か」


「――」の部分は、小声でよく聞き取れなかった。


「えっ!

 異世界?」


 俺より先に、ミリネが驚いている。


「ミリネ、なんで驚いてるの?

 俺が異世界から来たって、前に話したよね!」


「えっ、あれ本当だったの?!」


 校長は、俺たちの会話を無視すると決めたようだ。


「お前、レベルがやけに高いな。

 それにユニークスキルを持っている」


「えーっと、レベル36って、何かの間違いですよね?」


「間違いであるものか。

 全てを見通す、私の『真実の魔眼』にかかればな」


 校長は銀色の右目を指さした。


「はい、キタコレ、魔眼キター!」

 

「また、訳の分からんことを。

 しかし、小僧のユニークスキル、私が読めなかったのは初めてだ」


 いや、読めなくていいから。

 

「しかし、お主、その眼帯は……アヤツの作ではないか」


「ええと、魔道具屋のプーキーさんをご存知ですか?」


「恥ずかしながら、あれは私の妹だ」


 やっぱり!

 エルフだから似てるわけじゃなかったんだね!


「特殊な嗜好しこうの者向けに我が一族の高貴な能力を使う、どうしようもないヤツでな」


 特殊な嗜好?


「なんでも、『チューニャビー』とかいう趣味らしいぞ」


 それを聞いたミリネが、すぐさま口をはさんだ。


「あっ、聞いた事あります!

 そういえば、グレンが時々する行動って『チューニャビー』みたいです」


「おい、お前!

 プーキーの店に行ったのは、そういう趣味なのか!?」


 だから、どういう趣味よ!?


「グレン、『チューニャビー』っていうのはね。

 使えもしないのに魔術を唱えたり、ありもしない呪文を唱えるふりをして悦に入る趣味を言うのよ」


 ミリネが説明してくれる。

 んっ!?

 もしかして?


「なんでも『チューニャビー』って言葉は、異世界出身の勇者様が残した言葉らしいの」  


 間違いない。

『チューニャビー』って、「中二病」がナマった言葉だ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ