第36話 冒険者学校
異世界の学校も地球のものと変わらないと思っていたけど……全く違いました!
なんか建物が小さい。そして古い。
木造二階建ての洋館なんだよね。
教室が狭いのは分かるのだけど、これって部屋の壁を取り払っただけじゃないかな。
木で作った粗末な長机が四つ「==」型に並んでいて、そこに十人余りの生徒が着いていた。
何人かは耳の形が違うから、別の種族もいるようだ。
知っている顔はなかった。
ちなみに、ミリネは一人だけ別枠で校長先生から魔術を教えてもらっているらしい。
すっごく特別扱いされてるよね。
そんなことを考えていると、メイド服っぽい紺色のワンピースを着た、少しふくよかなおばさんが、俺の紹介を始めた。
「みなさん、静かにしてださい。
こちら、今日からこの冒険者学校に入ることになったグレン君です。
グレン君、さあ、あそこの机に座ってください」
先生は、耳の形が違う生徒が三人座っている長机を指さした。
えっ?
自己紹介とかしなくていいの?
「ええと、どこまで話していましたか?」
「「「ダンジョンモンスターです!」」」
ふうん、みんな真面目な感じだね。
よそ見とかしてる子はいないんだね。
「そうでしたね。
みなさんも、もうすぐ実習がありますから、モンスターの特徴をしっかり覚えておきましょう」
「「「はい!」」」
「では、おさらいも兼ねて、ここまで習ったことを確認しましょう」
ぽっちゃりしたおばさん先生は、角柱型の白いチョークらしきものを手にすると、黒板にさらさらとモンスターの絵を描いた。
なんだこりゃ!
絵がやけに上手い。
この人、アーティストか?
「このモンスターは何でしょうか?」
「「「スライムです」」」
生徒の声が揃う。
なんか小学校っぽいぞ。
「そう、マネル君、スライムの特徴は?」
「弾力があって、跳ねてぶつかってきます。
ニ三匹が同時に現れることが多いです」
「はい、よくできました。
では、注意点はなんでしょう?
ソルネさん」
「時々、色の違う特殊個体がいます。
弱いモンスターだからと油断していると、毒を持っているものもいるから危ないです」
「素晴らしい答えです。
ダンジョンでは一瞬の油断が死に繋がります。
みなさん、そのつもりで授業を受けてください」
「「「はい!」」」
なるほど、みんなが真面目に授業を聞いてるのは、自分の命が懸かってるからか。
先生はそれから何種類かのモンスターを紹介した。
その中には俺が戦ったことのある、スモールバットやゴブリンもいた。
「最後に、このモンスターは何でしょう」
先生が指差したのは、豚の顔をした人型のモンスターだった。
「「「オークです!」」」
「そう、オーク。
クレタンダンジョンでは、第二十階層のボスとして有名なオークです。
身長が二メートルはあり、力が強く、見かけによらず俊敏です。
魔術学院が最近発表したところによると、今まで考えられていたよりずっと知性が高いそうです。
銀ランクの冒険者が三人以上で戦う、強いモンスターです。
タロワさん、もしダンジョンでこれに出会ったらどうしますか?」
「逃げます」
「はい、正解です。
自分が対処できない敵に出会ったら逃げる。
このことを忘れないでください」
「「「はい!」」」
あれ? この前、第二十層で倒したのって、あれに似てたけど、きっとオークじゃなかったんだね。
そんな強いモンスターに俺が勝てるはずないもんね。
授業が終わると、ぽっちゃり先生から声を掛けられた。
「グレン君、校長がお呼びです。
放課後、従魔を連れて校長室に行くように」




