表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/181

第22話 これからのこと

 ◇ ― ミリネ ―


 今日グレンと一緒にダンジョンに行って、気づいたことがある。

 彼は何か特別なスキルを持っているのではないかしら?

 父さんに聞いたのだけど、私が客車の下敷きになっていた時、そして死にかけた時。

 誰かの、そして何かの力が私を救ってくれた。


 それだけではない、フォレストボアを焼き尽くした炎。

 ダンジョンで黒いフクロウを治した光。

 そして彼に魔術を教えた時、一度だけ現れた火球。


 全て、彼がいる時に起こっている。

 もしそうなら、ダンジョンを攻略することで、きっと彼のスキルがレベルアップするだろう。


 冒険者ギルドに行って、あの方に頼めばいいのかな。

 しかし、私にはそれができない。

 なぜなら、父さんから、人が多い場所に行くときには、必ずフードを被るように言われているからだ。

 いくらなんでも、フードをしたまま頼み事はできないだろう。


 グレンがもっとしっかりしていたら、彼自身に任せればいいのだけれど。

 どうしようかしら。


 ◇ ― グレン ―


「ねえ、ミリネ、ピュウの事で凄いこと見つけちゃった」


 俺は黒フクロウを『ピュウ』と名づけた。

 なぜなら、「ピュウピュウ」と鳴いていたからだ。


「あんた、また、えらく適当な名前つけたもんね」


「えーっ、可愛くない?」


「どこがよ?」


「可愛いよねー、ピュウ、ピュウ、痛っ!」


「ほら、あんたの手をつついてるじゃない。

 嫌がってない、それ?」


「そんなことないよ!

 それより、凄いこと見つけたんだ!」


「なに?

 今、忙しいんだけど」


「俺の右手見てよ」


「それなに?

 前から気になってたんだよね。

 もし、奴隷紋だと可哀そうだから、訊かなかったけど」  


「たぶん……奴隷紋じゃないよ?」


「なんで自信が無いのよ!」


「とにかく見て見て、ピュウのここ」


 俺はピュウの足を指した。


「あれ?

 足の付け根に紋章があるわね」


「そうでしょ!

 しかも、色も同じ青!

 すっごくよく似てるんだ!」


「確かに、あんたの紋章とほとんど同じに見えるわね」


「俺たち、巡り合う運命だったんだね、ピュウ、痛っ!」


「ピュウは、あんたと同じだってこと、嫌がってるんじゃないの?」


「そんなことあるはずないじゃん!」


「どうかしら?」


「とにかく、ピュウが元気になったら、またダンジョンに行くよ!」


「……」


「どうしたの?

 もう行きたくない?」


「今すぐには返事できないわ。

 とにかく、ダンジョンに行くなら、私の事は期待しないでちょうだい」


「えーっ……」


「もの欲しそうな顔をしてもだめ!

 私、忙しいの!」


「なにもしてないじゃん」


「なにか言った!?」


「いいえ、言ってません」



 ◇ ― ???(ピュウ) ―


 この少年、我を助けてくれたのはいいが、この娘の尻に敷かれておるようじゃな。

 しかし、我がこやつの手にある紋章をつついたのに、まだ気づかぬとは、よっぽど抜けておるのか?


 だいたい、母者ははじゃはなぜこのような人族になど紋章を授けたのか?

 いくら考えても分からん。


 レッドマウンテンまで飛べば、母者がなんとかしてくれるのだろうが、このからだでは、街の中を飛ぶのがせいぜいだ。

 下手をしたら、この前のようにレザーイーグルのエサにされかねん。

 くそう、そこまで考え、ヤツは我に術を掛けたのかもしれん。

 油断ならなんヤツよ。


 しかし、あの獣人の娘、どこかで見たような覚えがあるのだが……。

 人族にしても、獣人族にしても、それぞれがよう似ておるからのう。



























評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ