第168話 決戦の地(1)
投稿分を間違えていました。
ということで、今回は、三連投です。
カフネが姿を消したことについて、なんの説明もされないまま、俺たちは野営地を出発した。
そして、日が高くなる前に、『西の関』が見えてきた。
衛兵の姿は見えない。
あれ?
国から出る時は、門番がいないのかな?
門は自分たちで開けろってこと?
俺がそんなことを考えているうちに、馬車が門の前に停まる。
そして、やはり一人の衛兵も姿を現さなかった。
御者席から降りたゴリアテが扉を押しているが、魔術的な仕組みがあるのか、それとも向こう側から何かで押さえているのか、門は開く様子がない。
ルシルがお得意の火の玉で門を破壊するかと思ったが、彼女は客車の前室から出てこなかった。
ガオゥンとゴリアテというマッチョ二人が門に挑んだが、それでも無理だった。
白いワンドを手にした、フォーレが前室から出てくる。
彼女は、ミリネに微笑みかけると、そのまま外へ出ていった。
キンッ!
そんな音がしたので、門の方を見ると、両脇の柵ごとそれが凍りついていた。
えっ? フォーレさんがやったの?
どこから取りだしたのか、巨大なハンマーのようなものを手にしたガオゥンが、フルスイングでそれを凍った門に叩きつけた。
ガシャーン!
ガラスが割れるような音がして、巨大な門が粉々になる。
森の外に広がる草原が見えた。
ガオゥンは、道に落ち、邪魔になりそうな欠片を、ハンマーで粉々にしていく。
あっというまに、馬車の進路がひらけた。
フォーレとガオゥンが客車に戻ってくると、馬車が進みだす。
二人はミリネの両側に座った。
フォーレがミリネの右手を、ガオゥンが右手を彼らの手で包みこむ。
突然のことで、ミリネは驚きと戸惑いの混ざった顔をしている。
俺は、三人の姿を見て、胸が熱くなっていた。
しかし、そういった想いにひたる間もなく、唐突に馬車が停まる。
隣に座るキャンにぶつからないよう、窓枠にしがみつく。
客車の前室からルシル、マール、そしてラディクが出てくる。
「グレン君、ここまでよく頑張ったね。
私たちの事情に巻きこんでしまって申し訳ない。
全てが終わったら、改めてお礼を言わせてほしい」
マールとラディク、そして、あのルシルまでが俺に頭を下げている。
そして、三人は、黙って客室から外へ出ていった。
なんだこれ?
「グレン、あれ見て!」
キャンが俺のコートを引っぱる。
窓から顔を出すと、進行方向にめちゃくちゃ見たくないものが……。
それは、草原を埋め尽くすほどの白ローブたちだった。
あの数、いくら勇者たちでも、無理だよね。




