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物思いに耽る彼女が無意識に毛むくじゃらな触肢を動かせば、ギチギチと軋むような音を立てて見たくもない鋏角が現れる。
―嗚呼!なんて醜い!!
苛立ちをぶつけるように、脚を水面に叩き付け水底の岩ごと凪ぎ払えば、飛び散る水飛沫に混じった礫が強か彼女に打ち付けるが彼女の外殻には傷の一つさえ付かないのだ。
―妾の欲しいのは、これじゃない……
彼女が欲しいのは
―……何だ鬱陶しい。
―嗚呼、腹立たしい。
―あれらを喰べて、気を紛らわせよう。
足音も無く、彼女は獲物へ向かっていく。
彼女の姿はオニグモを更にゴツくした感じ。




