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第三話

椰子の林を抜け、砂浜に出ると果てなく続く水平線。

他に視界を遮るものは何もなく、ただ広がる海の青を眺めながら

「素晴らしい。実に素晴らしい! これこそ理想的なリゾートだ」

と、ロバート・マクダウェルは満足気に呟いた。

恰幅のいい体にアロハシャツを身にまとい、白髪の間からところどころ地肌が見える。

まばらな白髭をたくわえたこの男が、リゾート開発会社の社長だと気づく者は少ないだろう。

何度も素晴らしいと目を細めるロバートに

「では社長、次はここにリゾートホテルを建設ということで」

この海には似つかわしくないダークスーツに身を包んだ男が聞いた。

「そうだな。いいかもしれん」


「ちょっと待ってください」

突然声を荒げたのは、開発責任者であるジョン・スレイターだ。

「何かね。何か問題でも?」

くわえた葉巻の煙をくゆらせ訝しげに尋ねるロバートに、ジョンは

「これ以上の開発はこの島に必要ないと思われます。 これ以上は環境破壊ともなりかねません」

と申し出た。

「環境破壊?今さらかね」

鼻で笑うロバートに

「最初に島民との約束で、必要以上の開発はしないことになっています」

さらにジョンは食い下がった。

「島民が何だと言うんだ。結局奴らは金を選んだんだぞ。

金さえくれてやれば何も問題はあるまい」

「しかし!」

詰め寄ろうとするジョンをダークスーツの男が遮った。

「いい加減にしたまえ、ジョン。我々のボスは彼だ」

「君が反対するならそれも良かろう。

だが、君の代わりなどいくらでもいることを忘れずにな」

くわえていた葉巻を砂浜に投げ捨てると、

ロバートは見下した目付きでジョンに言い放つ。

ロバートの言葉に力なく肩を落とすジョンの頬を、

南国にしては珍しいくらいの冷たい風が吹きつけた。




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