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第三章:私が好きになれない人ができたのを知っていますか?

 梅雨がすぎて、前期期末試験の少し前になったタイミングで私にどうしても好きになれない人ができた。彼のすべてを愛する覚悟もあったし、つい最近まではそれは事実だった。彼が望んだことは全部してあげたかったし、彼が死ねというなら死ぬ覚悟もあった。ただ彼に彼女ができた。

 彼女は同じクラスの子で、私よりも馬鹿で成績もよくなくて中間も再試ばっか。性格は軽すぎる。私から言わせれば、ただの尻軽で他の男の子にもべたべた触るその女に負けたことが許せなかった。彼を騙したあの女が許せない。彼のことは私が一番わかっているはずなのに。

 私は自分の気持ちに収集をつけるために、こう思うようにしている。

『彼は運命の人との恋愛のために準備をしている』

 のだと。その運命の人は多分私だ。だって、桜の木の下、学校が始まる前に彼と偶然出会ったのは私だけだからだ。でも、それでも腹が煮えくり返るほど彼女に腹立つのは否めないのである。


 異変に気が付いたのは彼の行動が変わったからである。いつものようにトイレに行こうとする。そのタイミングで彼が教室に入ってきた。驚きを隠せずじーっとみているといつも席の仲間に一言挨拶すると、後ろの方の席に一人で座った。なんだろうと思っているうちに授業が始まってしまった。授業が始まって数分経ってから、一人の女の子がバレない様に教室のドアをスルリと教室に入ってきた。すると、彼の横に座ったのだ。それから彼と彼女がべらべら話すのが聞こえてくる。正しくはずっと話すのは彼女だけで、彼はうんうんと聞いてげているようだった。内容はわからないが明らかにインテリジェンスを感じない、その話し方に私はすごくイライラした。

 その品のない会話は授業中だけでなく、休み時間もひたすら続く。うざったいのは授業中は見えなかっただけかもしれないが、彼女は休み時間は彼に寄りかかったり手をつないだりとべたべたしなが彼の時間を奪っている。目障りで彼が十分に見えなくてイライラする。


 最も腹が立つのは彼女が彼の家に出入りしていることだった。彼が自転車を押しながら家に向かっていく。彼女はその横を歩いて、彼のアパートに消えていく。大学生にもなればきっと家まで行ってすることなんて、性行為だし彼と一つになっているなんて絶対に許せない。彼の闇を知っているのは私だけなのに……。

 なんで彼は私とは交らわないのにあんな低能女とともに時間を過ごすの? やっぱりおっぱいが大きいから? テクニシャンだから? 風俗などに行くのが面倒だったり節制したいと思ったりしてるから?

 私だって、別に小さくはないし、むしろ大きい方だよ? 経験はないけど、あなたのためならたくさん勉強してすぐに上手になってみせるよ? 私だってお金はいらないし、あなたのそばであなたのしたい時にいつでも相手してあげるよ?

 だから、なんでそんな女とまた今日も身を重ねるの? 私がいるのになんで……。

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