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第十章:意気地がないあなたを嫌いになれないのを知ってる?

 彼とのLINEは尽きない。話は一転二転してまた戻ってくる。何度も同じような話をして、楽しくて嬉しくてやっぱり私は彼が好きだと何度も思い直して、そしてとんでもなくウザかった。

 なぜそんなにも別れたいと言うのに、別れないのだろうか? 彼と趣味の話をするのは楽しい。多分、付き合えば実現するような、一緒に好きなアーティストのライブに行ったり、ちょっと変な趣味の美術館巡りをしたりそんないつになるかわからない予定ばかりが積み重なっていく。そんな明るい話の直後にまた恋人の不満談がでてくる。話の流れ行きもいつも同じ


「どこどこに行きたい!」

「木本君、行こうよ、いつか」

「やった! 佳子ちゃんは優しいね」

「まぁね(テレ顔の顔文字)」

「あいつも、それくらい優しければいいのに、いっつも自分の行きたいところ、やりたいことだし」


 みたいな今、LINEを振り返ってみたら、こういう流れが一週間で三回はあった。何度も話を変えてみても収束先はいつも恋人の愚痴。こういうときにどうすればいいのかわからないのは自分が運命の相手を探し続けるばかりに恋愛をサボってきたからだとわかっているが、辛いものは変わらない。

 ……ただどんなにうざったいって思ったってあなたを嫌いにならない。それどころかそういううざったくて嫌いな部分もどんどん好きになっていく。募っていくばかりで、心から出て行かない思いは私をパンクさせようとする。流れ出した思いを自分に戻すので精一杯になる。言ってしまいたくなる。

「もう別れなよ」

 とか

「あなたに彼女はふさわしくないよ」

 って

「私が一番あなたをわかってる。だから、私こそがあなたにふさわしいの」

 言葉は文字列となって、のどまではやってくるが彼のもとへは届かない。まるで胃酸が逆流したのに吐けないときの様に、吐いたときのスッキリ感はないくせにのどがアツく焼けるこの最悪の感覚に浸っていた。

 なぜ口から出せないのか……きっとそれは確証がないからだと思う。彼にそう言って受け入れてくれるかどうか、そのまま私を必要としてくれるという確証がない。私は思うんだ。そんなに別れたいのに、そんなにイチャイチャするのはなぜもっと嫌なら嫌で彼女に表現すればいいのに。それじゃあ、まるで……「別れたくない」みたいじゃない……。

 ねぇ、なんであなたは私に相談をするの? 結局、私はあの女と付き合う時に生じるストレスの発散に使われているサンドバックなの……? そんなことをするなんてひどくない……? 私の思いはどうなるの? 本当は私の思いなんてとっくに気が付いているんでしょ、なんでそんなことをするの……教えて……。

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