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夜を駆ける魔

作者: 茶山の狸



ちょいとそこ行くお姉さん。少しいいかな?何、怪しい者じゃない。と言ってもこんな夜の、それも誰もいない路上だ。警戒するのは仕方ない。少し話を聞いてもらいたいだけだ。え?嫌だって?困ったな……今近くにいるのが貴女しかいないのに、結構急がないといけない事なんだ。なぁ頼むよ、この通り!どうかお願いします!……お、話を聞いてくれるって?良かった。じゃあ話すよ?


ある所にさ、1人の半不死身の男がいたんだ。どうして半かって言うと、男の不死には欠陥があってね、30日に一度、30日目の夜の午前2時から午前2時10分の間に人の新鮮な心臓を食べないと不死を保てないんだ。ん?こういうホラーでスプラッタな話が苦手だって?ごめん、少しの間だけだから我慢してくれないかな?……そう、ありがとう。それでね、その男は今までのようにその日も心臓を食べるはずだったんだ。男にはさらに制約があってね、その時間以外に食べれば死んでしまうんだ。でも捕まえておけば大丈夫と思ってたんだけど、いざ午前2時になったから食べようと閉じ込めておいた所に行くと捕まえてた人が舌噛んで死んでたんだ。慌てて心臓を取り出してみるけど、もう新鮮とは言えなくて。仕方ないから急いで代わりを探しに出たんだ。けれども、そんな時間に人はまずいない。家に押し入れば?残念だけど殺していいのは1日1人だけ。見られてもいけない。制約だらけの不自由な不死なんだ。でも死にたくないから必死になって探したんだ。時間は刻一刻とタイムリミットに近づいている。もう駄目かもしれない、と思いつつも探したんだ。


偶然か、神の思し召しか、人が見つかったんだ!たった1人、周りに人もいない。まさに打ってつけの人が!……何?今何時かだって?今は午前2時9分だよ。どうしたんだい、そんなに震えて?また質問??どうして自分にそんな話するのかって?何でって、そりゃ。


「自分の死ぬ理由位、最期に教えるべきだろう?」


トスっと、容易く自然に男の右手が女の左胸に抉り込む。一瞬、痛覚を感じる前に女は絶命。引き抜かれた右手には掌ほどの肉塊。男はそれを貪り喰う。


「ふぅ……ありがとう。ごめんね?まぁ事故に遭遇したと思って諦めて」


男はニヤリと笑いかけ、足取り軽く去って行った。




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― 新着の感想 ―
[一言] 半分読む前になんとなくオチか読めてしまったのが残念。 語り口や半不死の設定は面白かったです。
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