その6
連載にしてみたけどどうですかね? コレジャナイ感のする作品になってないといいんですけど。
「これが今回の報酬です」
「わーい! ありがとうナタリア!」
「それと美香様、昨日のトロール討伐で見付けた棲み家にあったものですが、持ち主不明のものが判明致しましたのでご確認頂けますか? 不要なものは此方で買い取りや引き取りも致しますので」
「あ、もう分かったの? それじゃ見てみるね」
今日も依頼をこなし冒険者ギルドで報酬を受け取っていると、昨日のトロールの棲み家にあった遺品などの整理が完了したらしい。
殆どの人間がギルドカードなど何らかの身分証を持っているので持ち主の確認は容易だ。
もし、何らかの理由でギルドカードを紛失していても血液が登録されているのでギルド所有の道具を使えば問題なく個人の特定ができるのだ。
この道具は他にも領主などの権力者が持っているだけで一般には出回っていない。
ナタリアがお仕事中なのでリックに案内され、奥の部屋に行き荷物の引き取りを行う。
みんなでいるものといらないものを決めて、後はギルドで買い取ってもらえるものは売って、だめなものは引き取ってもらうことになる。
「うーん、やっぱり損傷の激しい装備が多いね」
「マジック鞄やマジック水筒はもっといいの持ってるし、買い取ってもらいましょ」
「あっ、それとかもらった方がいいんじゃない? 孤児院に寄付したら喜んでもらえると思うよ」
「そうね! さすが美香だわ!」
殆どの装備品は損傷が激しく使い物にならなそうだ。短剣とか矢で使える物はもらっとこう。
マジック鞄は容量10kgや30kg程で私達が使ってる物の方が容量も大きいし時間停止も付いてるし品質がいい。
比較的綺麗で容量が大きいものは少しもらおうかな? 孤児院の先生にあげよう。
それからマジックピッチャー(魔石式)も貰っとこう。水の魔石で幾らでも水が出てくれるから便利なものだけど、改良して入れた飲み物がずっと出てくるようにしようかな。
改良すると魔力式になるから魔石じゃなく魔力によって使用するようになるけど、子供達も喜ぶだろうな。
悪ガキ共を思い出して少しイラッとした。ちょっとあげるの止めようかとも思った。
けど、最近はみんな大人になったのかイタズラもしなくなってきたし、やっぱあげようかな。
ミリアは浮浪児だった所を院長先生に拾われ孤児院で育った。本人は親のことは覚えてないそうで孤児院での記憶しかないらしい。
回復魔法が使えることが分かると神殿に引き取られたがその間もずっと孤児院に仕送りをしていたらしい。
何度言っても家に帰してくれなかったことやエロ爺のキモい視線に腹が立って今でも神殿は大嫌いらしい。
やっぱりこの世界でも腐ってる神官がいるらしくて、無料で人々を助けるのがマトラー教(ソルダース王国や周辺国は一神教で信仰している神様はマトラー神だけ)の教えなのに対価に金銭や体を要求する者もいるそうで...
ミリアが大嫌いなエロ爺はこれをしてるらしい。...そりゃ嫌うわ。
道具には普通の道具の他にマジック道具というものがあるんだけど、これには魔石式と魔力式があるんだ。
魔石式は水魔石とかその魔石の中の魔力を消費して使用するもので、魔力式は自分の魔力を流して使用するんだよ。
前者は魔力が全くない人でも使えるけど効果が限定的というか、シンプルな道具になっちゃうんだよね。
後者は使用者自身の魔力が必要だけど、より複雑だったり効果が高い道具が使えるんだ。
っといっても色んな研究者が頑張ってるから高性能の魔石式道具や魔力がない人でも使える魔力式ってのもあるらしい。超・高級品だけどね。
実は私料理Lv8のスキルを持ってます! これってすごいんだよ、スキルって5以上で一流だからLv8は王宮料理人くらいの腕ってことです!
そんな私が作ったものをピッチャーに入れ、ミリアに付与で[保護]を掛けてもらえば魔力による補給があれば永続的に使える飲み物ピッチャーが作れちゃうのだ!
料理Lvが高い私が紅茶でも何でも作れば普通の人が作ったものより美味しくなるんだよ!
ミリアの付与Lv5だと1年持つかどうかくらいかな、それでも便利だよね!
魔力補給がなくなっても使えなくなっちゃうけど、また魔力入れれば再使用できるし。付与が切れちゃってもまたミリアが付与すればいいんだし。すごいよね!
因みにこの付与道具って結構高いんだよ、それを自分達で作れるってすごいでしょ! これだけでも生活してくだけのお金稼げちゃいます!
それにマジック鞄だってミリアは自分で作れちゃうし。
今使ってるマジック鞄もミリアが付与してくれた物なんだよ。リリアーナが作ってくれた鞄に付与してもらったんだ!
手芸Lv6のリリアーナが作った鞄は水竜の皮を使った水色の光沢があるウエストポーチです。
水竜の柔らかい部分の皮を使ったから手触りは滑らかで防水加工バッチしだし、ベルトには硬めだけど細かい顔付近の皮を使ってる。後火の宝玉を2つベルトとの繋ぎ釘に埋め込み見えないようにしてる。
火の宝玉はルビーみたいな丸い石でビー玉くらいの大きさなんだ。その中に火を詰め込んだのか、炎が燃えているように見えてとても綺麗なんだよ。これは魔石よりずっと多くの火の魔力が詰め込まれてるんだ。他にも水の宝石とか色々種類があるんだけど。
そんなすごい素材を使った鞄のその能力は[火属性攻撃20%防御、雷属性攻撃10%防御、水属性攻撃20%防御、水属性攻撃30%増加、火属性攻撃30%増加、水中呼吸10分]というとち狂ったような効果が付いている。
その上ミリアが付与した[全属性攻撃10%防御、全状態異常60%防御、全能力20%増加、自然回復20%増加、容量1t増加、時間停止、追跡]がつけられている。
この鞄の値段が恐ろしくて誰にも聞けない...
分かる人には分かる性能の装備他にもしてるんだけど、大体の人が私の外見に目がいって装備までは気にしないんだよね。
こんな分不相応な装備してると変なやからに狙われそうだよね、実際そういったこともあったけどみんながガッチリガードしてくれてるからね、危険な目にあったことはないよ。
ミリアは「本当はもっと付与したいけどあんまり付けるとすぐ切れちゃうのよね、これだと1月くらいはもつかしら。もしはぐれてしまったときの為に1月は効果が続くようにしたけど、追跡で必ず見付けるから安心してね」だって。
...そういえばミリアは私に出会ってから恐ろしい勢いで付与のレベルが上がっていたな...
それに毎回冒険に出る前に神聖魔法の[絶対防壁]を掛けてくれるんだ。
これはどんな攻撃も1回防ぐんだけど、効果時間が1時間くらいでしかも心配だからって多重掛けされてる。
って言ってもMP消費が激しいから出掛けるときに3回掛けて、それからは20分おきに掛け直して切れないように調整されてる。HPやMPは自然回復するからほどほどにしないと、私に色々付与し過ぎて大事なときに回復が使えなくなったこともあるし。
さてさて話しは戻るけど、こういった亡くなった人の持ち物って日本なら嫌だって人結構いると思うけど、ここではそんなこと気にする人って貴族くらいかな。
犯罪者の使ってたものでも抵抗なく平気で使えるしね。ここの人達は中古服とかにも全く抵抗ないから。
「あ、このバレッタ可愛いですね!」
「それ呪われてるわよ、今浄化するわ「浄化」」
ミリアが魔法を唱えるとバレッタは輝き呪いは解かれたようだが、素人の私には何も変わったように見えない。
呪いを解かれたバレッタをリリアーナは嬉しそうに見て私の元に駆けてくる。そうして私の髪にバレッタをつけた。
「とっても似合ってます!」
「...ありがとう」
誰の物かも分からない呪われたものをつけられ少し動揺するが、ニコニコと嬉しそうなリリアーナの顔を見ると何も言えず、何とか微笑み返した。
確かに真っ白な小さな花が彩ったバレッタは可愛いし綺麗だ。とても呪われていたなんて見えない。
「後で付与してあげるね」
「うん、お願いねミリア」
本当にみんな過保護だね。
そうして私達はギルドを後にした。
付与とか色々出したけど、こういうの後後忘れちゃったりとかしやすいので気を付けます。