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その5

今あるのはここまでです。これからは不定期更新になります。



「お疲れ様でした。こちらが今回の報酬になります。

トロールの棲み家にあった物はまた後日お渡ししますので近日中にまたいらして下さい」

「分かりました。それと持ち主が判明したものはいつも通り遺族の方に渡して下さい」

「承知しました」


丁度私達が帰ってきたのが夕方の混む時間な為、3箇所目の臨時受け付けの男性リックの所で依頼の報告をした。

彼もナタリアと同じく親切な対応をしてくれるから私は好きなんだけど、彼が男性だからかみんなあまり並ばない。ってかマリア人気がすごいよ、そこだけ大渋滞...

それに私はちょっと男性が苦手なのでセーラが対応してるよ。セーラは男所帯で生活してるだけあるよね。強面相手でも全く怯まないしカッコいいよ! リックは地味顔な好青年だけど。

お陰ですぐ順番が来て報告も終え、私達は冒険者ギルドを後にした。





「さて、それじゃ小鳥の憩いの店に行こうか」

「ちょっと今日は肉を食べたくないわね、セーラも控えてくれる?」

「・・・・分かった」


私が小鳥の憩いの店に行こうと言うと、ミリアは洞窟のことがあるからかお肉を見るのも嫌なようで...その頼みにお肉大好きなセーラはションボリしながらも応じている。

セーラって優しいから断れないんだよね。


「プリンが食べたいです!」

「うん、昨日作ったのが冷やしてあると思うから食後のデザートにそれも食べよう」

「「わーい♪」」


甘いものが好きな女子ですからね。プリン大好きなリリアーナだけでなくミリアも嬉しそうにしているよ。

セーラも声を出したりはしないけどニコニコだしね。





町の大通りから出て真っ直ぐ進んだちょっと町外れな場所に小鳥の憩いの店はある。

茶色のシックな外壁に緑の三角屋根のお店だよ。屋根の天辺には白い小鳥が2匹で羽根を休めている置物があって、それが目印になる。

その置物と並んで小鳥が休んでるのを見るとほっこりするんだ。

店の前には花壇が置いてあり色とりどりの花が咲いている。外壁にはツルが伸びている所があるが明るい黄緑色の葉がいいアクセントになってると思うよ。

黄緑色の入り口ドアにはこの世界ではまだ高いガラスを入れて店内が見えるようにしてるんだ。

ほら、外からおしゃれな店内が見えると興味出てくるでしょ?

それと入り口の左右に警備員がいてもし悪いお客さんがいても安心だよ!


左側に立つ砂色の髪に緑の瞳の小麦色肌な男子がケビン、右側に立つ砂色の髪に緑の瞳の褐色な肌な男子がロビン。

二人は兄弟で兄のケビンは健康的な肌の通り活発で明るくて笑ったときに白い歯がキラって光タイプで、弟のロビンは褐色な肌で無口だからミステリアスな男性だよ。どっちもイケメン!

実は二人って奴隷なんだよね、...って言ってもこの世界では犯罪者しか奴隷にならないからそこまで不条理なものでもないんだけど。

私が彼らを見付けたとき彼らはまだ12歳と10歳の少年で、過酷な鉱山労働で体を壊して安値で売られているのを見て買うことにしたんだ。

人を買うってことに抵抗あったし彼らのした犯罪がどんなものなのか不安ではあったんだけど、子供の奴隷の殆どは親が犯罪をして一家奴隷落ちかストリートチルドレンで生きる為に泥棒して捕まって奴隷落ちかのどっちかで...

これ以上働かされたらこの子達は死んでしまうんじゃないかって思ったんだ。


...後から知ったんだけど彼らは元貴族で、親戚の馬鹿貴族が子供を誘拐して売ったりしていたことが分かり本人達は死罪、親戚である彼らなど一族郎党は奴隷にされたそうだ。

き...厳しい...

この世界... っていうかこのソルダース王国しかよく知らないけど、犯罪には庶民、貴族に関係なくすごく厳しい国なんだ。

だから私も結構ビクビクしてます。無知故に知らずに犯罪してしまうことが怖い...

日本で当たり前なことを海外で行って罰金払ったとか聞くでしょ? ソルダースでは私が知る限り殺人や泥棒とか当たり前な犯罪しかないけど、それでも不安だよ。




彼らは私達に気付くと軽く頭を下げてくる。ケビンはニカッと笑顔でロビンは無表情で。兄弟なのにえらい違いだよね...

私達は「お疲れ様」なんて声を掛けてから中に入ると、ウェイトレスの二人がすぐに気付いて声を掛けてきた。


「あっ、いらっしゃい美香さん! それにみなさんも!」

「待ってて、すぐ席に案内するからね!」


赤いリボンで肩くらいまでのピンク髪をツインテールにしてるのが姉のリコ、

緑のリボンで肩くらいまでのピンク髪をツインテールにしてるのが妹のミッコ。

二人は双子だから見分けられない人が多くて、だからリボンの色で見分けられるようにしてるんだって。髪型を違くすればいいのにね。

そんなミッコはケビンと付き合ってるんですよ。ヒューヒュー(涙)


後厨房に2人の男子と女子が1人いて、茶髪に茶瞳のずんぐり体型なマルコに緑髪に茶瞳の痩せ気味なノーム、赤髪に金瞳のイレーネがいるよ。

マルコは狸獣人のハーフで黒い耳と尻尾があって目の周りは黒くなってるんだ。

イレーネは竜族のハーフで皮膚が所々鱗になってるんだけど、本人はすごく気にしてて恥ずかしくて人前に出られないんだって。

彼女達5人はソルダースにある孤児院の卒業生でね、小鳥の憩いの店では孤児院から出て働き先が見付からなかった子を雇ってるんだ。

孤児院の先生には色々お世話になってるからね。



「どうぞこちらへ」


混雑していた店内だが家族連れが帰り席が空いたようでリコが案内してくれた。

奥の隅っこの席にリリアーナと私が座り、反対側にセーラとミリアが座った。

日本のメニュー表を参考に作ったイラストつきのメニューを見ながら何を食べようか考える。


お魚食べたいな... お肉じゃないし大丈夫だよね?

チラリとミリアを見ながら考えてみるけど、うん、お肉じゃないから平気平気。

そしてその隣に座るセーラを見ると、寂しいそうにメニュー表を見ている。うん、きっとお肉のとこ見てるんだろうな。

もう夕方だし、明日セーラの為にステーキでも作ろうかな。


「えーと、私はパフェとチーズケーキで」

「あっ、私はコーヒーを」

「私は川魚の味噌煮かな」

「...私は炒飯を」


ミリアはスイーツだけ食べるようだ。リリアーナはお腹空いてないようで飲み物だけ頼むらしい。私はお魚でセーラは悩んだ末炒飯にしたみたい。


「畏まりましたー、出来次第お持ち致しますのでそれまでお待ち下さい」

「あ、時間があったらでいいんだけど、後でプリン持ってきてもらえるかな?」

「大丈夫ですよ、もう少ししたら空いてくると思うので。そしたら持ってきますね!」


私の頼みにニコニコしながら了承して、リコはきちんと頭を下げて去って行った。


「ん~、リコもしっかりして来たわね」

「うん、まだ14歳なのに偉いよね」

「美香がこの世界に来たのもそれくらいだよね、よく頑張ってるよ」


ミリアの言葉に頷くとセーラが私を褒めて頭を撫でてくれる。

ちょっと恥ずかしいけど嬉しいので「えへへ、そうかな?」なんて照れながら返すと、ミリアとリリアーナが「私も、私も」と撫でてくる。

あれ? 私ってペットか何かですか??


私がこの世界に落ちて来たのがリコやミッコと同じ14歳のとき。それからもう3年経ってるんだよね。

私は17歳になりセーラは24歳、ミリアは16歳になった。

リリアーナは相変わらず年齢不詳だけど、別に本人が隠してるわけじゃないよ、100歳過ぎてから数えてないんだって。



それからみんなで運ばれて来た料理を食べ、最後にプリンを持ったミッコがやって来ると。


「キャー、プリンです!」

「早く食べるわよ!」


リリアーナもミリアも大喜び。苦笑いしてるセーラも内心嬉しそう。

シュークリームとかアイスとか、他にも色んなスイーツがあるのにリリアーナはプリンが大好きなんだよね。

みんなが食べている中、目の前に置かれたプリンをスプーンでつついてプルプルさせてニコニコしているリリアーナ。


「はぁ、よく飽きもせずつついていられるわよね、食べものなんだからさっさと食べなさいよ。勿体ないでしょ?」

「あああ食べるなんて勿体ないです! 見て下さい、このプルプルが美香のお胸の揺れに見えてくるでしょう! それが堪らないんです!! 」


リリアーナのとんでも発言にみんなの目がプリンに釘付けになる。

スプーンにつつかれる度にプルンプルンと揺れるプリンは、どうみても私の胸とは重ならない。

むしろ巨乳のミリアの胸が揺れてるときに近い気がするんだけど...

そう思っているとゴクリと誰かが唾を飲む音がした。


「た... 確かに美香が丹精込めて作ってくれたものだし、美香の胸と言われればそんな気も...」

「やっ、やだ、何か卑猥なものに見えてきたじゃない!」


セーラは頬をほんのり染めながら困った顔で、ミリアは恥ずかしがってるふりだね。目を血走らせて食べ掛けのプリンつついてるもん。チラチラ私の胸見ないでね、そんなプルプルする程ないから!

それからリリアーナのせいで非常にプリンが食べづらかった。もう作りたくない。



なんだか今日も一日疲れた。ん? 疲れない日ってあったっけ?



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