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その2



「ふぁ~」


目が覚めたけれどまだ眠くてあくびが出てしまった。

昨日は色々あったから...特にお風呂での攻防がね。だからちょっと寝不足なんだよね。

体にへばりつく腕をどかしてのろのろとベッドから下りると部屋を出て一階に下り、洗面所に行って顔を洗い歯磨きをした。

みんなで買ったこの木造建ての家は1階にダイニングキッチンにお手洗いやお風呂があり、2階にそれぞれの部屋あるから結構大きな家だよ。なのに朝起きると同じベッドで誰かしら寝てるんだよね、今日はミリアがいたよ。

...はぁ。


庭もあってここで家庭菜園をしてるよ。異世界だけど日本で見掛けたような野菜が多いんだ。

それと、こことは別に家を借りてて[小鳥の憩いの店]っていうんだけど、そこで私が考案した料理を出してるんだ。

...って言っても日本で食べられる料理を出してるだけなんだけど。

野菜や果物などの栽培農家と畜産農家と契約してるから毎日新鮮な野菜が食べられるんだよ!

それにメールって羊に似た魔物からは上質な毛と美味しいミルクが手に入るし、アヒルに似た魔物のアビーは美味しい卵を産んでくれるんだ。

お肉は狩った魔物の肉を食べるから食用飼育はないみたい。私達は自分で狩れるから楽でいいね。

この世界だと配送業がちゃんとできてなくて、運ぶ時間がまちまちだったり管理も悪くて野菜や果物がダメになることが多いんだ。だからきちんと契約して管理してもらってる。




それからキッチンに向かうと冷蔵庫を開けながら考える。

今日は何を作ろうかな... 日本だったら朝は納豆や味噌汁だから悩まないんだけどね。


この世界で納豆は無理だけど、味噌みたいなものは元々あったから味噌汁は作れたよ。...っていっても和食用じゃないから少し手を加えて味を似せたり。

豆腐は私が作って後は似たものが元々あったから。

みんなも美味しいって言ってくれたけど作るのは時々にしてる。

だってみんな主食がパンとかパスタだからさ、私だって洋食も好きだけどやっぱ時々がいいんだよね。だから基本はみんなに合させた洋食で時々和食。

私はなるべく我慢してるけど、無理はしてないから大丈夫。

もっと色んな和食が食べたいな。...はぁ。


ってことで今日は目玉焼きにサラダと、ウインナーとレタスをロールパンに挟んだもの。大食いのセーラには野菜炒め(肉多め)も。

セーラは聖騎士だから結構朝からがっつりお肉派なんだけどね、見てるこっちがきついので野菜炒めで我慢してもらおう。

リリアーナは食べきれるかな? あの子少食なんだよね、食べれないときは飲み物だけのときもあるし。

食べれなかったらセーラにあげるかお昼にしよう。お昼用にサンドイッチも作るから丁度いいし。


この世界のキッチンは日本とは違った魔石を使ったものだけど操作は簡単で使いやすい。

魔力操作で温度も簡単に変えられるから日本よりいいかもね。

さて、ささっと作っちゃわないとみんな起きてきちゃうし急ぐか。



...ふと視線を感じて振り返るとリリアーナが廊下から顔だけ出して私を見ていた。


「えと... もう少し掛かるから待っててね」

「はい! 楽しみにしてます!」


目をキラキラ輝かせながら元気に返事をしてくれたのでお料理作りを再開しよう。

後ろから「新婚さんみたい」なんて呟きが聞こえた気がするけど、きっと気のせいだよね。

今みたいに気付くと誰かにじっと見られてることがあるから正直ちょっと怖い。

特に夜とか暗い所では止めてほしいんだよね。注意しても暫くするとまたやるから意味ないんだけど... 何度お化けと間違えて悲鳴を上げたことか。


「...って違います! 私も手伝いますね!」

「うん、ありがとう」


お手伝いしてくれるのは本当に有り難いけど、もっと早く言ってほしかったな。

いつから見てたんだろうね。






「リリアーナ、ご飯できたからみんな呼ん... ひぃっ!」

「はい! すぐ呼んできますね!!」


振り向いたらすぐ目の前にリリアーナの顔があってビックリした。

私より背が高いから少し見上げなきゃいけないけど。彼女は嬉しそうにニコニコしながら、心なしかその長い耳をピコピコさせながら去って行った。

...あの子大丈夫かな? どんどんやることが大胆になってる気がするんだけど... いやまぁ、ミリアも色々ヤバイかな。ハハハ...

今日も起きたら私の胸揉んでたし...ミリアの胸の方が大きくて触り心地いいと思うんだけど。


唯一の救いはセーラだね、あの包容力が堪りませんなぁ。はぁ...








「おはよう美香、手伝えなくて申し訳ない」

「いいえ、お仕事遅くまでお疲れ様」


本当に申し訳なさそうな顔をするセーラだけど、聖騎士の仕事があって朝方近くに帰ってきたから仕方ないと思う。

たまに部屋を間違えて私の部屋にきちゃうこともあるけど、それだけ疲れてるんだよね。

そういう時はわざわざ起こしたりしないで大人しくしてるんだ。抱き枕にされることもあるけど、そんなときはぎゅっと抱き締め返すと「ふふ」って嬉しそうに笑うんだよ。セーラ可愛い。

まだ8時ちょいだしもっと寝させてあげたいくらいだけど、これから冒険者ギルドに行って依頼を受けてくる予定だから仕方ない。

それにセーラはみんなで食事をするのが好きだからなるべく一緒に食べたいんだって。


「おはよう美香! わっ、美味しそうなサンドイッチ!」

「それはお昼の分だから。ほら、食べよう」


サンドイッチが好きなミリアには最初にサンドイッチが目に入ったようだ。

みんなを促して椅子に座らせると賑やかな声が上がる。


「あっ、今日は目玉焼きかぁ! 私美香の作った目玉焼きは大好き! 普通のは固すぎて嫌いだけど!」

「ですよね、サラダだってお店で食べるのはしなってしてるんです! でも美香のはシャキってしててドレッシングも美味しいですし!」

「パンはどれもふっくら柔らかで、店売りの固いパンと違って新鮮だね」


お喋りしながらの食事だからみんな賑やかだね。

この世界の料理ってなんでもしっかり火を通すからやり過ぎで固くなっちゃうんだよね。

うちでは卵は産みたて野菜は新鮮なものしか買わないから美味しいんだよ。

それとパンはフランスパンや保存用の乾パンとか固いものしかないのはなんでだろう? 私が食パンや柔らかいロールパンを(ここだともっと表面が固い)作ったらみんな美味しいって言ってくれたし、小鳥の憩いの店でも好評だからこそ不思議だね。




「よし、それじゃギルドに行くわよ!」

「あっ、ちょっと待って!」

「あぁっ! ずるいですよ!」


後片付けが終わるとミリアがノリノリで私と手を掴み歩き出すから、二人の慌てた声が聞こえた。



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