その1
ミリアの職業を神官にしました。僧侶は仏教...
後は短編と同じです。
いきなりだけど私って異世界トリップしたんだよね。
この世界に来た当初は西洋人しかいない中に、東洋人が一人いることで無駄に目立った。
どこにいってもジロジロ見られて、ヒソヒソと「見ろよあの髪に目、あんなに黒い...」「黄色っぽい汚い肌の色だな」「なんだあの凹凸のない顔は...」「ほんと珍妙な顔だね」とかなんとか好き勝手囁かれた。
頼る宛のない私の面倒を見てくれた優しい老夫婦がいたんだけど、
夜中に二人だけで「可哀想に...あんな顔をしてるから親に捨てられたんだろうね」って涙ながらに話してた。
別に私はブスじゃないよ。
もちろん美人でもないけど、どこにでもいる平凡顔なんだよ。
それがここに来てからはブス扱い...
確かにここは美男美女が多いし私程度じゃブスでしょうよ。
日本で可愛い子でもここだときっとブス扱いだろうね...
ここに東洋人って存在しないから不気味に見えるらしいんだよね。
...はぁ。
そんなこんなで一時はどうなることかと思ってたんだけど。
私は今老夫婦の元から離れて、白金の髪と紫の瞳のスレンダー美人で軽い革鎧が動きやすそうな剣士のエルフ女性と、
真っ白な髪に青い瞳の美形で重厚そうな鎧を着て身の丈ほどある大盾を持った聖騎士の女性と、
桃色の髪と赤い瞳が可愛くて真っ白な服が聖女のようだけどそれでも分かる爆乳の僧侶の女の子と、4人でパーティーを組んでいる。
なんか意気投合してパーティーに入れてもらったんだよ。
「美香! 早くご飯を食べましょうね! いつもの小鳥の憩いの店で!」
「分かってるよリリアーナ。注文は私かセーラがするから」
「お願いします。食後のデザートにプリンはあるんですかね??」
「うん、作ってあるからみんなで食べよう」
「はい!!」
夕食に思いを馳せ頬を上気させているエルフはリリアーナ・メリリット。
剣士をしてるけど弓も魔法も扱える万能戦士だ。身長は168くらいかな?
この世界でエルフは500年前後生きるらしいけど、私は彼女の年齢を知らない。
少なくとも100年は生きているみたいだけど、彼女は人見知りが激しい。
そんな彼女とすぐに仲良くなったのがきっかけでパーティーに入れてもらえたのだ。
ちなみに食後のプリンは私の手作りだ。
ここの世界の料理は美味しいけどやっぱり存在しないものがあって、その1つがプリンだ。
他にもアイスとかなかった。後和食も。...はぁ、食べたい。
「今日の報酬は結構な額になったね。これも美香が頑張ってくれたお陰だな」
「ややや、そんなことないって! セーラが敵の注意を引いてくれたから上手く止めがさせたんだよ」
「全く...、君は謙遜ばかりだな」
そう言って困ったように微笑むのはセーラ・シルビス・オリビア。
セーラは重厚装備のイケメン騎士様です。
高身長で170後半から180はあるかな? 高すぎてよく分からない。
22歳のほんまもんの騎士様でありながら甘い微笑みの超イケメン!
彼女は聖騎士の仕事をしてるからパーティーを組めないときもあるんだ。
私達といられるように辞めようかどうか悩んでるみたい。
一緒にいられれば嬉しいけど無理にお仕事辞めてほしくないから難しいとこだね...
彼女は気が利くし優しいし本物の紳士だよ。 私が男だったら絶対惚れてたね!!
でも信じられないけど、この世界では20過ぎたら行き遅れらしいからみんな彼女は結婚相手としては範囲外らしい。
ないよね、こんな美人をほっとくなんてこの世界の男は馬鹿だよー!!
「何あの男! さっきからあたしのことジロジロ見てキモいんだけど!」
「ミリアは可愛いからねー、つい見惚れる気持ちは分かるんだけどね」
「!! そっ、そう!? 美香は私のこと可愛いって思う!?」
「うん、めちゃくちゃ可愛い!」
「!!!」
顔を真っ赤にさせる彼女はミリア。
身長は158cmの私より低くて152くらいかな。
それなのに爆乳。...羨ましい...
この世界だと身長が低い私はよく子供に間違われるんだけど、ミリアはその爆乳で子供だとは思われないから。
その分変な男の関心を引いちゃうんだよね、男嫌いになるのも無理ないよ。
可哀想に...
彼女は平民ながら回復魔法を使えることで神官になったすごい子なんだ。
この世界で回復魔法を使える人って少ないらしいから神官って超高給取りなんだよ。
そんな風に女4人で歩いていると、突然 ドンッ っと人にぶつかり吹っ飛ぶ私。
ガシャガシャー!!
「!!! あんた店の物になにすんだい!!」
「いっ、いや私じゃなくてあの人が...」
そう言って振り返った私の視線の先には美女3人をナンパする男が3人。
「君達可愛いね~! 一緒に食事でもどう?」
「近くに良い店があってね、小鳥の憩いの店ってとこで」
「もちろん俺達が奢るよ!! だから一緒に食べようよ!!」
鬼気迫る勢いで必死に捲し立てる男達。
確かにこれだけの美人逃せまいさ。気持ちは分かるよ、気持ちは。
リリアーナもセーラもミリアも物凄く冷たい目で彼らを睨んでいる。
セーラに手を引かれ立ち上がる私は惨めじゃのう。
ただこういうことってよくあるんだよね。...ははは。
「私達の仲間に随分な扱いよね?」
「え? あぁ、こんなのいたんだ」
不機嫌を隠しもしないミリアの言葉に、まるで今私の存在に気付いたって男達の反応。
いや、本当に今気付いたんだろうね。美女まっしぐらだったんだろうね。
お陰で美女3人の機嫌は更に急降下だ。
「店主、ここのお金は彼らが払ってくれる。そうだろ?」
「え...えぇ、もちろんです! すぐ払いますから一緒に食事...」
「さ、行くわよみんな。さっさと帰りましょ」
「え!? あっ、待っ...」
セーラが店主に彼らを任せてくれたお陰でお金を払わされないですむ。
それを見届けるとミリアがさっさと去ろうとするので慌ててその後を追う。
振り返ると悲しそうに彼女達を見詰める憐れな目があった。
でも、そんな彼らより憐れなのは私だろうか。
私が怪我をしたこともあってそのまま家に帰る私達。
私はいつまでも迷惑を掛けられないと、老夫婦のとこから出て今はみんなで借りた一軒屋に住んでるんだ。
早足のセーラとミリアに手を引かれ必死に付いて行った私。
ミリアの方が身長低いのに私よりずっと足早いのはなんでだろ...
「ああ!! 血が出てるわもったいない!!」
そう言って私の怪我をした腕の傷を舐めるミリア。
...うん、君回復使えるよね?
しかももったいないってなんなの??
「あぁ可哀想にこんなに汚れて...すぐに風呂に入らないと」
そう言って私の服を脱がすセーラ。
確かに私の服は野菜やら何やらを潰して汚れているけど、一人で入れますよ。
なぜあなたまで脱ぐんですか???
「私だけ何もできず情けない限りです。
でもその代わり、お風呂で精一杯綺麗にしますから嫌わないで下さいね」
そう言って裸の体を密着させてくるリリアーナ。
おい、なんですでに裸なんだ!?
準備万端だな全く。
悲しいことに彼女達は私に惚れてるらしい。
こんなに美人なのに極度の人見知りで婚期を逃したリリアーナと、騎士をしてるせいで男に敬遠され婚期を逃したセーラ。
可愛い容姿と爆乳から常に男達の厭らしい視線に晒されてきたミリア。
そんな彼女達からなぜかロックオンされた私。
一番憐れなのは一体誰なのか...
父さん母さん、娘は異世界で男に相手にされず女に相手にされてます。
このままではいずれおかしな性癖に目覚めそうです。