岐路の私
彼女は死のうとしていた。そんなとき、未來の郵便局員の名乗る謎の男があらわれ…
もうだめだ、もう、疲れたよ…阿部、ごめんね…私阿部と同じ大学、行けないよ。
ずっと阿部と同じ道歩みたかった。
阿部はセンター試験もいつも通り、いや、いつも以上の実力を出せて、余裕で合格できそう。
それに対し私はといえば、いつも通りどころじゃない、いつも以下。いやむしろこんなに酷いのは模試でも見たことない。
こんなの、受かる見込み零。案の定、今日学校行けばリサーチの判定はE判定。合格確率20%以下。E判定からの逆転サクセスストーリーなんて読む気にもならない。そんなの私には無理だから。
そしてまあ、私立も頑張ろうと思うけどどうせ行ったって阿部はいない。
そもそもセンターでこれなんだから私立なんて受かるわけない。
…だから決心した。
もう、死ぬしかない。
きっとみんな笑うだろう。
「浪人でもすればいいだろう」
「そんなんで死ぬなんて甘えんな」
と。
でも私の事情は私にしかわからない。
もう、疲れた。
私立に切り替えて頑張ろうなんて言われたって私にはそんなことできない。
もうそんな気力もなにも私には残ってない。
ごめんね、阿部…約束守れなくて。
…でもいっか。阿部も私みたいな女の子の呪縛から離れられるんだから。好きでもない女の子に束縛されてたようなものだもの。
きっとそのバチがあたったんだわ。
「二番線を、電車が通過いたします」
…怖いなぁ。さっき見ちゃったもん。すごいスピードだった。
でも、生きてたっていいことはない。
おそらく家に帰れば母親と父親に怒られるのは明白。
どこも受かる見込みはない。
阿部とお別れすればもう二度と阿部に守ってもらえない。
一人でなんか、生きていけない。
「…ごめ」
………!?
あ、あれ…?生きてる…?なんで…
「こんにちは」
「…?」
私は飛び込む直前の体勢で止まってて、すぐ近くには電車が来ていた。でも……時間が、止まってる?
「あなた、は…?」
私の隣には老いたおじさんがいた。
「未來の郵便局員、とでもいっておきましょうか。あなたに御届け物があります」
おじいさんが私に触れると私の体は動いた。
「へ…?」
「僕の友達があなたに届けてほしい、と言いますものですから。お受け取り下さい。…では」
「え、え?こ、この手紙は?え、ちょ、待ってください!」
「…手紙が読み終わればすぐに時計の針は動き出します。…よく、考えて」
そういうとおじさんはどこかへ消えていった。
まあ、見るだけ見てさっさと死のう…
「拝啓、死前5秒前の君へ」
さあ、彼女は此の後どうなるのでしょうか。
二つの可能性が在りますね。
次回、ルートX、お楽しみに。…って誰が楽しみにしてるかって?それいっちゃおしまいやで