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青春の始まり

カッキーン‼

『あっ!危ない!』

ゴン!

大丈夫か⁉

『みか大丈夫よね』 …母

『痛ーい‼』泣 …美架



わたしの名前は美架!

この時はまだ8歳。

一つ上の兄『潤』の少年野球の

練習試合にきてた時のこと。


『ゔ〜痛いよ~。』 …美架

たんこぶできただけでそんなに

騒がないの!頭に砂糖でも付けて

おきなさい‼ …母


だってあの打った奴が下手だから

こっちに飛んできたんじゃん! 打った奴誰だよ … …美架


わたしがそんな事をつらつらと

話しているとき、日に焼けた

背の高い大人が近づいてきた。


『すみません。さっきボール

当ててしまってごめんなさい。』 …謎の大人


『大丈夫ですよ。わざわざ

ありがとうございます。』 …母


なーんだ相手のコーチか!

わたしに謝れ~‼ …美架


あんなに小さいのによく

美架ちゃんの頭にあたる

くらい打てたわよね! …お母さん達


さっきのコーチあの子の

お父さんみたいよ!

あの子美架ちゃんと

同い年だって!

すごいわね! …お母さん達


『全然すごくないし、

ただのファウル

じゃん!』


でも同い年であんなに

頑張ってるんだ…

でもわたしには関係ない!

てかあいつが、謝れ~ …美架



『ただいまー‼』

『あらおかえり!

美架ちゃんも今日応援に

いってきたの⁈』


『そうだよー!』 …美架

『でも頭にボール当てられて

泣いてただけだけどなー!』 …潤


『ムッ‼』 …美架


またケンカして!

いいから、ご飯できたわよ! …母


はーい‼


わたしは男勝り、そしてすっごく

負けず嫌い!だから家族の口癖は

『もっと女の子っぽくしなさい!』

なの!

でもそう簡単には無理無理! …美架



わたしは月、水、金陽日は

学校が終わったらそろばん!

火曜日は英語の教室で勉強!

というより遊んでた!

うちの両親は一度やるって決めたら

辞めさせてくれない人!

本当はそろばんなんて3日で飽きた!

わたしは相当頭が悪い!

でも人懐こい性格で先生達には

好かれていた!



ある日、母が『そろそろピアノ

習いなさい!』といった!


わたしは女の子っぽい事は

まるで嫌い!だから!



『ピアノやるなら野球やる!』 …美架



『あら!本当‼』 …母


『あっ!や・ら・か・し・た』 …美架




2日後…


『監督!美架が野球やるみたい

なので今日からよろしくお願い

します。』 …美架


こうしてわたしの青春が始まった!




野球は火、木、土、日曜日!



はい!お気づきの通り、

わたしの小学生時代は、

そろばん、英語、そして

野球によって休みが全く

なくなった!



少年野球に入ったが、周りは

みんな男の子!

そしてわたしが1番年下。

緊張しながらも小さいグローブ

をもってセンターへ!


『美架行くぞー』


カキーン‼


あっフライだ!


『パコ!』



おぉー‼



上手いなぁ!



わたし実は運動大好き!

マラソンも運動会もなんでも

一位か二位!

野球もお兄ちゃんの試合みてて

ルールも覚えたし、みんなが

怒られてるの見てどうしたら

上手くなるか考えていた!



そんな事もあって、一年後には

ピッチャーへ!



冬が終わり、野球シーズン!



毎週のように練習試合が

行われる!



わたしの町には3つの

少年野球チームがある!


今日も練習試合!

練習試合の相手は、

町の2つのチーム!


わたしはまだピッチャー

として試合にはでていない。

監督が隠しピッチャーだから

夏までは出さない!といった。


そんな事もあってわたしの

守備位はファーストとなった。


試合が始まった!


『カキーン‼』


美架ー‼


はーい!


『パチン!』


アウト!


よしっ!


ワンアウト!

ツーアウト!

順調に試合が続いていた!




バッターボックには、

一年前わたしの頭にボールを

当てたあいつがいた!


カッキーン!


センター前ヒット!


あいつが隣にいる。



背が少し高くなっていた!

小麦色に焼けた肌、まっすぐ

監督のサインを見る目が

とても輝いて見えた。


だけど、『こいつリード取りすぎ

でしょ!牽制されたら終わりだし』…美架


あっ、ピッチャーがプレートから

足を外した!


『美架‼』


そのときピッチャーから、

ボールがきた!



『よしっ‼』


『ドン!』



『いたっ』


ボールを捕ると同時にあいつが

わたしにぶつかった。


『わりぃ』 …あいつ


初めて声を聞いた。

とても低い声…

なんだか、胸の奥がギュッと

締め付けられた感じがした。



わたしはなにも言葉を

返せなかった。



『ゆうすけ‼』

ファースト女の子なんだから

手加減しろよー! …相手チーム



わたしは内心すっごく

イラつき、相手チームの

ベンチを怖い顔で睨んだ!


女の子扱いされるのが嫌だった。



でもそれより、わたしは

あいつの名前が頭の中から

離れなくなっていた。


『ゆ・う・す・け』…




そして私たちの回になった!


わたしはバッターボックスに

足を踏み入れた。



『美架!』

監督のサインみなさい! …母


周りはみんな笑っていた。


正直監督からのサインなんて

わたしは必要なかった!


だってわたしには打てのサイン

しかでないから!

あとは監督がダミーでいろんな

とこ触るだけ!



そしてボールがきた!


一球目『ストラーイク』 …審判



『このバッタービビってる

から打てないよ〜』 …相手のキャッチャー



『はー⁉ちょームカつく』


相手キャッチャーの顔をみた!


えっ、あっ!

あいつだ!ゆうすけだ‼



急にイライラと緊張がMAXに!


二球目『カーン』!


『ファールボール』! …審判


『このバッター打てないよ!』…ゆうすけ


あーもういい!


わたしはバッターボックスの

1番前に立ち、バットを一握り

短くもった!


『最後の最後までボールから

目を離さない!この一球に集中』


心のなかでそう繰り返しながら、

思いっきりバットを振った!


『おおっ!』 … 観客


『美架!走りなさーい』…母


レフトの頭のを超えた!

わたしはなにがなんだか、

走ることさえ忘れていた。


2塁ベースヒットだった。



わたしは嬉しさよりも、

なんだか胸の奥が

ズキズキっと痛かった。


試合が終わり、家に帰った。


わたしの家は田んぼと木が

生い茂る田舎町にある。

信号機は一カ所しかない。

コンビニはもちろんない。

あるのは○○商店のみ。


少年野球に入る前は、

小学校が終わったら家が近い

男の子2人と女の子2人といつも

一緒に帰っていた。

帰り道には、道草するところが

たくさんあった。


日陰には黄色の木苺、

もう少し歩けばかきがあり、

食べたら渋柿!

少しもって帰っておばあちゃんに

焼酎漬けにしてもらう!

そんな楽しい日々だった。



でもいまは、学校が終われば

すぐに近くのグランドへ!

日が暮れてボールが見えなくなる

まで野球付けの毎日になった。



真っ暗になって兄たちの一緒に

自転車で帰る!田舎の道は

明かりが少なくとっても

真っ暗で、とても怖い。

兄から遅れないように

必死になってペダルをこいだ。


家が近くなるといつも小さい

明かりがポッと見える!



『お母さんだ!』



下り坂を勢いよく下る。


家では家族が帰りを待ち、

みんなで一緒にご飯を食べる。


泥だらけのユニホームを脱ぎ、

手をよく洗って、兄と競争

しているかのようにご飯を

食べる。


疲れたあとのご飯は

本当に美味しい。



ご飯のあとは父、母、兄と一緒に

大きい倉庫の中でバッティング、

ピッチング、筋トレなどもう一度

汗を流す。



わたしは一日の中でこのときが

1番好きだ。



家に入って、お風呂に浸かり、

おばあちゃんが作っている

取れたてのフルーツをパクリと

食べて寝る。

これがわたしの一日。



わたしの家の朝は早い!

おじいちゃん、おばあちゃん、

お父さん、お母さんは4時には

起きている!



5時、お父さんいってらっしゃいの

お母さんの声で目が覚める。


寝起きはいい方だ!


起きたらお母さんがつくって

くれるイチゴのミルクシェイク

をチビチビ飲む!


そしてテレビをみながら支度し、

学校にいく!

田舎の朝の自転車通学は

本当に気持ちがいい!

青々とした木々の木漏れ日が

眩しく、こんがり焼けた肌が

ひんやりと涼しい。





いつの間にか6年生になっていた!


わたしは5年生の時にキャプテンに

なった。

打順は4番そしてエース…!



またシーズンがきた!


今日も練習試合。


相手はそう!あのチーム。


キャプテンは…


ゆうすけになっていた。


しかも4番でキャッチャー。


初めて会った頃とはまるで違う。

背が高く、肩幅が広く、すごい

筋肉、白のユニホームから

見える日焼けした肌。



この2、3年でわたしと同じ

年の男の子が15人くらい

増えていた。



それでもわたしは、

いつの間にかゆうすけ

しか見えなくなっていた…。






















































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