15:魔女に懺悔
短いですが、取敢えずオチが着きました。
「正直、僕はものすごく焦った。転生の連なりは大災害のお陰で今までとは比べ物にもならない長さだったから。順番を待ってこの世に出ても、約束の250年に間に合わないかも知れない。ディアに逢えない来世など考えられなかった僕は、列を飛び出し、今まさに転生しようとしている人を突き飛ばして自分が飛び込んだ」
言葉にしてから、苦いものが込み上げてきた。
「騒然となった場は神の一喝で即座に鎮まり、僕に横やりを入れられた魂は直ぐに新たな転生に旅立ったとは言え、僕のしたことは理を乱す行為。神は僕にペナルティーを与えた。曰く『黒に染まれ』と。結果はご覧の通り、両親の色彩を一切受け継がなかった赤子は忌み子として魔女の元に捨てられましたとさ」
おどけて肩をすくめて見せる。
「バート」
ディアナに切なそうに呟かれて、申し訳なさが胸を突く。
「黒髪は似合わない?」
「そんなことは!!黒髪でも問題ない」
「黒髪でも?やっぱり茶色のテリアの方が良かった?」
「いいや、アルはアルなんだから、黒髪で良いと思う。私は黒髪も好きだぞ?」
「も?」
「や、あの、く、黒髪が大好きだ!」
どうやら僕だけの魔女は黒髪が好き、らしい。
「な、何してやったりとした顔で笑っているんだ!!」
悔しげに叫ばれた言葉はしかし、迫力に欠けていた。
ここで一旦完結とさせて頂きます。あと数話、番外編を載せる予定でいます。