第03話
*松宮 俊樹*
俊「ん? お! 上野に新谷か!」
黒「話しかけないで下さい」
俊「其処まで言わなくても!?」
彗「何やってるんだ? 昨日までそんな事やって無かったよな?」
俊「乾布摩擦が体にいいって話を聞いてな。実践してみた」
黒「そうなんですか?」
彗「うん。まあ。因みに、どれくらいやってるんだ?」
俊「既に一時間はやった!」
彗「……」
*乾布摩擦*
彗「乾布摩擦の効果は三つ」
彗「皮膚をこすることで皮膚に刺激が加わり、皮温調節機能が高まることによって皮膚の血のめぐりがよくすること」
彗「古い皮脂が取り除かれて新しい皮脂が分泌されることにより、体脂肪が減少したり、皮膚にうるおいがでる効果も期待できるらしい」
彗「そして、全身を冷たい空気にさらすことで、自律神経の働きが高まること、の三つだ」
彗「つまり、皮膚を外部の刺激に晒し続けることで、全身の体温調節を高める効果があると思われる」
俊「おお!」
彗「ただし、毎日やっていればの話。そして」
黒「そして?」
彗「やり過ぎは体に毒だ。5分、10分。毎日繰り返す事が体にいい」
俊「つまり……」
彗「さっさと服着ろ、このド阿呆」
*関係*
俊「そうだったのか……」
彗「調べないでやったのかよ」
黒「馬鹿ですか?」
俊「俺には大分厳しいな!?」
彗「いいぞ、もっとやれ」
俊「酷くないか!?」
彗・黒「……はぁ」
俊「酷いよな!?」
*吉河 優奈*
優「おーす、三人とも」
彗「ん? おお、おはよう、ユウ」
黒「おはようございます、ユウ先輩」
俊「はよっす」
優「三人とも今から授業なの?」
彗「俺と俊はそうだな。黒羽は図書館に用事があるらしい」
優「……ふ~ん」
黒「なんですか?」
優「別に? 確か黒羽ちゃんが取ってる授業が午後からだった筈だから、随分と図書館に居るつもりなんだなぁと思ってさ」
黒「!?」
*黒vs優*
黒「別にユウ先輩には関係ないじゃないですか」
優「まあ、そうなんだけどね。何でかなって」
黒「それより、何で貴女が私の取ってる授業を知ってるんですか」
優「私それなりに友達多いからねぇ。黒羽ちゃんが取ってる授業と同じ物とってる子の友達だっているし、教員とそれなりに仲もいいから、それくらいは簡単に分かるよ? それよりも、どうして? どうして?」
黒「関係無いじゃないですか」
優「言えないような理由なの?」
黒「気まぐれです」
優「ふ~ん」
黒「ニヤニヤしないで下さい」
*男達*
俊「相変わらず、あの二人の仲は微妙だな」
彗「黒羽がそれなりにちゃんと対応してるから、別に嫌いって訳でも無いんだろうけど」
俊「つまり俺も嫌われてはいないって訳だな!?」
彗「………………さあ?」
俊「そんだけ間が開いてその反応!?」
彗「はぁ。まあ、あれだ」
俊「?」
彗「いい加減服着ろ」
*黒vs優2*
優「別にニヤニヤなんてしてないよ?」
黒「そうですか。そんな残念な顔が地顔ですか」
優「お、言ってくれるねぇ。一応、私先輩だよ?」
黒「ですからなんでしょう?」
優「聞き耳立てて、彗君の家に幼馴染の女の子が上がり込んで来て、しかもそのまま同債に発展しそうだから、慌てて先手を打とうと態々苦手な満員電車も我慢して、一緒に登校してきた後輩ちゃんも、一応私に敬意を表するべきじゃないかな?」
黒「……一つ違いの癖に随分な態度ですね?」
優「動揺してるねぇ。毒舌に切れが無いよ?」
*勝者の権利*
優「えい」ギュッ
彗「お? 終わったのか」
優「私の勝利だよ?」
黒「何勝手に決着付けてるんですか!! てか、離れろ!!」
優「だっかっら~。何でこの時間に学校に来たのかって質問に答えればそっちの勝ちでいいよ~? すぐに離れてあげる」
黒「貴方のその問いに答えなきゃいけない理由がまったくないです!!」
優「なら私の勝ちだよね?」
黒「勝敗を決める条件を提示していない時点で、此処に勝ち負けは無いです!!」
優「毒舌で冷静な黒羽ちゃんが台無しだ~」
黒「いつもの事ですけど、貴女と話してると殴りたくなります。そのままくっついてると本気で殴りますよ?」
*いつもの事*
彗「ほら。お前ら落ち着け」
黒「私は落ち着いてます」
彗「冗談にしては笑えないぞ、黒羽」
黒「至って大真面目です」
彗「あっはっは。それよりもユウ。腕がメリメリいって痛い痛い痛い!!!」
黒「何やってるんですか? もしかして動揺してたり」
優「する訳無いでしょ? あんまり変な事言ってると、黒羽ちゃんの彗に言えない秘密を一から十まで、全部ばらしちゃうよ?」
黒「そんな事を言っている時点で、大分動揺してますよね?」
優「面白い冗談だねぇ」
彗「……助けてくれ俊」
俊「いつもの事だ。諦めろ」
*一方その頃*
鈴「~♪」
ガシャン
鈴「……~♪」
ガシャン
鈴「…………~♪」
ガシャン
鈴「あ~、ずっと、彗に頼りっぱなしだったからなぁ、家事全般」
ガシャン
鈴「よし、止めよう。彗の迷惑にかからないように」