エロゲに堕ちない、まともな恋
エロゲ作家の妹×気弱な小説家志望。
まともな恋愛を。
「こ、ここの高校に文芸部はありませんか?」
「文芸部? ないけど、作家志望か何か?」
「は、はい、僕は小説家志望です、一応」
「…ふうん。小説家志望、ね」
何かを企むような顔つきで、先輩はうなずいた。僕は、ドキリ、としてしまった。
数日後、僕はその先輩の噂を耳にした。
噂じゃないのだろう、本当のことなのだろう。
男子からは、好奇の視線。下心アリ。
女子からは、侮蔑の視線。汚いものを見るような。
「ふん」
そんななか、先輩は堂々と廊下を歩く。自分は関係ないと言うように。
『エロゲ作家の妹』
エロゲーの脚本をよく担当し、かつ、ライトノベルも書く。
そんな、19歳の兄をもつ、17歳の妹。
兄は、有名かつ、人気。エロゲーの脚本家としても、ライトノベル作家としても。
だから、自然と妹も有名。
僕は、先輩を尊敬する。
堂々としているから。
小説家になりたいことを、僕は言えないのに。恥ずかしくて。
皆から嫌われるような人はいてはいけない、と僕は思う。それは、あったらダメだ。誰か1人でも、その人を、好きでいないと。
だから、先輩をずっと尊敬していたい。
「ねえ、まだ小説家になりたい?」
放課後、2人きりの教室で、聞いてくる。
何かを企むかのような顔つきで、先輩は。
「小説家になりたいの?」
「は、はい」
「ふうん」
僕のことを考えて、2人きりの状況にしてくれたんだろう。ありがたい。
「なんで小説家になりたいの?」
「か、書くのが好きだから」
「じゃあ、アマチュアでいいね。書いて、投稿して、評価もらえばいいじゃん、小説家になろうとかで」
ぼ、僕は、
「僕は、プロとして、どこまで通用するか、知りたいです」
「…、小説家になりたい?」
「はい、小説家になりたいです」
僕はうなずく。
先輩は、ふふと、笑う。
そして、小悪魔のような顔つきで近付いてくる。
「!?」
いきなり、僕はキスをされる。
当然、混乱する。
人生初のキス、まだよく知らない先輩から、しかもチュッじゃなくて。
エロゲ作家の妹だから、いやいや、そうじゃなくて。
「後輩クンが、お兄ちゃんみたいな変態作家にならないよう、まともな恋愛をしてあげる。まともな小説家になるための、まともな恋愛をね」
そして、連絡先を交換すると、先輩は教室から出ていった。
そ、尊敬する先輩から。人生初のキス。しかも、大人の。
嫌わないようにしようどころじゃないよ!
「明日から学校どうなるんだ…!」
家に帰っても、僕は混乱していた。
読んで頂き誠にありがとうございました。
流石はエロゲ作家の妹やでぇ…!
まともな小説家になるための、まともな恋愛、どうなることやら。




