水を求めてサンサンマシマシ
とりあえず妖精の侵入を防ぐ塩を設置した私たちは眠りについた。
そして翌朝
「喉が渇いたよ」
「そうだな沙月水持ってきてくれ」
「無理だよー部屋の外に出れないんだよ」
「この部屋に飲み物とか置いてないのか?」
「ないよぉ」
「お姉ちゃん本当に使えない」
「普通置いてないでしょ」
「しかしこれは問題だ。妖精除けの塩を作るためにも水分補給は重要だぞ」
「水の妖精とか呼んでみたらいいんじゃないの?」
「ここに来る妖精の種類選べないだろ」
「本当だよ。お姉ちゃん何言ってんのよ。馬鹿なんじゃないの?今さっき妖精が来ないように塩を部屋の四隅に配置したばっかりじゃない。なんで妖精呼んじゃうのよ」
「馬鹿じゃないもん。手っ取り早いかと思ったんだもん」
「とりあえず窓の結露したところから水をかき集めろ」
「足りない・・・全然足りないよ。真子っちゃん」
「贅沢な奴だな。しかし現実問題として水が足らないのは事実、やはりやるしかないか」
真子が部屋の隅に移動してなにか作業をしている。
「なになに?なにしてんの?」
「塩をどけている」
「なんで?せっかく妖精が来なくなったのに!」
「水が必要だからだ。水っぽい妖精が来たらラッキーだ。どのみち食糧確保もしなくちゃならんしな」
「そうだけど・・・」
「さあ今日も妖精との戦いの1日が始まったぞ」
「おはよう諸君!今日はおとなしく殺されてくれる気になったのかな?」
「もう来た。塩どけたらすぐ来たよ」
「えーっ早くない?ドアの前で待ってたんじゃないの?」
「待ってたんだろうな」
「ストーカーじゃん」
「お姉ちゃんのね」
「うそ?兎子怖いこと言わないでよ」
「お前が殺してるから仕方がないな」
「真子も殺してるし食べてるじゃん」
「さあさあ良い子のみんな!おしゃべりはそこまでですよ。この灼熱の妖精である私が君たちを灼熱で焼き尽くしますからね」
「灼熱・・・最悪だ!!」
「これじゃない・・・のが来たな」
「えーなんで?なんで?お姉ちゃんくじ運悪いんじゃない?」
「えっ?私?」
「そうに決まってるよぉ」
「だから!あなたたちぃぃぃぃぃ!!!!おしゃべりの時間はおしまいですぉぉぉ!!!【灼熱極熱日差しサンサン光線】!!!!」
じりじりと肌を焼く日差しどんどん上がっていく気温・・・。
・・・・あっ・・・死ねる・・・・。
「くそっ水だ水を持ってこい」
「真子・・・水はないよないから困ってたんだよ」
「とりあえずこれ」
兎子が差し出したもの・・・それは日傘。
じりじり肌を焼く日差しが消えていく。
「よっしっ復活灼熱の妖精の弱点見つけたり!!」
「お姉ちゃん単純・・・」
「うるさい!いいじゃない元気になったんだから」
「っで見つかった弱点とはなんだ?」
「真子、これよこれ!日傘!!日陰に入ればあいつの攻撃力は半減以下よ」
「!!そうなの?でもその先どうするの?半減しても暑いよ。暑くて死ねるよ」
「しかも灼熱の妖精はノーダメージ根本の解決に至ってないな」
「なになにせっかく人が発見したのに!!」
「決定的じゃないところがお姉ちゃんらしいよね」
「じゃあどうしたらいいのよぉもー」
「とりあえず窓をあけるか」
「そうねこのままよりはマシよね」
・・・・窓から入るぬるーい空気・・・。
「ねえ真子あんまり状況変わんなくない・・・」
「さすが夏だな」
「無駄ですよ。今は私の季節!!!私の力を最大限に発揮できる季節なのですよ!さあ暑さに悶え苦しみなさい」
「こいつ最悪だな」
「ホントいるよねこういう空気読めないやつ、お姉ちゃんじゃあるまいしさ」
「ちょっ、ちょっとは読めるよ!ちょっとだけど」
「じゃあお姉ちゃん空気読んでなんとかしてよ」
「そうだな何とかしてくれ妖精対策グッズでは暑さは何ともならん」
「ええっ!?そんな・・・・灼熱の妖精なら冷やすもの水とか冷たいもの・・・水ぅー」
「泣くな!」
「本当よ!泣きたいのは私よ!お姉ちゃんなんだからしっかりしてよ」
「ふぇぇ・・・そんな事言われても・・・!!あれ!!あれだよ!兎子!!窓閉めて!」
「えっ・・・臭い部屋がより臭くなるよ」
「臭くないし!いいから閉めて!!」
「もう本当に閉めちゃうからね臭くても知らないよ!」
「どうしたどうした急に」
「なんですか?完全にあきらめましたか?部屋を閉め切って早く暑死にしたいということですね?いい心がけです」
「何言ってるの!これであなたも終わりよ!えいっ!!」
ピッ!
ぶおぉぉぉぉぉぉぉん
「あっお姉ちゃん急に涼しくなったよ」
「エアコン・・・沙月お前ごときの部屋にもエアコンあったんだな」
「あるよー!さあ!エアコンの強風18℃MAX冷却を喰らえ!」
「なっなんですと!負けません負けませんよ【灼熱極熱日差しサンサン光線マシマシで】!!!」
灼熱とエアコンの対決・・・見守るだけの私達。
座って眺める事数十分間。
力尽きる妖精
「さっ寒い・・・」
それが妖精の最後の言葉
灼熱の妖精に文明の利器は勝利した。
しかし文明の利器の凄まじい力で私は風邪をひいた。