カチカチ防風心の壁MAX vs 超高速激烈突風
風・・・すっごい強い風・・・なになにこれは散らかされた部屋の中のものが飛び回ってとんでもないことになってるんだけど。
「これは風の妖精ってことね」
「違うぞ!!俺は突風の妖精だ!!」
「突風・・・風だよね」
「うん珍しくお姉ちゃんが正しいね」
「沙月にしては珍しく間違ってないな」
「ひどくない。私だってそれぐらいわかるよ」
「違う!!!あんなだらだらと長時間穏やかに吹いてるものと一緒にするな!!俺のはいわば短距離、瞬間的爆発力!強烈な風なんだ!!」
姿を現した妖精・・・子供だ。
ランドセル背負ってるし黄色い帽子被ってるし見た感じ小学生みたいだ・・・というか小さい小学生?
「子供?」
「違う!!!子供じゃないぞ!俺はもう何百年も生きてるんだお前らより遥かに年上だぞ」
「でも小学生だよね。あの恰好って小学生だよね兎子?」
「どうしたお姉ちゃんずっと正解だよお姉ちゃんらしくないよぉ」
「それぐらい私にもわかるよぉバカにして」
「あーまた子供呼ばわりしやがって!!お前ら絶対に許さないからな!!」
「またお前ら妖精を怒らせたぞ。どうして仲良く出来ないんだ」
「真子何言ってんのよ。あいつらそもそも私らを殺しに来てるじゃん」
「私ら・・・じゃない。殺されそうなのはお前だけだ」
「そうだよ。よく考えたら私関係ないじゃん。お姉ちゃんの部屋から出してよ」
「えー見捨てないでよ兎子ぉ」
「私も見捨てようと思ったんだがな・・・」
「真子までなんてこと言うのー」
悲劇、悲劇だわ。
そしてとても不幸だわ。
妹に見捨てられ親友に見捨てられ、こんな大嫌いなGみたいなやつらに殺される?
私の人生最悪じゃない?
「ねえ可哀そうじゃない私?」
「うーん可哀そうだけどしょうがないよ」
「まあ助けるのも限界があるしな」
「そんなぁ」
「でもまあ安心しろ」
「何が安心できるのよ真子・・・もう不幸だわー」
「今の状態では私らも部屋の外には出れない」
「なんで?なんで出れないの?真子っちゃんなんで?」
「妖精の怒りのボルテージが上がりきってるからな結界を張られたぞ」
「結界?」
「そうだ出てみればわかる」
「よくわかんないけどもう出るからね」
兎子がドアから部屋の外へ出て行った。
姉を見捨てて出ていった。
薄情な妹め・・・。
薄情な妹、兎子がドアから入ってきた。
「兎子ぉーやっぱり戻ってきてくれたんだね。お姉ちゃん信じてたよ」
兎子をそっと抱きしめる。
やっぱり我が妹兎子信じて良かった。
「違うよ。って言うか離れてよ。暑苦しいから」
「なんてこと言うんだよ。暑苦しくないよ」
「出て行ったのに入ってるんだよ」
「ん?兎子何言ってるかわかんないよ?」
「だから出たけど入ったの!って言うか、あーもう面倒くさい!お姉ちゃん1回部屋から出てって、わかるから」
「なぁにもう戻ってきたかと思ったら出ていけって・・・反抗期にも程があるんじゃないの」
兎子の言っていることは全くわからなかったけど逆らう理由もなかったのでそっとドアから外に出た。
そして部屋の中に入った。
「なになにどういう事?今私部屋の外に出たよね?出たよね?」
「だから言ったじゃん。出たけど入ったって」
「そういう事だ。妖精の結界によって私たちは部屋から出ることが出来なくなった」
「どうするのよ真子?トイレにも行けないじゃない」
「そうよ真子っちゃん、だってご飯も無いしプリンもないんだよ」
「大丈夫だ。策はある。それよりもまずは、あいつだ」
「あるのね。あるのね。信じてるからね真子」
「任せろ」
「出られるよね?出られるんだよね?真子っちゃん」
「任せろって言ったろ。まずはあいつを倒すぞ」
「おいおいおい!!お前らさんざん人を無視してドアから出たり入ったりして遊んだあげくに俺を倒すだと!!!ふざけるな!!!お前ら全員俺の突風で吹き飛ばしまくってやるからな!!」
「妖精がすごく怒ってるよ」
「お姉ちゃんみたいにカルシウム足りないんじゃないの?」
「私はそんなに怒らないよ」
「さておしゃべりはここまでだ」
「わかったわ真子、何をすれば良いの?」
「まずは窓を閉めろ!沙月の部屋の独特の臭いは倍増するが風は収まる」
「独特の臭いなんてないよぉ」
急いで猛ダッシュで窓を閉め部屋を密閉して風通しを悪くした。
「無駄だ!無駄だ!無駄だ!そんなことじゃ俺の突風を防ぐことは出来ないぜ!【超高速激烈突風】」
「わっわわああぁあ飛ばされる飛ばされる飛ばされちゃうよ!!」
「真子っちゃん助けて!!!」
「2人ともしっかりなにかに捕まって!今風止めるから」
「早く早く早く!!早く止めて!!」
「【カチカチ防風心の壁MAX】設置よ」
壁、壁が出来た。
突風の妖精との間に壁が出来たので風が来なくなった・・・。
「ふーこれでひとまず安心ね。さすが真子っちゃん」
「真子風が防げたのは良いんだけどこの壁のネーミングが気になるんだけど・・」
「何がだ?」
「心の壁MAX・・・壁・・・あるのかな?」
「単なる道具の名前だ気にするな」
「すごい気になるんだけど・・・」
「お姉ちゃん普段ガサツで鈍感で何も気が付かないのに珍しく敏感だね」
「ガサツじゃ無いし敏感だよ」
「敏感?」
「ごめん嘘、鈍感ではない・・・ぐらい・・・です」
「お前らちょっと突風を防いだからって調子に乗るなよ!!突風倍増!!マシマシで吹かせるぜ!!」
「どっどどどどうしよう?真子!このままじゃやられちゃうよ」
「大丈夫だ。殺られる前に殺れば問題はない。2人とも息を大きく吸って息を止めとけ」
「もっと突風強くしていくぜ!!マシマシのマシマシだ!!壁事吹き飛べ!!!」
「させないよ【真空X 吸引暴君掃除機Zero式】スイッチオン!!!」
ギュオォォォオオオオンン!!!
ギュイィィィィィィィンン!!!
・・・・風が止まった?
急に静かになった。
「・・・・・・!!!」
「・・・・・・!」
{・・・・・・」
「終わったぞ」
「なになに何があったの急に静かになったけど」
「【真空X 吸引暴君掃除機Zero式】で真空状態にしてやっただけだ。突風の精霊は空気がなけりゃ何も出来ない。あっという間に弱ってお陀仏だ」
「へー・・・って落ちてる妖精落ちてるよ」
「まあ今回は窒息死だし溶かしたりしてないからな」
「いやだ!いやんだけどGの死骸が落ちてるみたいじゃん」
「倒してやったのにわがままだな」
「本当、真子っちゃんの言う通りよ。こんなのごみ箱に捨てとけばいいじゃん」
兎子がひょいっとつまんでゴミ箱に捨てた。
「解決してない!!Gの死骸が部屋にいるよ。恐怖で眠れないよ。うなされちゃうよ」
「死んでるんだから無害だろ。それにうなされてるなら眠れてるぞ」
「たしかに・・・お姉ちゃん言ってることがおかしい」
「細かいことは良いの!とにかく怖いじゃん」
「わがままだな。わがままボディじゃないくせに」
「なっなんてことを・・・お腹だけはちょっとわがままだよ」
「自慢にならん」
「そっそんなことよりこのまま妖精に襲われ続けたら本当に寝れないんよ」
「大丈夫だそれについても対策はある」