香りの妖精と鼻づまり
「ちょっとあなたたち私の事を忘れてたわけじゃないわよね」
「すいません今部屋の事で頭がいっぱいでちょっと忘れてました」
「ちょっお姉ちゃんなんで正直に言ってんのよ。こういう時は適当にさぁ」
「私は忘れてないぞ。むしろ妖精の為にここにいるんだからな」
「そもそもなんだけどさ真子さあ、なんで妖精なのよ」
「私はもともと妖精好きだぞ。だから仲良くなろうと思って呼び寄せたんだ」
「じゃあなんでこんなに好戦的なのよ」
「それは沙月が殺虫スプレーで退治したからだろ。お前のせいで計画が台無しだぞ」
「私悪くないよ。知らなかったしG見たいだったし誰でもスプレーしちゃうよ」
「だ-かーらーなんで私を無視して話をしているのよ」
きれいな女性の姿をした妖精(5cmぐらい)がちょっと怒りだしている。
「真子、ちょっと怒ってるよ。どうしよう?」
「知らん。お前が怒らせたんだろ」
「全面的にお姉ちゃんが悪いんだと思う」
「そんなぁ・・・」
「また無視しているわね。もう絶対に許さないんだから!!」
「そもそも許す気ないくせに・・・」
「さあ食らいなさい香りの妖精の力を!!!匂い袋よ!!」
部屋中にまき散らされる無数の小袋・・・散らかっていく散らかっていく益々私の部屋が散らかっていく・・・。
「もうやめてよ。部屋が全然片付かないよ」
「お姉ちゃん片付いていたことなんかないじゃん」
「そっそんなことは・・・ない・・・と思うぞ」
「別に前と変わんないよ」
「むーひどい、さすがに変わるわよ」
「さあ匂い袋よ。かぐわしく微妙な香りをどうぞ!!」
妖精の掛け声と共に袋が一斉に開き何かが出てきた。
「なになに?うわっ臭い!臭いよこれ?」
「そう?わかんないよ?さっきの花粉で鼻やられてるし、そもそもお姉ちゃんの部屋ってこんな感じの臭いがいつもしてるよ」
「そうだよな。なんか沙月の部屋だなって臭いでむしろ落ち着くよな」
「うん、いつもの臭い」
「そんなことないよ。私の部屋こんなに臭くないよ」
「なんなの?あなたたちこの微妙な部屋の嫌な臭い匂いに耐えられるって言うの?」
「耐えるも何も日常だぞ」
「そうそうお姉ちゃんの日常」
「ひどいひどい、そんなことないもん」
くそ妖精め私の部屋がびっくりするぐらいディスられてるじゃない。
「あなたたち鼻が死んでいるのね。この微妙な嫌な臭いに耐えるだなんて、だったらこっちも本気を出すわよ。絶望的な悪臭!!!をどうぞ」
また部屋に目いっぱいの小袋がバラまかれた。
「ちょっと待ってよ。なんで匂い出すのに毎回そうやってごみを散らかすのよ!!これ以上散らかさないで!!」
「どうせ臭いにおいで苦しみ死ぬんだから部屋とかどうでも良いんじゃなくて?」
「いやよ!死んだ後の部屋が臭くて散らかっていたらかっこ悪いじゃん」
「お姉ちゃんそこ?気にするとこそこ?」
「そう思うなら日頃から片付けておけよ」
「今は死ねないから何とかしてよ真子!」
「仕方がないな世話のかかるやつだ」
「仕方なくないよ。誰のせいで妖精に襲われてるんだよ」
「それはお前のせいだ。妖精と仲良く出来なかったお前が悪い」
「ひどいー」
「まあ仕方がない。じゃあ今武器をだしてやるから」
「さあ爆発しなさい!!」
小袋が開き悪臭が部屋中にまき散らされた。
「うぇえぇぇええ!!おぇぇぇ!!臭い臭い臭い臭い!!」
「真子っちゃん早く花粉症爆発中の私でもさすがに臭いわ」
「私は平気だぞ」
「真子っちゃんは装備が違いすぎるわ完全防備だもん。ほら見てよ。お姉ちゃんみたいな花粉症ですらない一般人は死にそうだよ」
・・・死ぬ・・・目が染みるし臭いし意識遠のいていくよ・・・。
「沙月は軟弱だな。仕方がない兎子やるぞ!」
「えー私ぃ?」
「他にいない!まずは窓を開けろ!!」
「はい!」
「そしたらこいつだ!こいつを妖精に向かってぶっ放せ!」
「なにこのごつい奴?」
「【消臭限界MAXガトリング砲Z】だ!!!!」
「なんか名前怖いよ」
「消臭?消臭ですって?あなたたちちょっと待ちなさい消臭なんて卑怯ですわよ」
「相手の弱点を知りそれをつく当然のことだ」
「なんか妖精すごく逃げ回りだしたよ」
「いいからぶっ放せ!!」
「いくよ。いくよ。いくよー!えいーっ!!!
ガガガガガガガッガッ!!
バッシュュュュュュュッ!!!!
「きゃああああぁあああ!!!」
悲鳴とともに香りの妖精は力尽きた。
「終わった・・・終わったよお姉ちゃん・・・今までありがとう・・・」
「まて勝手に殺すな!まだ死んでない」
「えー!意外と丈夫ねお姉ちゃん」
「沙月だからな人類が全滅しても死なないだろ」
「全滅してたら私も死んでるよ。せめて人類の中には入れてあげてよ」
「なんだ入りたかったのか」
「ねえ真子っちゃんさすがに終わったよね。これで・・・私部屋に帰るよ」
・・・・・・。
「・・・兎子?」
「なんか・・・いる」
「またいるの?ねえドアの前で列をなして待ってるんじゃないの?よく見てよ」
「知らないわよ。お姉ちゃん何とかしてよ。私を自分の部屋に帰らせてよ」
「これは完全に妖精を怒らせてしまったな・・・沙月・・・いけにえになるか?」
「いやよ。なんであんなGの親戚みたいなののいけにえにならないといけないのよ」
「その表現が火に油な気がするが・・・」
さあ次の妖精との戦いだ。