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6畳の戦争 部屋に入ってきた妖精を虫だと思って、殺虫剤をかけちゃったら大戦争になった話  作者: 南蛇井


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18/18

妖精の王なのか?王の妖精なのか?最後の妖精食

妖精と戦い続けて1週間


「お姉ちゃんお腹すいたー!」

「沙月、本当に空いたぞ」

「私も空いたわよ」

「じゃあ早く妖精呼べよ」

「そんな力ない」


「あー食わせろー食わせろー妖精食わせろー」

「ああケント大丈夫?」


「あなたたち……妖精食べ過ぎておかしくなってない?禁断症状出てない?」


「禁断症状でもなんでも良い!早く妖精食わせろ沙月ぃ!」


「目が血走っているわよ」


「うるさいうるさい!妖精食わせろ妖精食わせろ」


「お前らは…食べすぎた…」


「きっ来たよお姉ちゃん来たよ!新しい妖精来たよ!」

「沙月!頼んだぞ」

「任せないでたまには真子が捕まえてよ」

「用意してきた道具は早々に無くなった。道具のない私はただ見るだけだ」

「なんでー?」


「お前ら…妖精をなんだと思っている」


ドアの向こうから来た黒い影から圧を感じる。

すごく怒ってる感じ……わっ私は悪くない。


「兎子…あなたいっぱい妖精食べたよね」

「なに?急にお姉ちゃんもモリモリ食べてたでしょ?」


「お前らのせいでこの辺りの妖精は全滅だ。俺はお前らを許さない!」


黒い妖精…本当に真っ黒…。

「黒の妖精…」

「黒焦げの妖精じゃない?お姉ちゃん」

「美味しく無さそうだな…どうしたケント?」


あれ?ケントが震えて小さくなってる。


「妖精王…王の妖精…」

「まっままま…まずいわよケント」


「アリサどうしたの?そんなにおびえて…」


「王よ…王の妖精…妖精の王…」

「王の妖精…妖精の王…どっちだ?」

「確かに王様の妖精と妖精の王様では全然違うわね」


「そうね妖精の王様なら偉いけど王様の妖精なら偉くない…お姉ちゃんよく気付いたね。お姉ちゃんのくせに」


「くせに…は余計だよ」


「お前ら妖精の王にして王の妖精の俺を馬鹿にしているな…」

「馬鹿にはしてないぞ。ただのちょっとした疑問だ」

「それとちょっと美味しく無さそう!黒焦げで!」


「兎子…兎子…」

「なにアスカ小声で…」

「私たちは妖精の王には逆らえないし攻撃出来ない…でも…」

「でも…?」

「極上らしいの…」

「極上…?」

「そう…味は最高らしいの…」

「マジか!お姉ちゃん!やるよ!全力でやるよ!妖精の王食べるよ!」


「なっ何?何?兎子なんで急にやる気出したの?」

「いいから!」

「そうだぞ沙月お前にかかってるぞ!」

「みんな私に頼りすぎー」


「おまえら……俺をなめているな…全員殺す!!」


バサッ!!


「あっさり捕まったね」

「王でも他の妖精でも何もかわらんな」

「さあお姉ちゃん食べよ食べよ!」



「ただいまー!」


玄関のほうから聞こえてくる聞き覚えのある声……。


「お姉ちゃん大変!!お母さんたち旅行から帰ってきたよ!!」

「ええっ……」


周りを見渡す……。


「部屋……兎子!!妖精どころじゃないわ!部屋!片付けるわよ」


「沙月、兎子、帰ったわよ」


おっお母さんが……ドア…開けちゃう!!


部屋のドアが開いた……。


「チャァアアンス!!」


「王の妖精がっ!!!」


「あっお母さんの口の中に入ったよ」

「入ったな…」

「食べられちゃった?お姉ちゃんずるい!」

「この場合ずるいのはお母さんだよ」

「たしかに……」


「…おまえら…」


「あぁお母さんが怒ってるよお姉ちゃん私知らない!私の部屋じゃないし!」

「えー兎子!見捨てないでよぉ」


「…おまえら…この体…俺がのっとった…」


「沙月!兎子!チャンスだおばさんの口から妖精王が逃げないように網で覆え!」

「真子?」

「乗っ取られているうちに部屋を片付けるぞ!」

「わかったわ!兎子!お母さんを取り押さえて!」

「お姉ちゃん了解!」


「…うわっお前ら!何をする!くそ!」


私たちは必死に部屋を片付けた。

お母さんの意識が妖精の王に乗っ取られているうちに……。

人生で3番目ぐらいには、必死だったと思う…。



そして部屋は片付いた…とは言い難いが余計なものを奥へとしまい込みパッと見た感じきれいになったのでお母さんの顔から網を外した。


「くそっ俺をこんなところに閉じ込めやがって!!俺は王だぞ!!」


「沙月!出たぞ!」

「逃がさないわ!」


バサッ!


「うわっお前ら俺は王だぞ王!!こんな扱いして良いと思ってるのか?」

「別に人間の王じゃないし…美味しいって聞いてるし」

「くそっサンジ!アスカ俺を助けろ!」


「…王…申し訳ございません。俺はあなたを食べます!」

「私も…食べます!!」


「おっおまえら……」


こうして最後であろう妖精食を頂いた。

ちょっと苦かったけど…美味しかった。


「あなたたち…」

「あっお母さんの意識が回復したよお姉ちゃん」

「良かった」


「ねえ…何が良かったの…」

「ん?」

「見てたわよ…ここでの一部始終…」

「えっ?妖精に意識乗っ取られてたわけじゃないの?」

「何を言っているのあなたたちは…急に虫が口の中に入ってきたかと思ったら縛り付けたりを頭にかぶせたり…あげくに部屋は散らかってるし!!!!私が旅行に行ってる間何してたの!!!!」


妖精の王が身体の中に入っていた時もお母さんの意識ははっきりしていたみたい。

一部始終を見られた私たちはこの後こっぴどく怒られた。


そして数日が過ぎた。

もう妖精はこの部屋に来なくなった。

気が付けばアスカとサンジも見かけなくなった。


あの時の妖精騒ぎ……本当にあったかどうか…夢みたいで実感がない。




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