空腹とフルーツの王様
「さっすっきりしたことだし食べるか」
「そうねきっと美味しいわよ」
「まずはアレクから食べてみるか」
「サンジ!アスカ!どうしたんだ?俺たちを食べるって?」
「いや美味しいから」
「あなたたち懲りないね。カビでお腹壊したばかりだよ?トイレの妖精とか絶対お腹こわしそうよ」
「お姉ちゃんなら大丈夫なんじゃない?」
「食べないよ」
「まあ待て紙もおまるもしばらくは必要だ。特に紙は消耗品だからな生かしといてやろう」
「食べられないのか?トイレの妖精の味を確認したかったんだが・・・なんか・・・こうスパイシーな味を期待してるんだが・・・」
「えー残念お腹空いてるのに」
「お前ら・・・完全に妖精らしさを失ってるぞ」
「良いんだ!妖精らしさよりも美味しいものを食べるんだ!」
「そっそうか・・・」
「でもそろそろ食べられる妖精が来ないと本格的にお腹空いてきたね」
「そうだよお姉ちゃん早くケーキの妖精とかステーキの妖精とか呼んでよ」
「兎子なんか急に贅沢言わないでよ。お姉ちゃんにそんな力ないよ」
「ふがいないお姉ちゃんね」
「ひどい・・・」
「じゃあ贅沢言わないからチョコの妖精ぐらい呼んでよ」
「そんな力ないわよ」
「残念なお姉ちゃん」
「ひどすぎる・・・」
「そうこう言っているうちに次の妖精が来たようだぞ」
「次?ケーキ?チョコ?ステーキ?それとも?」
「ふふふ・・・さて私はなんの妖精でしょうか?」
「うわっなんか面倒くさい感じクイズとかいらないんだけど」
「兎子そんな事言わないで答えてあげなよ」
「やだよ。って言うか・・・なんか・・・くさっ!!すごく臭くない」
「本当だ。この臭さ・・・まさか生ごみの妖精?」
「ハズレだな」
「お姉ちゃん最悪ーもうちょっとマシなの呼んでよ」
「私に選択権とかないんだってば」
「ハズレだ。生ごみとは失礼な答えだな。私はドリアン・・・ドリアンの妖精、極上のカスタードクリームとも表現されるその味はフルーツの王様と称される。そう私はフルーツの王様の妖精」
「限定的ね。ざっくりフルーツの妖精とかじゃなくてピンポイントでドリアン?」
「そこじゃない王様の妖精を名乗っているところが・・・しょせんドリアンの妖精なのに・・・って言うか窓を開けろ」
「真子っちゃん窓を開けたけど全然臭さが治まらないよ。止まらない臭さだよ」
「うぇぇぇ限界よ限界!殺される!!」
「きみたち失礼だな王様に向かって栄養価だってすごく高いんだよ。特にビタミンB、ビタミンC、食物繊維にカリウム!美肌効果、疲労回復なんかの効果があって身体にとっても良いんだからね」
「わかった。わかったから一旦帰ってくれ」
「帰らないよ!僕が帰ったところで僕の臭いはしばらく帰らないからね。さあ一回食べてごらん。味は最高だから!!」
「なにあいつ、お姉ちゃん殺しに来たんじゃないの?食べられに来たの意味わかんないんだけど」
「しかし今まで来た妖精の中では破壊力は抜群だぞ」
「このままじゃ臭いで殺られるよ。もう食べちゃうしかないわ」
「わかったわ!お姉ちゃんみんなで食べるよ」
「食べて良いのか?アスカ食べよう!」
「そうね頂きましょう」
ドリアンの妖精は食べられた。
何しに来たんだろうか?
お腹はちょっと満たされたけど不快な臭いだけが部屋に残った。




