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妖精たちとの戦いの始まり

笹崎沙月ささざきさつきの部屋では戦争が起きている。

この6畳しかない空間は休まることのない戦場だ。



一週間くらい前・・・。


「いやー出たーでたよ!!」

「お姉ちゃん何騒いでんのよ」

「出たんだよ。出たのあれが!私の嫌いな虫の中でも最強に嫌いなGよ!Gが出たのよ!」

「部屋が散らかってるからゴキ〇リの住処になってんじゃないの?」

「そんなわけないわよ気を付けてるもん」

「気を付けているような部屋には見えない散らかりようだけど・・・」

「今はそんなことはどうでも良いの!!GよG!今机の裏に黒いの逃げてったから!」

「いる?」

「いるわよ!兎子とこ!早くあれ持ってきてよあれ!殺虫スプレー」

「自分で取ってきなよ」

「無理よ!無理!部屋から出るのに机の前通らなきゃじゃん!無理だよ。兎子お願いだからー!」

「しょうがないなぁ・・・ほら!」


兎子が投げたスプレー缶は放物線を描き沙月から遠く離れた机の近くに落ちた。

遠い私の位置から明らかに遠くそしてその場所はGから最も近い・・・最悪の場所だ。


「何やってんのよ!何の意地悪?この間冷蔵庫のプリン食べちゃったことへの復讐?」

「えっ食べちゃったの?お姉ちゃん私のプリン食べちゃったの?うわっ最悪、殺虫スプレーとか渡さなきゃよかった」

「渡せてないわよ!むしろ最悪の場所に落ちてるわよ。必勝の武器が敵の近くに落ちてるわ

「もう知らない!自分で何とかしてよ」

「ちょっと待ってよ!待ってよ!見捨てないで!!」


私の叫びもむなしく兎子は去って行った。

1人取り残された私は途方に暮れた・・・。

しかしこのままでは私の命に係わる。

あいつとGと一緒にこの部屋で過ごすことなど出来ない。

勇気だ!勇気をだせ笹月沙月!


自分を応援し鼓舞した。

そして勇気を振り絞り走りだした。

やつが飛んで逃げる可能性を考え殺虫剤めがけてダイブした。

スプレー缶を手に取りそのままタンスの裏に向けてスプレーを発射した。


「うぎゃぁぁぁあ!!」


悲痛な断末魔をあげGは死んだ。


断末魔・・・?

Gって断末魔あげたっけ?



超怖い。

なんかすごく怖いんだけど断末魔が気になるのでしぶしぶ恐る恐るスプレーした先をのぞきこんだ。


小さいおじさん・・・羽の生えた小さいおじさん。

なんだこれ?キモ!


「ねえ兎子ちょっと来てよ!!」

「嫌よ!」

「本当に来てよGよりも大変なことになってるよ」

「なんだか知らないけど嫌!」

「プリン買ってくるから!!3倍買ってくるから!!3倍返しよ!」

「プリン3つ・・・手を打とうっで何?」

「あれよあれ!」

「んー?なんだ自分でゴキ◯リ退治できたんじゃん」

「違うのよ違うのよ。よく見てよ!」

「何ぃ?うわっ大きくない?このゴキ◯リ」

「違う違うよく見てよ!」

「なにこれ?気持ち悪!!おじさんじゃん」

「ちょっと兎子捨ててきてよ」

「やだよゴキ◯リならともかくおじさんじゃん、きもすぎるよ真子っちゃんにでも頼んでよ。私も触りたくない」


真子は私の幼馴染にして親友だ。

確かにいざって時には頼りになる女だが・・・。



そして30分後


「なんだ、なんだゴキ◯リごときで私を呼び出すな」

「違うのよ違うのよ真子。Gのおじさんなのよ。いや違う、おじさんがGなのよ」

「ゴキ◯リのおじさん?沙月お前何言ってるかわからんぞ」

「見てよ見て!あれを見て!」


真子はおじさんに近づき覗き込む。

そして躊躇なく指で力強くつついた。


「ちょっちょっと大丈夫なの?」

「大丈夫じゃないぞ」

「じゃあつつかないでよ!」

「そこじゃない」

「じゃあどこ?」

「こいつは妖精だぞ」

「妖精?」

「そうだ妖精を殺したってことは仲間が必ず復讐しに来るぞ」

「えっ?どうしよう?どうしよう真子?」

「私は無関係だろ」

「どうしよう兎子?」

「お姉ちゃんが殺したんだから自分で責任とってよ。自首したらいいんじゃない?」

「自首ってなによ妖精殺しましたって警察行くの?頭おかしいと思われるわよ。そもそも妖精ってなによ?」

「妖精は妖精だぞ」

「復讐ってなによ?」

「復讐しにはもう来てるぞ。そこに」


可愛らしい小さな子供、背中に生えた羽で宙に浮いている。


「あらかわいいじゃない」

「危ない!うかつに近づくな」


真子の注意は一足遅かった。


キャシャァァァァァ!!!!


聞いたことがない悲鳴というか鳴き声とともに可愛らしい子供の顔は鬼の形相に変化し私の手に嚙みついていた。


「痛い痛い痛い痛い!!助けて!!真子助けて!!」

「しょうがないな・・・ちょっと待て」

「待てない待てない痛い痛い痛い!!手とれる手とれる!!」

「兎子っち磁石あるか?」

「えー昔は部屋にあった気がするけど・・・小学校の時のだし・・・あったかなぁ」

「探してきてくれるか?」

「えー面倒くさいけど真子っちゃんのお願いなら探してくるよ。お姉ちゃんのお願いなら見捨てたけど」

「痛い痛い痛い痛い・・・はやく・・・・」

「うるさいなぁお姉ちゃんは・・・今探してくるからちょっと待っててよ」


そして私の意識が遠のき走馬灯が走り力尽きかけたその時・・・。


「真子っちゃんあったよあったよ磁石」

「おーあったか!ギリ沙月は死なないですみそうだな」


ガシャン!!


私に噛みついていた妖精は磁石に吸い寄せら磁石にくっついた。


「あぁーくそっ!!!何しやがるんだ!!放しやがれ!!!」



「暴れても無駄だ。お前ら金属の妖精は磁石に弱い。すぐに動けなくなる」

「真子ー!!助けてくれてありがとう!!」

「やめろ顔から噴き出た血がつくだろ」

「兎子あなたにはもう絶対にプリンはあげないわ!」

「えーひどくない?ここに来たら3つくれるって言ったじゃん」

「うるさい薄情者!!!」


「プリンの心配より自分たちの命の心配をしろ!我らの同胞を殺したお前らを我々は絶対に許さない」


「あれは・・・手違いって言うか・・・Gっぽかったからつい」

「なんだと!!我らの同胞をゴキ◯リ扱いだと!お前ら・・・」


ブシューゥゥゥゥ。


真子が殺虫スプレーゴキジェッターを妖精に吹き付けると妖精は力尽きた。



「沙月こいつらと話をしても無駄だ。1度逆上したこいつらは何を言っても無駄だ。沙月、お前と妖精の戦争が始まったんだ妖精が全滅するかお前が死ぬまで戦争は終わらない」

「ええっ?なにそれ?私1人なのに妖精は全滅するまで?いったい何匹いるのよ」

「さあ?」

「さあ?ってどうするのよこの先」

「あー殺したのお姉ちゃんなんだから私を巻き込まないでよね」

「なんて薄情なこと言うのよ2人しかいない姉妹なんだよ」

「2人しかいない姉妹を巻き込まないでよ」

「兎子ちゃん残念だけど私たちも巻き込まれるわよ現場にいたのを妖精に見られたから妖精たちの戦争の対象だ」

「お姉ちゃん迷惑!巻き込まないでよ」

「何言ってるのよ兎子がGがいるって時に助けてくれなかったからでしょう?」

「お姉ちゃんが放っておいたらこんなことには・・」

「2人とも姉妹喧嘩はここまでだ次のお客さんだ」

「ええっ?なになに次はなにが来たの?」


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