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第12話 あまりにも暇なのでオチが素っ裸の百合ライトノベル≪最後の聖女は誰なのか?≫についてネットの動画配信で語り尽くす

三枝さえぐさスイレンは百合ライトノベルを好む。

そんな彼女から最近になって教えてもらったの作品が≪最後の聖女は誰なのか?≫である。

「それじゃあ、さっそく今日も百合ライトノベルをおすすめするよぉ~!」

昼休憩で私の自室にやってきたサクラが動画配信を始めると、開始早々に元気よく言った。

「スミレ、あらすじ説明よろしく!」

サクラにそう言われ、私は淡々とあらすじを述べ始めた。

「女性しか住めないナゼヌグ国の女王であるルナ女王はのちに国を性欲まみれにすると言われている最後の聖女を探していた。言い伝えによると最後の聖女が魔力を行使するのは、おやすみの日と呼ばれる多くの人々が同時刻に眠りにつく安らかな日と言われている。各家庭には一体ずつ魔除けの石像が置かれているが、近年、それらの石像が魔力を蓄えていることが広く知られ始めた。調査すると魔除けの石像は一定以上の魔力をためると、動き出すという。女王は配下の者たちに最後の聖女を探し出すように伝令するが、おやすみの日になっても最後の聖女の居所はつかめなかった。翌日、無くし物を見つけるのを職務とする探索官のアリアが魔力がたまりすぎて女性の性欲に目覚めて皮膚が人肌となった町を闊歩する魔除けの石像たちを発見する。魔除けの石像たちは若い大人の女性の姿をしており、光の魔法で胸と陰部を隠していた。衝撃を受けた人衆は服を着るのが恥ずかしくなり、魔力を使い、光で胸と陰部を隠したままの素っ裸で一日中パーティーに明け暮れるようになった」

「いや、最後の聖女は最後まで登場しないの!?」

サクラがすかさず私に問う。

「最後まで登場しないよ。最後の聖女については作中でその正体は明かされてないよ。大方の意見では、国に住む一人ひとりの女性の性欲が魔除けの石像に伝染したって考えられているね。つまり、ナゼヌグ国に住む女性たち全員が最後の聖女だと大半の読者に思われてる。それより、大人の女性たちが素っ裸になるんだよ」

「それはそれで、なぜそうなった!? 恥ずかしいから服脱ぐってどういうこと!?」

「ナゼヌグ国は常夏だからね」

私がサクラの質問に答えた。すると、さらに追加でサクラに聞かれた。

「暑いから肌出したかった?」

「暑さにやられて頭の考えがシンプルになったんじゃないかと百合マニアたちには言われてるよ」

「とんでもない百合ラノベだなぁ~」

サクラは嬉しそうな顔でにんまりしながら言っていて、頭のなかではファンタジーに生きる大人の女性たちの素っ裸を想像しているように思えた。


ちなみに、≪最後の聖女は誰なのか?≫の続編の話はこんなあらすじだ。

アリナ・オールドグリーンは時間の聖女と呼ばれている。

彼女にはウィンという同い年の恋人がいる。

彼女には長い間、会っていない。

手紙を書いても会おうとしてくれない。

ウィンは生まれたときは年老いた声しか出せなくて、大きくなると赤ん坊の声しか出せなくなる魔法にかかっていた。

アリナ・オールドグリーンは彼女に時間の魔法をかけた。

その日からウィンは本来の声を取り戻してアリナ・オールドグリーンは赤ん坊の声ではなくなった恋人の彼女と再会できた。

という話が、≪最後の聖女は誰なのか?≫の続編の内容である。

そのあらすじを知ったサクラは目を潤ませて感動したような表情をしていた。

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