表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
219/225

カシューの町おこし!

 リヴィオが言った。


「カシュー地方の寂れた感をどうにかしたい」


 リヴィオを始め、ジーニー、トトとテテ、私の5人が執務室に久しぶりに集結していた。


 カシュー地方はバシュレ家の父が管理していた領地だ。重くかけられた税に領民たちは苦しみ人口は流出、土地は荒れてしまっていた。


「もともとは肥沃な地だから、いい感じに伸びては来てるけどね」


 ジーニーが統計表をパラリとめくって、そう言うが、リヴィオはウーンと腕組みした。


「うまくはいってる。だけどナシュレほどの賑やかさがない。そこで、いい案が無いか聞きたかった」


 トトがハイッと手を挙げる


「からくり人形で働き手を増やすのだ!からくり達の街を作るのだー!」


「こえーな……おい……その発想、ロボット的なやつだな」


「き、近未来ね」


 魔法世界なのにSFにするつもりか!?ここから!?……と、私とリヴィオは顔がひきつる。そういう意味じゃないんだとリヴィオが却下した。


「今、カシューにいる人達、それから出ていった人達を呼び戻し、活気づけたい」


「また新しく美味しいお店を開店するとかどーなのだ?セイラは思い浮かばないのだ?」

  

 テテに尋ねられ、私はそうねぇと考える。


「今、他国にも温泉を広げてて、余裕ないのよね……カシューにも銭湯やアイスクリーム屋さんとかは作ったけど、新規でお店となると、それはそれで……」 


 一日48時間ならなぁと遠い目をする私にリヴィオが働きすぎるなと釘を差してきた。


「カシュー地方は農業の盛んな小麦がよくとれる領地だろう。それを利用してみたらどうかな?なにより王都から近いという利点を使わない手はないだろう」


 ジーニーが提案する。その提案は一番現実的で良かった。今、季節は初冬。始めるのは春からということで、準備をすることにした。


『うまーいっのだー!』


 トトとテテが力をこめて言う。『自家製ピザ作り』を体験してみている。ピザ窯から出したばかりのピザは熱々で、はじっこの生地はカリッとし、チーズはトローリと伸びる。アチアチと言いつつ、二人は美味しそうに食べている。


「これも良いなぁ。僕は気に入ったよ」

  

 ビールを作っている所があったので、整備し、ビール工場にしてみた。工場見学後のビールと地元産の野菜料理を出してくれるレストランにジーニーは幸せそうに飲んで食べている。カシューの地ビールは美味しい。深みのある味わいでありながらも飲みやすく、万人に愛されれること間違いなし。


 リヴィオは『馬レース大会』を開催する!と言った。


「まさかっ!リヴィオ!?だめよ」


 私が止めようとすると、肩をすくめる。


「いやいや、競馬じゃないって!落ち着け!純粋に良い馬を集めて、優勝した人には報奨金をあげるんたが、こういう大会すると、良い馬を作ろうと頑張るだろ!?馬の品評会みたいなものだって!」


「賭け事はだめよ?」


 念を押す。


「オレはしたことない!」

 

 オレは?……まさかね?シンヤ君の顔がちらりと脳裏に浮かぶ。高校生の彼にそんなことはできないだろう。


「セイラー!ここも楽しいのだ!」


「ヒャッホーイなのだーっ!」


 トトとテテがはしゃぐ先にはアスレチック遊具。冬の風が冷たいわ……と私は遊んで体感気温が上がってる二人をみつめていた。


 長い巨大滑り台から降りてきて、着地したかと思ったら、ブランコへ走っていく。子どもは風の子……あ、双子ちゃんは子ども扱いしたら怒るんだった。


「ジーニーの体験型の町おこし案は良いかもね。春が楽しみよ」


「本当だな。おまえ、こういう仕事向いてるんじゃねーの?」


 私とリヴィオの褒め言葉に肩をすくめるジーニー。


「僕のこと、王国トップの学園の学園長って、たまに忘れてないかい?でも自分もできるなら好きな仕事したいよ。次、転生したら好きなことをすることにするよ」


 ハハッと私とリヴィオに、そう冗談めかして言う彼。転生したら……なんだか転生してもジーニーは私とリヴィオの近くにいそうな気がする。そんな予感がした私だった。

読んで頂きありがとうございますm(_ _)mカクヨムでもカエデネコで活動しています。よかったらのぞいてみてください(*^^*)更新はあちらのほうが早いかと思います。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ