「俺に歯向かうメンバーは、デスカントリーに追放するっす。」 狂暴な魔物がいる国に追放になったけど、討伐者の俺は強敵魔物と戦えて、財宝探者のヒロインは豪華な財宝を収集できて願ったり叶ったり。
俺トーバーツは、念願叶って第一希望のギルドである、プライミャリーホープに入社ならぬ、入ギルドすることが出来た。
プライミャリーホープには、多くの討伐者と財宝探者が所属している。俺は討伐者だ。
討伐者は、強力な武器、あるいは呪文を用いて、危険な魔物を討伐する。戦いに必要な技術や知識を持ち、魔物の倒すことで、その脅威から人々を守ることができる。
一方、財宝探者は、財宝の発見と入手に長けている。高い器用さ、観察力を有している。魔物が持っている財宝をすり取ることや、ダンジョンや迷宮の奥深くにある宝物を探し出すことが可能だ。
討伐者と財宝探者は、お互いに協力しながら探索を行い、それぞれの得意分野を活かして活躍することができる。
プライミャリーホープには、様々な任務が用意されいる。探索者は、任務を受けて探索に出かける。任務の内容は、単純なモンスター討伐や財宝収集から、難易度の高いダンジョン攻略まで様々である。
プライミャリーホープは、その規模の大きさによって、探索者達から人気のギルドとなっている。
プライミャリーホープには、いくつかパーティーがあり、ギルド員はいずれかのパーティーに配属となる。俺の配属先は、ツウィーフォウスルーノという名のパーティーだ。
今日は、ツウィーフォウスルーノのギルド活動に初めて参加する日だ。
ツウィーフォウスルーノがある部屋き向かって歩いていると、聞きなれた懐かしい声が聞こえた。
「トーバーツ! 久しぶり」
俺は声が聞こえてきた方向を振り返る。
そのタイミングで、同じギルドに所属していると思われるヤンキーが、俺に話しかけてきてくれた人に近づいた。
「あんた、めちゃくちゃかわいい。まじパネェ。長くてキラキラしている黒髪や、つぶらな瞳も俺のタイプ。一緒にお茶でもしようぜ」
「すみません、これからパーティーの活動に財宝探者として参加するところで……」
「あんたのパーティーには、俺から話しておくので問題ないぜ。てか、パーティーに参加する為に、こっちにきているってことは、ツウィーフォウスルーノのギルド員っすね」
「俺も、ツウィーフォウスルーノに所属しているぜ。俺が討伐者、君が財宝探者として組もうっす」
「えっ」
「俺の言うことを聞くやつがこのギルドにはたくさんいるっすから、探索しなくても成果を手に入れたことになるぜ。討伐や財宝収集に行かずに、成果が手に入るから俺と組むとお得っすよ」
「えっ、財宝収集に行かない…………。すいません、組むことはできません」
断りの言葉が発せられた。そのことでヤンキーは、逆上したようだった。
「俺の誘いを断るとまじ怖えっすよ」
ヤンキーは、手を掲げた。その手にはプライミャリーホープの紋章が刻まれているストーンが掴まれていた。
ストーンで殴りかかろうとしているのだろうか。
俺は、二人の間に入る。
「やめて下さい。嫌がっているじゃないですか」
「やめないっす」
話し合いで解決できそうに無いな。呪文を唱えよう。
「ス・トーン・ウゴォ―・クエー・オルェ・ノ・イシィ・ヌィ・シツァ・グァー・エ」
ストーンを、とても速いスピードで移動させて、ヤンキーの目のすぐ前で止める。
ヤンキーは、怯んでいるようだった。
「逃げるわけでは無いぜ!戦略的撤廃っす!」
ヤンキーは、脱兎のごとく走っていった。
「助けてくれて、ありがと。私のこと覚えてる?」
「覚えてるよ。君は俺の幼馴染であるトレジャだ。よく、一緒に宝探しをして遊んだね。」
「良かった、忘れられてなくて」
「忘れるわけないよ。俺も、ツウィーフォウスルーノの所属しているから、トレジャと一緒だ」
「えっ、ほんと。うれしー」
「俺もだよ。」
「ツウィーフォウスルーノへ一緒に行こう!」
俺たちは、ツウィーフォウスルーノの集まりに向かった。
トントン。
「「失礼します」」
俺たちが、部屋の中に入ると、すでに多くのメンバーが集まっていた。その中には先ほどのヤンキーもいた。ヤンキーは俺とトレジャに気が付いた。
「こいつらが、俺にストーンをぶつけようとして呪文を唱えた奴と、俺と組むのを拒否った奴っす」
周囲の雰囲気が変わった。
「まさか、ギルド長の孫であるツウィーフォウ・プライミャリーホープ様に歯向かう奴らがいるとはな。信じられない」
えっ。
「ツウィーフォウ様が、ギルドの紋章が刻まれたストーンを翳すと、どこからともなく屈強なモヒカン集団であるヒャッツ―・ハーがやってくると噂なのに」
「このツウィーフォウスルーノのパーティーリーダーでもあるのに……」
ギルド長の孫でパーティーリーダーだったのか。世も末だ。プライミャリーホープとツウィーフォウスルーノは大丈夫なのだろうか。
ツウィーフォウが俺とトレジャに話しかける。
「俺にストーンをぶつけたメンバーも、俺と組むのを拒否ったメンバーもツウィーフォウスルーノにはいらないぜ」
「俺に歯向かうメンバーは、デスカントリーに追放するっす。デスカントリーにいる、まじぱねェ魔物達の手にかかればあんたらなんて、一瞬でティウンティウンっす」
デスカントリーの魔物達は、人間を狙い、狂暴に襲い掛かることで有名だ。しかしデスカントリーには、多くの貴重で高価な財宝が隠されているので、命懸けでデスカントリーに挑戦する探索者が後を絶たない。
狂暴な魔物と戦えるのは、楽しみだな。
「あんたらは、やべぇ恐ろしさと怒りを感じてるはずだぜ。だからと言って悪あがきで俺を殴ったらダメだぜ。俺を殴ったらデスカントリー中でも、一番すげェ豪華な財宝がある変わりに、一番狂暴でぱねェ魔物がいるデスドーツトゥで探索させるっす」
(えっ、ツウィーフォウを殴ったら、豪華な財宝の収集に行ける……)
トレジャが手を握りしめているのが見えた。
トレジャは握りしめた手をツウィーフォウがいる方向に動かした。そしてツウィーフォウを殴った。
「痛いっす。痛いっす。お前はデスドーツトゥ行きっす」
(やったー、デスドーツトゥに行ける。)
トレジャのデスドーツトゥ行きが決まった今、俺はどのような行動をしたいのかと考える。思いついた答えは1つだった。
ツウィーフォウを殴る。
「お前も殴りかかってきたっすね。痛いぜ。痛いぜ。お前もデスドーツトゥ行きっす」
こうして俺とトレジャのデスドーツトゥ行きが決まった。
それから、およそ1か月の時が過ぎた。
俺とトレジャは、デスドーツトゥで探索を行っている。デスドーツトゥには、多くの危険なモンスターやトラップが存在していた。だが、俺がモンスターを倒し、トレジャがトラップを解除することで難なく進んでいった。
ついに、最深部に到達した。
最深部には、トーバーツが今まで見たことがある中で最も強く、最も狂暴な魔物がいた。魔物は、非常に豪華で貴重な財宝を持っていた。
戦闘で財宝が壊れることを防ぐ為には、財宝を魔物から離してから呪文を唱える必要がありそうだ。
トレジャは、隙をついて魔物に近づいた。そして、財宝を自分の手につかんだ。
トレジャが魔物から距離をとったことを確認すると、俺は呪文を唱えた。
「エヌェー・ルグィー・ノ・ハドゥー・オルェ・ノ・イシィ・ヌィ・シツァ・グァー・エ!」
俺が唱えた呪文は、エネルギーで構成されている波動を放ち、魔物を倒した。
よっしゃー!
俺とトレジャは、呪文を唱え最深部での活躍を記録した。
「トレジャ。君の財宝収集スキルは本当にすごいよ」
「ありがと。トーバーツの呪文もすごかった」
「次はもっと強い敵と、さらに豪華な財宝を相手にしよう」
「そうだね。今から楽しみー」
数日後、プライミャリーホープのギルド長から、俺やトレジャと話をしたいと連絡が入る。映像と音声を送受信する呪文を使うことで、遠くにいる者とも連絡が取れる。俺とトレジャは呪文を唱えた。
「「エーイゾ・コーゥエ・ツヌァガーレ」」
すると、映像と音声が繋がり、ギルド長と話せるようになった。ギルド長が会話を始める。
「狂暴な魔物を撃破したこと、豪華な財宝の入手したことを、称え、祝福します。これからも、二人の活躍を期待しています」
「「光栄です、引き続きプライミャリーホープに貢献致します」」
ツウィーフォウが、映像と音声を繋げてきた。
「この二人が、こんなに活躍するなんて信じられないっす」
ギルド長が怒ったように話す。
「トーバーツとトレジャの活躍は見事であったぞ。それに比べてお前ときたら」
「お前をプライミャリーホープ家の者としてふさわしい人間にする為、デスカントリー行きを命じる」
「そんな。あんまりっす」
附録:ステータスシート
【トーバーツ】
職業:討伐者
体力:75
魔力:100
攻撃力:80
防御力:80
器用さ:50
観察力:70
特技:呪文
【トレジャ】
職業:財宝探者
体力:70
魔力:40
攻撃力:70
防御力:75
器用さ:100
観察力:100
特技:財宝のすり取り
【ツウィーフォウ】
職業:討伐者
能力値:測定するに値せず。
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