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第6話 薬草採取は最強?

転生した当初、自分は無一文で、他に何も無いと落胆していた仁だが、備わっている能力や革のポシェットが、この世界ではとんでもないポテンシャルを持っていることに気が付く。これらの能力を使えば、何時でも金を手に入れる事ができる事を知った。しかし、それらを自分に与えた神の存在が気になるのだった。


俺はギルドに戻り、カウンターのお嬢さん(いや、お姉さん)に声をかけた。


「あ、あのー・・」


「あら?・・さっきの・・確か・・ジン君だったわね」


「はい、・・えっと、名前が分らなかったので声をかけれませんでした」


「そう言えば・・私の方こそ名前を言っていなかったわね。私はマチルダよ」


「そうですか。さっきは有難うございました、マチルダさん。」


「うふふ・・いえ、どういたしまして・・ところで、どうしたの?

 薬草採取に出かけたんじゃなかったの?・・あ、そっか、明日の朝から出たほうが、長く採取できるものね」


「あ、・・いえ、採取して戻りました。近くにいっぱい生えていたので・・」


「え?!・・採ってきたの??・・近くにいっぱい??」


「ええ、固まって生えている所は少なかったですが、いっぱい生えていますよ!」


「ええ? ホント?!で、どのくらい採ってきたの?」


俺は小さなポシェットの中に片腕を突っ込んだ。


「ち、ちょっと待って!!」


「え?!・・な、何ですか?」


「あなたのその小さなポシェットの中に入っているのね?」


「そ、そうです・・」


「そのポシェット・・空間収納のポシェットよね・・人に見られたら襲われるわよ!」

 

「ええ?!ど、どういう事ですか?」


「空間収納袋は超高額商品なのよ。それを君のような少年が持っているなんて知れたら、奪ってください。と、言っているようなものだわ。大人になっても滅多に人前では使わないの。だから、絶対に人前で使っちゃダメ!分かった?」

 

「は、はい・・分かりました・・」


「奥の部屋に来てちょうだい。そこで薬草を受け取るから」


空間収納ってのは、確かに便利だが・・そんなに高価なものだとは知らなかった。

マチルダさんが部屋に鍵をかけると、ホッとした顔をして俺に向き直った。


「良いわよ。出してちょうだい」


「はい・・ドサッ!」


「え?」

「え?」


「な、何なの・・この量・・」


「あ・・少なかったですか・・昼からの採取だったので・・この程度しか・・」


「お、多すぎよ!・・せいぜい5束くらいかと思ってたわ・・」


「お、多すぎでしたか・・す、すみません!」


「なんで謝ってるの?! スゴイわ!凄すぎるわ!! 一度にこんな量の薬草を見るのは初めてよ!しかも・・貴重な解毒や解呪まで・・ジンくんだったわね・・どうやったらこんなに沢山の薬草を・・」


「えっと・・それは・・」


「あっ!・・ゴメンなさい!ギルド職員はそういった事を絶対に聞いてはいけなかったわ。私としたことが・・つい、興奮しちゃって・・


これだけの量だと、私一人に任された買い取り量を遥かに超えてるわ。

支部長を呼んでくるからちょっと待っててね」


そんな訳で、支部長が現れ、マチルダさんと同じように目を丸くした。


「私はこの支部の支部長をしている『ゼイル』だ。


「ジン君・・だったか? 良くコレだけ採取した!大した素質の持ち主だ!

しかも、量が多いと、よく似た雑草の量も増えるのだが完璧な採取だ・・

報奨金は1キロ毎に銀貨1枚支給される。そして、買取相場は我が街の上乗せ相場で買い取らせてもらうよ。


報奨金は銀貨100枚だから中金貨1枚(10万円相当)、

買取額は・・薬草の種類によって違うので・・ちょって待って欲しい・・

マチルダ、頼む・・」


「はい、お任せください・・先ず薬草について説明するわね!


薬草の種類と1キロあたりの価格だけど・・

癒し草・・小金貨2枚

回復草・・小金貨5枚

解毒草・・小金貨15枚

解呪草・・中金貨5枚

魔力草・・小金貨15枚


そしてそれぞれに5つのグレードがあるの・・

スタンダード、ミディアム、ストロング、エクストラ、ロイヤルの5種類ね。

買い取りは全て1キロあたりのスタンダードが基準で、グレードがひとつ上がるごとに買い取り価格は1.5倍になるのよ・・


今回は・・

癒し草 20キロ

回復草 45キロ

解毒草 10キロ

解呪草 5キロ

魔力草 20キロ

 

凄いわ!・・エクストラやロイヤルの種類も入ってるわ!!合計で・・ええ?!! 」


「ん?どうしたんだ、マチルダ?」


「はい・・合計お支払総額は・・小金貨1650枚です!!」


「な!!・・せ、せん・・1650枚?!」


「何かの間違いでは無いのか??」


「いえ・・間違いではありません・・何度も計算しました」


「そ、そうか・・ははは・・参ったな・・

ジン君・・その・・いま君に買い取り金を支払ってしまうと・・」


「ギルドの小口現金が無くなってしまうのですね?」


「そ、その通りだ・・そこで・・提案なのだが・・

我が国のギルド協会は王国の銀行窓口も併設している・・」


「良いですよ、少額の手持ちを残して、それ以外は全てその銀行に預金します」


「そ、そうか!・・助かるよ・・恥ずかしいところをお見せして済まない・・」


「気にしないでください」


「では支払金の確認と受け取り証にサインしてもらいたい。今すぐに現金を用意するから待っていてくれたまえ」


「はい」


「マチルダ、支払の現金を持ってきてくれ」


「え?・・ですが・・いま預金すると・・」


「ええ、殆どを預金しますが、受け取りの確認をしなくてはならないので、見せ金を持って来るように、って事ですよ」


「その通りだ。だが・・ジン君・・君は本当に子供かね?よく『見せ金』なんて言葉を知っているな?」


「あ、あははは・・見た目以上に色々苦労してますので・・」


「そのようだな・・マチルダ、急いでくれ」


「はい!ただいま!!」


マチルダは、高額現金支払い用の豪華な手押しキャスターに、うず高く積まれた金貨の山を持ってきた。


ハッキリ言って、この世界の貨幣価値はまったく分かっていない。

が、話し方や態度で相当良い金額を提示してくれたに違いないことが理解できた。


「ジン君、確認してくれたまえ」


「はい、高額で引き取っていただきありがとうございます」


「いや、良いんだ。これからもよろしく頼むよ」


「分かりました・・ですが、あまり大量に持ち込むと、相場が崩れしませんか?」

 

「ほほう・・君はその年令で相場についての理解もあるようだ。大したものだな・・

相場の値崩れは心配に及ばんよ。君が馬車で10台ほど薬草を持ち込めば話は別だがな。

 

厳密に言うと、毎日この量を持ち込まれると相場は崩れる。だが、10日に一度程度なら、この量でも値崩れは起きないよ。


それと、忠告だが・・大金は持ち歩かないほうが良い。普段の生活なら、小金貨5枚、もしくは銀貨50枚(5万円相当)もあれば十分だろう」


「そうですか、分かりました。薬草を採り過ぎないように気をつけます。それと、さっそく金貨を預けさせて頂きます。有難うございました」


「うむ、礼をいうのはこちらだ」


ちなみに、この世界では銀貨1枚が1000円に相当する。

「大金貨」が100万円、「中金貨」が10万円、「小金貨」が1万円・・

そして、「鉄銭」が100円、「屑鉄銭」が10円、「石銭」が1円だ。


最低の「Fランク」初日で、大金持ちになってしまった!!


ピッ!

天職:薬草鑑定家 レベル8000、酪農家 レベル4000 が追加されました。


ええ?? 複数の天職ってアリなの? それに・・異常にレベルが高くないか?

だいたい・・ちょっと薬草集めただけで、薬草鑑定家って・・オマケに農作業した訳じゃないのに、酪農家ってか?・・盛りすぎだろ、これ・・


あなたのスキル習得速度やレベル上昇速度は神によって設定されました。

この世界の一般的な速度ではありません。


そうなんだ・・有り難いけど・・ちょっとズルいよな。

ズルいですが、神が設定したもので変更することは不可能です。


いやいや、変更なんて絶対しません!大いに享受します。

でも、神は何で俺にそんな凄い効力を授けたんだ?


分かりません。


そうか・・



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