第4話 就職難民
ノートの発見によって、ある程度のスキルを身に付けた仁。
さっそく自信の詳細な技能を確認するのだったが、「職」に関する能力が何も備わっていないことに愕然とする。今日からの寝食すら定かではない今の現状に不安を募らせるのだった。
備わっているスキルはこの5種類だけらしい。
それより・・族腫と天職がおかしい・・
他の連中は「族腫」に「人族」とか「獣人族」とか・・まあ、見た目で判断できるそのままが表示される。
だが・・俺は違う。族種が「転生者」となっている。
さらに「天職」は「未定」だ・・未定ってなんだ?
職が決まっていない「就職難民」みたいな感じで少し寂しい気がする・・
まあ良い・・
未だこの世界のことは全く分かっていないが・・
取り敢えず自分の能力はだいたい把握できた。
とにかく、どうにか収入を得なければならない。
さっきの屋台の売り子に訪ねた。
「何度もすみません・・」
「どうしたの?」
「僕ぐらいの歳の子が収入を得るとすれば、どんな事ができますか?」
「そうねー・・荷物運びはちょっと無理よね・・君ぐらいの子たちで一番オーソドックスなのは『薬草採取』かな・・やっぱり・・」
「薬草採取ですか?」
「そうよ、この街は大きなダンジョンのある街だから、ダンジョンに挑戦する冒険者で溢れているわ。それに伴って怪我人や病人、魔力回復のマジックポーションは必需品なのよ。
だから、そのポーションの素になる『薬草』は幾らあっても足りないくらいなの。
君くらいの歳の子たちは、薬草の販売でお金を稼いでいるわ。
薬草は常に不足気味だから、買取額も他の街よりだんぜん高値で引き取ってもらえる。
下手な冒険者より稼いでいる子達がけっこう居たりするのよ」
「そうなんですか? 薬草は何処へ行けば手に入るんですか?」
「この街を出て半日ほどのところにある森と・・草原ね。採取した薬草は商業ギルドか冒険者ギルドで買い取ってくれるわ。でも、高値で買い取って貰いたいのなら、ちゃんとギルドに登録したほうが良いわよ。報奨金ももらえるから」
「そうですか!分かりました!・・で、冒険者ギルドはどこに有るんですか?」
「うふふ・・眼の前よ。・・ほら、あの建物が冒険者ギルドよ。あそこで登録すれば、君も立派な『冒険者』よ!」
「あ、ありがとうございます!」
「がんばってね!」
「はい!」