世界の過去
フレイヤは森のこと、世界のことについては教えてくれた
かつて神々と魔族が戦争していた頃、そのちょうど中間にあったのがこの森だという
元々森は美しかったが、戦争で木々は焼かれ、動物たちは住む場所を失っていた
神々は「神聖力」、魔族は「穢れ」と呼ばれる力を持っていた
最も戦いを長引かせたのは魔族の持つ「穢れ」と呼ばれる力
穢れは不安や恐怖といった負の感情の塊であり、魔族がそこに立っているだけで増幅していく
つまり増えていくのだ
全ての魔族は体内に穢れを宿しており、穢れが強ければ強いほど魔族の力も大きくなる
この穢れは神々にとっては猛毒であり、魔族にとっては力そのものである
神の配下に着いていたエルフに関しても例外ではなく、さらに神よりよ耐性がないため、近づいただけで体に異常をきたす
エルフ達は魔族に近づけないため、弓を作り魔族たちと戦っていた
戦争は対穢れ用に作られた神々の武器である人間の出現によって終わりを迎える
穢れをそもそも内包していることによって人間は穢れへ強い耐性を持っていた
しかし、神の神聖力も内包しているため、器が耐えることが出来ず、50年程度しか生きることが出来なかった
人間の活躍により100年以上続いた戦争は1年で決着が着いた
世界を平定したあと神々は自分達の魂を犠牲に世界から残った穢れを消し去った後、エルフに世界の監視を任せ、戦いの報酬としてこの世界でいちばん美しかった森を渡した
そして残りの土地を全て人間の物として渡した
最後に残った神であるエデンはもう一度魔族が侵略してきた時に世界を元の状態にリセットする役割を担い、眠りについた
その後百年世界に平和が訪れた
ここまでがエルフに伝わる神話
そしてここから先は実際に今起こっている事態について
現に魔族は復活している
復活していると言うより、新たに生まれたのだという
神聖力は穢れを払うことができるが、穢れが大きすぎると穢れに飲み込まれ、より大きな穢れになってしまう
そのせいで人間が魔族として生まれ変わってしまうのだ
人間は神の手から離れたあと独自に文明を発達させて行ったが、内包した穢れのせいでお互いに戦争をした
その中で負の感情が爆発し、魔族が生まれてしまった
魔族は自分たちの住みやすい世界にこの世界を塗り替えるために少しずつエデンに気づかれないように人間の世界を侵略していた
エデンが目覚めた時には世界の4分の1が魔族に侵略されていた
それは神々にとって不測の事態だった
ここまで多くの穢れはエデンのみの神聖力ではリセットしきれない
人間の神聖力を借りようにも半分の人間は魔族に堕ちてしまっている
少しずつ神聖力を貯めて少しずつ世界をリセットしていくしかない
そうしている間にも魔族は侵略を続けてくる
そこで、新しく人間を増やして魔族の数を減らすと同時に神聖力を借りてリセットを行っていくという作業に切り替えたのだ
そうして増やされた人間は通常の人間よりも強い神聖力と穢れを持っている
つまるところそれは私たちだ
穢れを持っているから魔族と真正面から戦っても問題なかったというわけか
まだ分からないことは多いが、かなりの物事の合点がいった
フ「森は神の結界によって、穢れがあるものを閉じ込める力がある
じゃから人間や魔族は出られないのじゃ
そうして迷い込んだ人間や魔族は穢れの溜まり場と呼ばれる森の中心に迷わされ、そこに隔離されて浄化の時を待つ
しかし、今回入った魔族があまりにも穢れが強すぎて溜まり場から穢れが盛れだしてしまったのじゃ」
フレイヤは続けて説明してくれる
フ「森の中心に近づくにつれ、魔物も増え出すじゃろうし穢れが強まって強くなっていくじゃろう
ワシも協力する
力を貸してくれ」
マ「勿論です!」
メ「そもそも協力しないと森から出れないしな」
フ「安心せい
協力してくれればちゃんと外まで送り届けるわい」
そうして私達は森の中心に向かって歩みを進めた