報われなかったもの
メ「アンタ魔族の王なのか?」
『いや、我は魔族の王ではない
魔族に城を奪われたのだ』
メ「なるほど」
『今魔族の王が誰かは分からんがそやつを討ち、我が城を奪い返す
それもひとつの願いだ』
メ「それなら協力できるかもな」
『お前のような小僧に何が出来る?』
メ「アンタほどの力を持つ奴と一緒ならこの肉体でも奪い返せるだろ?」
『我に協力しろと?』
メ「自分の城だろ
自分で取り戻せよ
むしろそれに協力してやるって言ってるだけ良心的だと思うが?」
『ならばお前を殺してお前以外の宿主を見つけるだけだ』
メ「それでまた100何十年も棒に振るくらいなら俺で妥協しといた方がいいと思うぞ?」
『これではどちらが交渉されてるのかわからんな…
よかろう、ならばお前に協力してやろう
手をかざせ』
メ「体動かねんだよ」
『なら合わせる気持ちだけでいい』
言われた通り心の中で手をかざす
すると自分の肉体からもう1つの腕が相手に向かって伸び、相手の腕と重なる
その瞬間、メイセイの心の中に何かが入ってくるような感覚があった
『我の名は冥王ハーデス
冥界を統べ、穢れを克服した唯一の王だ
ただし、協力するには条件がある』
メ「なんだ?」
ハ『体の支配権は我だ』
メ「それは聞けねぇ相談だな
俺には俺の生活がある」
とまぁ、こんなやり取りがあり体の支配権を巡って2人がひたすら争っていたせいでメイセイの肉体は動かなかったのである
フ「あやつら、言い争っておるだけか」
ユ「でもあんなに周りに魔物がいるのに何故メイセイは襲われないんですか?」
フ「それは奴が冥王ハーデスを宿したからじゃ
ハーデスは神の中で唯一穢れを克服した神じゃ」
ユ「穢れを克服した?」
フ「ハーデスは生まれた時から穢れを孕んでいたのじゃ
そのせいで強大な力を持っていながら神々から迫害され冥界と呼ばれる穢れの溜まり場に閉じ込められたのじゃ」
ユ「なんだか可哀想な神ですね」
フ「むしろその後の方が悲惨じゃ
追いやられた後、ハーデスは冥界を自分の住みやすい土地に変え、城を作り、妻を娶り逞しく生き続けた
しかしゼウスにより冥界を無理矢理追い出され、冥界は魔族を閉じ込める場所として使われたのじゃ」
ユ「そこまでされたのに何故世界の一部としてこの世界を救ってくれたんですか?」
フ「それについては…まぁ…ハーデスの妻がゼウスの娘であるペルセポネ様だったのじゃ
じゃからハーデスはゼウスに従うしか無かったと言えよう」
ユ「報われない人生だったんですか…」
フ「最後にはペルセポネ様の世界を救って欲しいという言葉を胸に世界の一部になったという話じゃ」
ユ「やはり悪い人ではなさそうですね」
フ「我は強いが悪い神ではないだろうな」
また少し書きためてから投稿します