愚直な愛
マ「今の声は?
ていうか私の体どうなってるんですか?」
光り輝く自らの体に驚きつつも先程頭の中に響いた声の主が何者か戸惑うマホに声の主は優しく答えた
『私はアフロディーテ
愛を司る者であり、あなた方が神と呼ぶ存在です』
マ「それでは、あなたが神様…」
ア『あなたは大切な者を守るというひとつの愛を悟りました
その思いに引かれて私はあなたの元へ来ることが出来たのです』
マ「悟ったなんてそんな大それたこと何も」
ア『あなたが思っているよりあなたの思いはとても強いものだったのです
愛を司る私が呼ばれるほどに』
マ「そうだったんですね…」
ア『あなたはこの暗闇の空間を照らす光のようにこれから先様々な方の光となりうる力を持っているのですよ
こんな風に…』
アフロディーテは笑顔でそう言うとユウの手を握る
少し光ったかと思うと次にアフロディーテが手を離した時にはユウの手は出血も止まり元の状態に戻っていた
ユ「あれ、さっきまでの痛みが全くない…」
マ「ユウさん!
良かった!
ありがとうございます!」
ユ「マホ、誰と話してるんです?」
マ「ユウさんには見えないんですか?」
ユ「さっき何かに触られた感触はありましたが…」
ア『彼の中にも私と同じような存在が見えますが彼は力を宿してまだ間もないようですね
私の姿が見えるようになるにはもう少しかかるでしょう』
マ「私にもアフロディーテ様のようにみんなを癒すことが出来ますか?」
ア『私の力を分け与えますからそう遠くない未来、あなたも出来るようになりますよ
さぁ、手をかざして?』
マ「は、はい!
こうですか?」
マホがアフロディーテに手をかざし、アフロディーテはその手に自分の手を重ねる
すると目の前のアフロディーテが少しずつマホの中に吸収されるように消えていき、やがてマホの体の光も収まった
ユ「マホも神を宿すことが出来たんですね?」
マ「そうです
今ならどんな怪我も治せる気がします」
ユ「では、ここから出る方法を…」
ケ「誰か忘れてない?」
ユ「お前、まだ居たのか」
マ「あなたは私の恐怖心がみせた幻です
私はあなたに私の大切な人が傷つけられるのが何より怖かった
でも、もうあなたは怖くもなんともない
私は例え大切な人が傷ついても癒すことが出来る
そして何より、今の私なら大切な人が傷つかないようにすることが出来る!」
マホがそう言って手を前にかざすとユウは優しい光に包まれた
ユ「なんて心地いい光…」
ケ「それがどうした?」
ケンシが落ちていたナイフを拾い、ユウに切りかかる
ユウは咄嗟に腕でナイフを止めようとするが、ユウに切っ先がたどり着く前に切りかかったナイフの方が折れてしまった
ユ「え、ナイフより固いんですか、この光」
ケ「ば、馬鹿な…」
マ「これで分かりましたか?
もう、あなたは何も怖くないんですよ!」
ケ「くそ!
こんなことあるわけが無い!
次会った時、俺は絶対にマホの大切な者を奪ってやるから覚悟しとけよ!」
そう言ってケンシの幻はゆっくりと暗闇の中に消えていった…




