出会い
翌日、思ったよりこのゲームは人気なのか何人かのプレイヤーが始まりの街周辺にいる
ありがたいことに、周辺で他のプレイヤーが倒した敵の分の経験値も入ってくるので周りを探索しているだけでレベルは5まで上がっていた
始まりの街周辺を探索していると、見えない壁に阻まれることがあった
森、岩場、谷、そして平原の途中でも見えない壁に阻まれた
奥の景色は見えるが、生物の姿は見えないようだ
意外と狭い空間でしかこのゲームは楽しめないのか
景色が綺麗でもっと色々見て回りたかったのだが…
メ「ここもダメか…」
メイセイが呟いた時、異変が起こった
『中央エリアプレイヤー人数が100人を突破しました』
アナウンスが頭の中で響く
『100人特別クエストを自動開始します』
なんだこれは?
他の人たちもキョロキョロと周りを見回している
すると空が夕焼けよりも赤黒く変色し、岩場のある方向から何かが沢山飛んでくる
あれは…人?鳥?
人の背中に羽が生えてるのか?
明らかに異形の存在がとんでもない数こっちに来てる!
「ありゃあ勝てる気がしないな
ログアウトするかー」
近くのプレイヤーがログアウトしようとリストを開き、表情が曇る
メ「どうしたんすか?」
「あんた、ログアウト出来る?」
メ「え、そりゃあ…出来ない!?」
ユ「おい、どういうことだ?」
メ「やってみろ
そもそもリストのメニューが開けねぇ
クエスト前なら出来たのに」
本当だ…
ログアウト出来ない…
つまり、あのとんでもない数の敵を倒さない限り私達はここから出られないのか?
ユ「こんなこと今まで無かったのに」
メ「リストの不良って訳ではなさそうだな」
ユ「やるしかないか」
メ「行けると思うか?」
ユ「やらないとログアウト出来ないんだからやるしかないでしょ」
しかしやるにしても奴ら、どれだけ強いんだ?
どちらにしてもあの数なら2人じゃ厳しい
「あのー、ログアウトも出来ませんしアレを倒すのを協力してくれませんか?」
と、声をかけてくれたこの子は金髪で白いフード付きの服を着て杖を持ち、いかにも白魔道士っぽい容姿をした可愛らしい女の子だった
「数が多すぎて私達だけじゃ生き残れるかわかんないしね」
こちらはお母さんって感じ
濃いめの茶髪にフライパンとエプロン姿
ん?RPGだよな?
「マホが自分から声をかけるのは珍しいな」
そう言ったのはお父さん
腕まくりをしたワイシャツに下はスーツのバリバリのお父さんが警棒ような長い棒を持っている
ユ「願ったり叶ったりですよ」
メ「俺がメイセイ、こっちがユウっす」
この3人の武器と名前について
白魔道士さんは白井真穂
武器は杖とフード付きの服
それ、支給されたものだったのか…
お母さんは明智了
武器はフライパン
エプロンは逆に支給品じゃないの?
お父さんは的場元道
武器は警棒と魔導書(メモ帳)
もはや普通のサラリーマンですよ
マ「おふたりにお会い出来て良かったです!
こちらはほとんど後衛だったもので…」
ユ「こちらも前衛2人だったので本当に有難いです」
メ「話してる時間はあんまりなさそうだな」
自己紹介を済ましている間に敵が間近に迫ってきている
遠距離攻撃ができるプレイヤーはもう攻撃を始めている
メ「作戦は簡単、ユウが囮、俺がアタッカー
3人は回復役のマホを守りながら適時魔法で応戦
あと、ユウに1個だけやって欲しいことがある」
ユ「なんだ?」
メ「頃合を見て死んでくれ」
補足説明
リスト
腕時計型の機械であり、生まれた時に国から支給され付けられる
この中には本人の産まれてからの情報が全て入っており、その人の健康状態や病気の有無までインプットされている
端末と繋ぐことでサーバー上にダイブすることができ、サーバーの中でもリストを通じて様々な昨日が使え、ログアウトの時も使用する