神の王
ユ「にわかには信じられませんね…」
フ『その程度の認識でいい
認識しすぎると向こうの体に引っ張られてそちらの体が崩壊する』
ユ「恐ろしいこと言いますね」
フ『じゃから覚悟が決まったものだけ連絡してくるよう頼んだのじゃ
お主らのような優しい若者の未来を勝手にこちらの都合で潰したくはなかったからのう』
ユ「でも、認識しなければ問題は無いわけですよね?」
フ『そうじゃ
こちらの世界にあるお主らの体はリストからのデータを元にお主らを模倣した器に過ぎぬ
じゃが認識しすぎるとそちらのデータが全てこちらの体に吸収されこちらの体が完全に完成されるという仕様じゃ』
ユ「具体的にどういう認識をすればそちらに引っ張られるのですか?」
フ『それが何かはワシにもわからんが、過去そうなったものは大抵そちらの世界よりこちらの世界の方が居心地が良く好きだと答えた連中じゃった』
ユ「だから最初に私達に聞いたんですね」
フ『察しが良くて助かるのう
じゃが、例外も居たから一概にそうとも言いきれんがな』
ユ「例外?」
フ『そやつは自分の世界に戻るという明確で強固な意志を持っておったがこちらの神がそやつの存在を無理矢理留めたのじゃ
そやつが世界を救う鍵になると神の王が認識してしまったせいでな』
ユ「てことはフレイヤに認められた私達も危ないのでは?」
フ『いや、神の王はそやつという器を手に入れた
それ以上器を求めることはせんからお主らは一応は安全じゃ』
ユ「でもその人は望んでないのにそちらの世界に閉じ込められてるってことですよね?」
フ『その通りじゃよ
ワシも決して良しとは思っとらん
本当はそやつを助けてやりたいのじゃがどうすることも出来ん
ワシの目的はどちらかと言うと世界を救うと言うよりそちらの方が強い』
ユ「世界を救えば結果的にその人を救うことになると?」
フ『神の王は人間を全て地球から消した方が世界が救われると思っておる
今全ての魔族を操っておるのは神の王じゃ』
ユ「私達一般人でそんなのに勝てるとは思えないんですが…」
フ『今のままでは無理じゃ
じゃからお主らにもまた、神を宿してもらう
それがお主らを強くする方法じゃ』
ユ「それって私達もそちらの世界に閉じ込められたりしないんですか?」
フ『神の王は器をこちらの世界に留めるためにほぼ全ての力を使った
その上そもそも方法が特殊じゃからほかの神では出来んのじゃよ』
ユ「なるほど」
フ『この話を聞いたということは覚悟は出来ておるはずじゃ
明日から修行に入るぞ』
ユ「明日から!?」
フ『当然じゃ
時間はあるようで無いのじゃ』
ユ「分かりましたよ…」
フ『全ての魔族を操り人間を滅ぼそうとしている神の王、ゼウスを倒すことがワシらの目的なのじゃ
簡単に倒せる相手ではないから覚悟せいよ?』