表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
93/434

その93 遊園地を堪能!

■その93 遊園地を堪能!■


 ゴーカートは、遊園地の外周をぐるっと回るコースで起伏がある箇所や、森の中を走ったりもするので、人気があります。

 保護者組や双子君達は1人一台で走りましたが、主と桃華ちゃんは2人で一台。

梅吉さんは、ミラーハウスでの怒り?悲しみ?ストレス?そんな感情を爆発させて、爆走していました。

その後を、元気よく夏虎君・冬龍君と続いて・・・

主の運転する車は、起伏の激しいコースで、なぜだかクルクル回って止まってしまいました。

桃華ちゃんに運転を変わりましたが、今度は森の中で木に挟まりました。

心配で後ろを走っていた三鷹さんと笠原先生は、その度に車を立て直してくれました。

そして・・・


「「この二人に、免許はとらせない」」


と、それぞれの心の中で誓いました。




 フリーホールでは、垂直に自由落下している間に、梅吉さんが悲鳴と共に心臓も飛び出したんじゃないかと、錯覚を覚える程でした。

途中で円弧に沿って水平になった瞬間、青空が真上に見えて、「死んだ」と思ったようです。

そんな顔面真っ白の梅吉さんを、乗らなかった笠原先生はスマートフォンで録画です。

もちろん、青くなった三鷹さんも一緒です。

 双子君達は連続2回乗っても元気でした。

主と桃華ちゃんは、1回で満足したみたいです。




 定番のお化け屋敷では、梅吉さんがチームを作りました。

主・冬龍君・三鷹さんチーム。

桃華ちゃん・夏虎君・梅吉さん・笠原先生。

あまりの怖さに、双子君達は泣いて出て来ました。

主と桃華ちゃんは、カタカタ震えていました。


「桃ちゃん、今夜は一緒に寝ようね」

「桜雨、ナイスアイディア」

「「お姉ちゃん、桃ちゃん、僕たちも一緒に寝るー」」


 出口で先に出ていた主と冬龍君は、泣いている夏虎君と手を繋いでいる桃華ちゃんが出て来ると、一番に駆け寄って抱き合っていました。



 夕方にあるショーは見ないで、お土産を買う事にしました。

園内のお客さんの8割がショーに集まるので、お土産選びもゆっくりです。


 買ったお土産を持って、最後の観覧車は皆で乗りました。

夕日も落ちて、すぐ近くに園内の明かり、遠くに町の明かりが見えました。

皆で夜景を見ながら、今日の感想を言い合っていると、一周はあっという間で、ドアが開いた時には、双子君達は遊び疲れてぐっすり眠ってしまいました。



 帰りの運転は、笠原先生です。

真ん中の列では、梅吉さんにもたれかかって、桃華ちゃんがうつらうつら・・・そんな桃華ちゃんの膝を枕にして、夏虎君が寝ています。

後ろの席では、三鷹さんにもたれかかって、主もうつらうつら・・・右手は確りと三鷹さんと繋がっています。

もちろん、主の膝枕で、冬龍君が寝ていました。

 ラジオも音楽もかかっていない車内は、双子君達の寝息が良く聞こえます。


「梅吉兄さん・・・今日はありがとう」


 不意に、主が呟きました。

もう、寝言に近いですね。


「ん?」


 梅吉さんは、バックミラー越しに、主をチラッと見ました。

主、8割、寝ています。


(りゅう)()・・・いっぱい笑ってて・・・

私も・・・楽しかった・・・」


 言葉が、途切れ途切れなうえに、最後は完全に寝落ちです。

がくん!!と主の頭が落ちそうになって、三鷹さんがそっと支えながら膝枕をしてくれました。


「・・・うん。

良かった」


 主の言いたいことは、ちゃんと梅吉さんに伝わったようです。

梅吉さん、「お兄ちゃん」の顔でニッコリ笑いました。

 そして、自分に寄りかかっている桃華ちゃんを見ました。

桃華ちゃんも安心しきった表情で、梅吉さんに寄りかかって、完全に眠ってしまっていました。


「・・・お兄ちゃん、辛いよぉ・・・」


 小さく、本当に小さく呟いて、梅吉さんは桃華ちゃんの頭をナデナデしました。


「二人とも、もう少しで卒業だもんなぁ・・・」


 梅吉さんの呟きを聞いて、笠原先生はバックミラーでチラッと梅吉さんを見ました。

 三鷹さんは主の左手、冬龍君の背中に置かれている手を撫でながら、薬指にはまっているガラスの指輪を見つめていました。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ