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その114 新年の宴・体重を気にしては楽しめません

■その114 新年の宴・体重を気にしては楽しめません■



カァン・・・カァン・・・カァン・・・


 乾いた木の音が、雪の庭に響きます。

どんよりとした灰色の雲の下、黒い羽根と付けた小さく真っ赤な球が、右に左に沈んでは上がり、上がっては沈みを繰り返しています。

その下で、黒い子犬の秋君が、尻尾をフリフリ行ったり来たり。

 学校から帰宅した主達のお土産の羽根つきセットを見て、お昼を済ませて少しウトウトしていた双子君達は、一気に覚醒しました。

双子君達には食後の運動ですが、佐伯君と近藤先輩にとっては食前の運動です。


 今日は始業式。

皆、学校の後予定が空いているとのことで、主のお家で新年会を予定していました。

お花屋さんも喫茶店も、今日は定休日なので、主と桃華ちゃんの両親は主達が帰ってくると、そろってお買い物という名のデートに行きました。

 ので、皆で簡単なお昼を済ませた後、双子君達のお相手は佐伯君と近藤先輩にお任せして、主達女の子5人はエプロンを付けてお料理の準備です。

と言っても、ある程度の仕込みは前日から登校前までに終わらせていたので、仕上げをするぐらいです。

さすが、主と桃華ちゃんです。


「でも、東条先生か、水島先生が代表でやると思ってたんだけどなー」


 大森さんが、ローテーブルに取り皿やグラスを並べて、ダイニングテーブルには予備を出していきます。


「まぁ、笠原先生は、やらないのは目に見えていたわよね」


田中さんは、桃華ちゃんのサポートです。

お肉を焼く桃華ちゃんの隣で、受け更に乗せる野菜を切ったりしています。


「兄さんや水島先生が出たら、試合が面白くないからダメだって、最初から校長先生に言われてたみたい。

あ、トマトも切って欲しいな」


桃華ちゃんのリクエストに、田中さんは二つ返事で答えました。


「でも、B組担任代理が沢渡先生って言われた時には、ビックリしたわ」


大森さん、カウンターに並んだ出来立てホカホカの料理を味見です。


「い、言われた時もだけど、し、試合も、凄かったわね」


松橋さんは主のサポートで、使い終わったお皿や調理器具の洗い物です。


「剣道部顧問ですもの。

稽古は三鷹さんが付けているけれど、沢渡だって皆と一緒に稽古しているから」


主、それはデザートですか?デザートですよね?

生クリームののった苺パンナコッタと、餡子ののった抹茶パンナコッタは、お正月らしく少量の金粉が振りかけられました。

豪華!!


「でも、海外旅行は取れなかったわねー」

「修学旅行の意味、知ってる?

勉強のための旅行よ。

スポーツ科の誰かが将来、海外遠征する時には、来年の修学旅行がいい経験になっているはずよ」


大森さんもう一つ、鶏肉と野菜のオーブン焼きをつまもうとして、ピシャッ!っと田中さんにその手を叩かれました。


「国内でも、楽しいじゃない。

それに、海外っていっても、行き先は発表されなかったし」


桃華ちゃんが田中さんの準備した大皿に、焼き立ての牛肉をざざざざーっと盛ります。


「ただいまー。

あーいい匂い!」

「遅くなりました」

「ただいま」


 勢いよくリビングのドアが開いて、梅吉さん、笠原先生、三鷹さんが帰って来ました。

先生組は、お昼抜きでいままでお仕事だったようです。


「「お姉ちゃーん、お腹空いたー」」


追いかけるように、双子君達と佐伯君が入ってきました。

最後に、秋君が滑り込んできました。


「お邪魔しまーす。

本日はご招待、ありがとうございます」


ドアは閉まる暇なく、新しいお客様を通しました。

長身細身の奇麗系オネェ、理容師の店長の坂本さんが、両手にお酒を持って・・・


「ちわーす!今年も、よろしくっす!!」


金色のツンツン短髪と、怖い印象の緑のカラーコンタクトの入った三白眼の、修二さんの後輩、理容師の岩江さんは、買い物袋を・・・


「あけまして、おめでとうございます!

今年も、よろしくお願いします!!」


 主と同じぐらいの身長で、ちょっと癖のある黒のショートボブに、笑うと八重歯が見える理容師の高橋さんは、たくさんのペットボトル飲料を・・・

それぞれが差し入れを掲げながら入ってきました。

今日のお仕事は、もう終わりの様ですね。


「間に合った~」

「ただいまー」


続いて、両家両親のお帰りです。

一気にリビングが狭く感じるようになりました。


「さ、手を洗って、うがいをして来て。

始めましょう」


桃華ちゃんに促されて、お外から帰ってきたメンバーとお客様は、素直に洗面所に向かい、お母さん達はキッチンで買って来たモノや頂き物を主達と一緒に出していきます。


2台のローテーブルに、所狭しとご馳走が並びました。

・ミニトマトの和風マリネ。

・大きなシイタケのチーズ焼き。

・鯛とサーモンのカルパッチョ。

・ライスペーパーにハムを乗せてまいた、ピンク色の生春巻き。

・玉ねぎの肉味噌のせ。

・エビがタップリ乗った、コブサラダ。

・ニラ餃子。

・豚ヒレのローストポーク。

・白身魚とキノコのカルトッチョ。

・ちらし寿司。


デザートも、豊富に準備です。

・桃の花形をした、オレンジとリンゴの寒天。

・金粉がかかった苺と抹茶のパンナコッタ。

・お節で大量に作った黒豆を使った、黒豆プリン。

・鏡餅で作った、苺大福。

・紅白の肉球型白玉入り、フルーツポンチ。


それらを囲んで全員座って、それぞれに乾杯の飲み物を手にして、準備OKです。


「昨年も、皆さまには大変お世話になりました」


挨拶は、桃華ちゃんのお母さんの美世さんです。

美世さん、本当は旦那さんの勇一さんに家長として新年の挨拶をしてもらいたいんですが、喋らないんですよね、勇一さん。


「今年も、新しいメンバー含め、宜しくお願いいたします。

カンパーイ!!」

「カンパーイ!!」


美世さんに続いて、皆が声をそろえて乾杯しました。

さあ、楽しい新年会の始まりです!


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