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旭光の新世紀〜日本皇国物語〜  作者: 僕突全卯
第4章 宇宙戦争篇
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タイタン襲撃

2199年7月18日 地球 日本皇国 東京都福生市


 東郷俊亨・・・彼は「国際連邦宇宙軍月面方面派遣部隊」の一員として、日本皇国宇宙軍から出向中の軍人である。出向任期終了まで、月面に存在する地球外最大の宇宙軍基地「シャクルトン・竹取基地」に勤務することになっていたが、奇遇にも“連合女王の地球上陸を護衛する”という任務に動員されたことで、一時的に日本へ帰郷する機会を得ていた。


 そして彼は今、横田飛行場のある福生市の自宅にて、久々に会う家族と共に憩いのひと時を過ごしていた。


「お父さーん!! 飛行機だ、飛行機! 『シューティング(UF-4)・スター』だよ!」


 俊亨の息子である大輝、小学4年生である彼は、ベランダから横田飛行場の上空を見上げ、定期飛行点検を行う大気圏宇宙両用戦闘機「シューティング(UF-4)・スター」を眺めていた。


「お父さんも『竹取』であれに乗ってるんだよね?」

「ああ、そうさ」


 リビングのソファに座る俊亨は、コーヒーを啜りながら得意げに答える。大気圏宇宙両用戦闘機のパイロットである父の存在は、大輝にとって誇りであり憧れであった。


「まさか本当に急に帰って来られるなんてね。明日は何時に出るの?」


 俊亨の妻である優香はそういうと、コーヒーに合わせるケーキをテーブルの上に置いた。俊亨はフォークを手に取り、ケーキにそれを伸ばしながら答える。


「明日は宇宙漂流連合の視察団が帰る日だが・・・沖縄から東京へ移動した視察団が、夕方には宇宙港に到着するんだ。俺たちはそれに合わせて横田から離陸して月へ向かう」

「・・・そう、あっという間だったわね」


 優香は寂しそうな表情を浮かべる。わずか1週間足らずの帰宅であったが、彼女にとって、家族揃っての団欒の時間は貴重な思い出となっていた。


「なぁに、あと半年の赴任だ。その時は横田への異動が決まっているから、また一緒に暮らせるさ」


 俊亨はそう言ってニコリと笑う。軍人という職業柄、転勤が多いことは分かりきっていたことだ。子供の転校を避けるため、俊亨は単身赴任という形で様々な天体を渡り歩いているのだ。


・・・


東京都千代田区


 ほぼ同時刻、東京都千代田区の「帝都ホテル」には、複数の政府関係者の姿があった。絢爛なロビーの高級ソファに身を沈めるのは、外務官僚の庭月野だ。


「・・・ハァ、疲れた」

「全く。この1週間は気を張りっぱなしだったからな」


 彼は天井を仰ぎながら、同僚たちと愚痴をこぼしている。このホテルには今、沖縄から帰還した「地球視察団」の面々が宿泊している。彼らは明日、連絡船に乗って「東京・宇宙港」へと移動し、火星の女王府へ帰還する予定となっていた。

 女王ライザ以下、およそ40名の視察団員たちは、それぞれの自室で地球滞在の最後の夜を過ごしているのである。


「けど・・・国連と日本政府の思惑は上手く行っている。沖縄での台風が大分堪えている様だ」

「今回の視察で地球に来た向こうの役人たちは、もう2度と地球へ来たいとは思わないだろう」


 この視察には、国際連邦と日本政府の裏の目的が隠されている。それは地球を“理想郷”としか見ていないコロニー育ちの異星人たちに、自然環境の過酷さ、自然災害の恐怖を植え付けることであった。

 台風と酷暑が日本列島を襲う夏を、日程として選んだのもそのためである。結果として、日本政府の目論見通り、地球視察団の多くは地球の過酷さに疲弊していた。


「・・・」


 同僚たちの会話を聞いていた庭月野は、少しばかり思い詰めた表情を浮かべると、徐に立ち上がった。


「・・・少し外に出てくる」

「あ、ああ・・・気をつけてな」


 同僚たちは外に向かう庭月野を見送る。彼らは庭月野の様子に、わずかな違和感を抱いていた。



 夏と言えども、日が沈んだ後の夜は冷涼な風が吹き、心地良い涼しさがある。庭月野はネクタイを緩めると、大きなため息をついて夜空を見上げた。大都会・東京の眩い夜景とかすかな喧騒が聞こえてくる。その時、突如として彼の名を呼ぶ声が聞こえてきた。


「・・・ニワツキノ様?」


 庭月野が声のした方を振り返ると、そこには女王の侍女であるクーラの姿があった。2人は女王が地球に降臨する前から顔馴染みとなっている関係である。


「やぁ、クーラさん。どうしましたか、こんな夜更けに?」


 庭月野は咄嗟に作り笑いを浮かべ、クーラに問いかける。2人の会話は自動翻訳機によって瞬時に訳され、指向性音声によってそれぞれの耳へ届けられていた。


「・・・チキュウでの最後の夜が名残惜しくて、眠れなくなってしまったので」


 クーラは地球視察団の中でも、一際地球への憧れが強い人物であり、それは台風を経験しても尚変わることはなかった。庭月野はそんな彼女の様子を見て、かすかな罪悪感を覚えていたのである。


「クーラさん・・・地球はどうでしたか?」


 庭月野は思わず口を開く。その言葉は半ば無意識のうちに飛び出した言葉であった。クーラは首を傾げながら言葉を選ぶ。


「・・・やはり、私はこの星に住みたい。私たちの祖先が暮らした惑星『ライナ』も、かつては『チキュウ』の様に自然豊かな星だったと聞いています。災害も暑さも・・・この星に根付く人々の暮らしも、その全てが私は愛おしく感じるのです」

「・・・!」


 クーラはスッと目を細めて庭月野を見つめる。その瞬間、庭月野は心臓の鼓動が一際強くなるのを感じた。

 数ヶ月に渡る交流の末に、庭月野はクーラに対して特別な情を抱く様になっていたのである。


〜〜〜


同日 火星 首都・水龍 第4区


 その頃、14億の地球人類が暮らす惑星「火星」は未だ宇宙漂流連合による占領統治下にあった。だが、連合女王が日本滞在の最終日に行った会見で、1ヶ月以内に火星から撤退することを表明したため、民衆のデモ活動は下火となり、襲撃を受ける以前の日常に戻りつつあった。

 日系移民が多く暮らすエリアに、破壊された教会とその跡に建てられたプレハブ小屋がある。そこには教会の牧師と副牧師である角一郎とイツキが暮らしていた。


 イツキは今、プレハブ小屋の軒先で破壊された教会の瓦礫の片付けをしている。その時、買い物袋を抱えた角一郎が帰ってきた


「・・・あ、おかえりなさい。牧師さん」

「ただいま、 イツキ。またプレハブの外に出ていたんだね、気を付ける様に言っていた筈だけど・・・」


 角一郎はそういうと、彼女へ小屋の中に戻るよう促す。イツキは未だお尋ね者であるため、外出できない暮らしを余儀なくされていた。


「ごめんなさい、でも・・・今の私にはこれくらいしかできないから」


 イツキは申し訳なさそうに笑う。彼女は自分の自由が効かないことで、養父である角一郎に面倒をかけていることを心苦しく思っていた。


 その後、2人は食卓を囲む。襲撃によって自動調理器も破壊されたため、2人は仮説の水場で慣れない調理をして、下手な料理をテーブルに並べていた。


「これは・・・すこし焦げすぎたかな?」

「フフ・・・相変わらず不味いね!」


 角一郎は自らが作った野菜炒めの味付けに顔を顰める。その一方で、イツキはくすくすと楽しそうに笑っていた。

 角一郎はまだ、イツキの出生に関する事実を本人に告げていない。イツキもまた、そのことに関して追求する様なことはしなかった。それを聞いた瞬間、これまでの日常が無くなってしまうような気がしていたからだ。イツキは今までと同様に角一郎と教会で暮らし続けることを望んでいたのである。


 だが、そんな日常に再び影が忍び寄る。火星襲撃という序曲が終わり、新たな厄災が太陽系全域に降り掛かろうとしていたのである。


〜〜〜


2199年7月19日 土星


 地球から遥か彼方、太陽系第6惑星「土星」・・・地球人類が到達している最も遠い場所であり、神秘的な輪が特徴的な巨大ガス惑星である。

 「土星圏」には現在8千万の人類が居住している。主星は第6衛星の「タイタン」であり、厚い窒素の大気に覆われ、メタンの湖と川が広がるその星の大地には巨大なドームに覆われた7つの都市が点在し、7千万人が暮らしている。また第2衛星の「エンケラドゥス」に3つの都市が点在し、1千万人が暮らしていた。

 タイタンの首都「タイタニアス・フローズン・フィールド」は、開拓途上の土星圏の首都であり、宇宙漂流連合と地球人類が初めて接触した場所でもあった。


「・・・あれが第6惑星『サターナス』か」


 その人類居住圏の最果てに、数多の未確認飛行物体が忍び寄る。宇宙漂流連合軍第3艦隊の総司令、ゲルニード・アル・アンバーは眼前に現れた巨大なガス惑星を睨む。

 彼らが乗艦している旗艦「ラインズール」の周囲には、数多の無人戦闘艦が並走している。ゲルニードは第1艦橋の司令席から、兵士たちに指示を出す。


「第1、第2、第3戦闘部隊、第32航空艦隊を第6衛星へ向かわせろ。第4、第5戦闘部隊は第2衛星へ!」

「了解!」


 テンコー人であるゲルニードの指示に従い、艦橋勤務の兵士たちはそれぞれの部隊を動かしていく。有人艦はこの旗艦だけであり、他の艦は艦載機も含めてAIによって統制されていた。


「チキュウ人に我らの怒りを知らしめよ! 総攻撃開始!」


 彼らはタイタン、エンケラドゥスに狙いを定める。地球と宇宙漂流連合の新たな戦いの火蓋が切られたのである。


・・・


衛星タイタン 首都「タイタニアス・フローズン・フィールド」


 迫り来る艦隊、その船影は地球側も既に捉えていた。土星圏を治める行政庁舎の執務室には、行政長官である杉原善時を筆頭に、複数人の役人たちが集まっており、「国際連邦宇宙軍土星方面派遣部隊」の司令、アルフォンソ=デイヴィットの姿もあった。

 彼らは緊急対策本部を設立し、基地や各人工衛星から届けられる情報を集めていた。


『多数の未確認飛行物体が接近! おそらくは宇宙漂流連合の艦隊かと思われます』

『タイタンへは3個部隊、エンケラドゥスへは2個部隊が接近中!』


「・・・どういうことだ? チキュウでの交渉が決裂したのか!?」

「まさか! そんなニュースは来ていません!」


 彼らは相手方の目的を図りかねていた。だが状況は火星襲撃の時と非常に良く似ていた。地球からは何の連絡もないが、宇宙漂流連合は明らかに敵意を持って土星に迫っていた。杉原は緊張の決断を下す。


「アルフォンソ中将! 直ちに国連宇宙軍を出動させてください! 加えて地球へ緊急通信を!」

「・・・! 承知しました!」


 相手の考えがわからない以上、最悪の事態を想定して動く。杉原には戦闘出撃を命令する道しか残されていなかった。



 タイタン、およびエンケラドゥスの国連宇宙軍基地から、多数の軍艦や宇宙戦闘機が飛び立っていく。土星圏の各都市には非常警報が鳴り響き、同時に土星行政庁からの警告が届けられる。


『多数の未確認飛行物体が接近! 全住民は地下シェルターへ避難してください! 繰り返します・・・多数の未確認飛行物体が接近! 全住民は地下シェルターへ避難してください!』


 住民たちはパニックになりながらも、警官隊やドローンの指示に従って、緊急避難用の地下シェルターへ続々と避難する。その間にも、宇宙漂流連合軍第3艦隊は刻一刻と迫っていた。


・・・


タイタン重力圏内 宇宙空間


 宇宙漂流連合軍第3艦隊、そして国際連邦宇宙軍土星方面派遣部隊は、タイタンを望む宇宙空間で邂逅する。国連宇宙軍の艦隊司令である川上冬樹少将は、レーダーが映し出す圧倒的な敵戦力を目の当たりにして息を呑んだ。


「こちら国際連邦宇宙軍土星方面派遣部隊、貴艦隊を宇宙漂流連合軍とお見受けする。貴艦隊は地球人類の領域を侵害している。直ちに停船して引き返されよ!」


 地球側の旗艦である宇宙戦艦「松前」は、無線を用いて宇宙漂流連合へ撤退を要求した。だが、相手側からの返答はなく、両者の距離はぐんぐん近づいてくる。


「・・・まさか、本気か!?」


 川上少将は冷や汗を流す。その直後、眩いばかりの閃光が相手側から放たれた。直後、土星艦隊の所属艦である駆逐艦「初雪」の砲塔が爆発飛散する。


「宇宙漂流連合軍が発砲! 第2射来ます!」


 最初の1発を皮切りに、砲撃の雨が始まった。土星艦隊の戦闘艦が次々と被弾していく。


「・・・反撃せよ! 撃ちぃ方始め!」

「撃ちぃ方始め!」


 土星方面派遣部隊も反撃を開始する。川上少将の号令を合図に、各艦のミサイル発射筒が動き出した。それらはAIによって自動的に標的を割り付けられ、極超音速の速さで一斉に飛び出して行った。




宇宙漂流連合軍第3艦隊 旗艦「ラインズール」


 連合側も地球側の反撃を瞬時に察知していた。数多の宇宙航行ミサイルが飛来するが、艦隊司令のゲルニードは余裕のある笑みを浮かべていた。


「マズナーでの戦いで学ばなかったか・・・チキュウ人の攻撃など、無力!」


 ミサイルの群れは連合の艦艇に着弾する直前、何もないはずの虚空で次々と爆発していく。瞬間、衝撃によって可視化された電磁バリアが現れた。


「ハハハハッ! 良いぞ! チキュウの艦隊など踏み潰してしまえ!」


 ミサイルの波状攻撃など気にも留めず、連合軍は攻撃の手を強めていく。各艦の砲塔にエネルギーが収束し、粒子砲が一斉に放たれた。




国際連邦宇宙軍土星方面派遣部隊 旗艦 宇宙戦艦「松前」


「攻撃効果なし! ミサイルは命中せず!」

「敵艦艇に高エネルギー反応! 攻撃、来ます!」


 一方で、渾身の攻撃を軽くいなされてしまった土星艦隊は、混乱と動揺の最中にあった。さらに敵からの追撃も止むことはなく、荷電粒子ビームによる波状攻撃が始まった。


「駆逐艦『冬月』、被弾!」

「巡洋艦『シンシナティ』、大破!」

「駆逐艦『峯雲』、大破!」

「本艦第2艦橋被弾!」


「・・・なっ!?」


 旗艦である宇宙戦艦「松前」の第1艦橋には、各方面からの被害情報が次々と届けられる。圧倒的な彼我戦力差を見せつけられ、川上少将は愕然とする他なかった。




 時同じくして、土星圏に駐留している戦闘機部隊の「第61航空群」も、味方艦隊を援護するため行動を開始していた。無数に飛び立った大気圏宇宙両用戦闘機「シューティング(UF-4)・スター」、そのリーダー機を駆る坂本研二中佐は飛行隊を率いて、味方を嬲り続ける敵の艦隊に迫った。


『好き勝手しやがって・・・! ここは俺たちの星系だぞ!』


 第61航空群に属するパイロットの1人が激情を漏らす。彼らの前には国連宇宙軍が有するものとは桁違いに大きな宇宙船の艦隊が待ち構えていた。


『・・・戦闘準備(ロックアンドロード)! 第61航空群、攻撃を開始する!」


 坂本中佐は部下たちに戦闘開始命令を下す。彼はミサイルの発射装置に手をかける。各機には宇宙戦闘用の極超音速ミサイルが搭載されていた。


『デューク1・・・発射(Fox3)!』

『デューク3・・・発射(Fox3)!』

『デューク7・・・発射(Fox3)!』


 符丁のコールと共に、ミサイルが群れになって飛んで行く。火器管制AIによって目標を振り分けられたそれらは、マッハ55の飛行速度で連合軍艦隊へと向かって行った。そしてそれらのミサイルは次々と敵艦に激突する。


『・・・駄目か!!』


 坂本中佐は悲痛な声を上げた。彼の脳裏には為す術もなく敗れ去った火星駐留部隊の末路が浮かぶ。そして連合軍側も新たな戦力を発進させた。

 艦隊後方に控えていた宇宙航空母艦から、無数の無人戦闘機が射出される。それらはまるで蜂の群れのように不規則な軌道を描きながら、地球側の戦闘機部隊へ迫った。


『クソッ・・・数が多すぎる!』


 直後、宇宙空間で壮絶なドッグファイトが繰り広げられる。坂本中佐が駆るUF-4は4機の敵戦闘機に追い回されていた。


『隊長、援護します! デューク12・・・発射(Fox2)!』


 坂本中佐を援護するため、部下の1人が彼の機体を追い回す敵戦闘機に狙いを定める。そしてスペース・サイドワインダーと呼ばれる、宇宙空間での中近距離攻撃用ミサイルを放った。だが、攻撃はバリアによって弾かれ、有効打には繋がらない。


『こいつらもシールド持ちかよ!』

『デューク12! 後ろ!』

『え? うわあああっ!』


 直後、その部下が操縦していた機体は、敵のビーム攻撃によって爆発四散した。


・・・


衛星タイタン 首都「タイタニアス・フローズン・フィールド」 土星行政庁舎


 宇宙空間での戦闘、そして各方面からの被害報告はタイタンの土星行政庁にもひっきりなしに届けられていた。


「第61航空群、全滅です!」

「残存艦艇もあとわずか!」

「すぐに撤退させろ!」


 国際連邦宇宙軍土星方面派遣部隊の司令、アルフォンソ中将の怒号が飛ぶ。だが、大混乱の最中にある土星艦隊に対しては、まともな命令を送ることも困難となっていた。

 その直後、タイタニアス・フローズン・フィールドの上空にも敵影が迫る。都市を覆う巨大なドームに凄まじい衝撃が走った。


「敵の空襲です! 既にエンケラドゥスは壊滅状態!」

「ドームが破られるかも知れない! 我々も地下へ退避しなければ危険です!」


 アルフォンソ中将、そして行政長官の杉原に部下たちが決断を迫る。


「止むを得ない・・・! 全員、地下シェルターへ退避!」


 杉原は戦闘指揮を放棄する決断を下す。彼らは執務室の一角に隠された、地下シェルターに続く避難用スロープのハッチを開くと、胸の前で腕をクロスする体勢を取り、続々とその中へ身を投じていった。

 直後、大艦隊が首都の上空へ降りてくる。土星艦隊を一蹴した彼らは、地球人類の血と汗の結晶であるタイタン・エンケラドゥスの都市を破壊・蹂躙して行った。国際連邦宇宙軍土星方面派遣部隊を壊滅させた宇宙漂流連合軍第3艦隊は、タイタンとエンケラドゥスを占領し、地下に逃れていた避難民たちは順次発見され、虜囚の憂き目に遭うこととなったのである。

劇中における地球と連合の宇宙軍の兵装の違いについて補足です。

地球側…遠距離攻撃はミサイル、レーザー砲が主力、バリアなし

連合側…遠距離攻撃は荷電粒子砲が主力、バリア標準装備

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