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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

貪欲に喰うもの

作者: 雪河馬
掲載日:2020/01/23

それは生まれた時、何もない、ただ、ゼリー状の物体だった。


風が吹き地に落ち、土と微生物を食った。

それに意思が生まれた。


もっと食いたい。


それは土の中のミミズを食った。

ミミズの記憶も一緒に食い、動くことを覚えた。


それは這って移動を始めた。

移動しながら、触るものをなんでも食った。

そして食ったものの記憶を手にいれた。

食っただけ、それは大きくなっていった。


もっと食いたい。


ある日、それは猿を食った。

それの体は猿と同じになる。

猿の記憶も食い群れに混じった。

数日後、群れの猿を食い尽くし、その猿は再び歩き始めた。


またある日のこと、街のはずれで浮浪者が寝ていた。

猿は浮浪者を食おうとした。

しかし、大きくてなかなか食えない。

浮浪者は食われまいと抵抗する。

とうとう猿は体をゼリー状に戻し、浮浪者を包み込んだ。

浮浪者はしばらくするとぐったりとして、やがて動かなくなった。

猿は浮浪者を食い、浮浪者になった。

浮浪者の記憶も食い、人間の言葉を理解するようになった。


もっと、もっと食いたい。


「おい、そこの男。不審なやつだな。ちょっと止まれ。」


浮浪者は警官に呼び止められた。


「お前はなぜ裸なのだ。」


浮浪者は意味が理解できなかった。

なぜ裸ではいけないのだろう。

考えた末に浮浪者は警官を食うことにした。


浮浪者が巨大なゼリーの塊になると、驚いた警官は銃を発砲した。

しかし弾丸は体に虚しく吸収された。

浮浪者は弾丸を食った。

警官に弾丸を打ち込む。


心臓を撃ち抜かれた警官は血を噴き倒れる。

浮浪者はゼリー状の体で警官を包み込み、食った。

警官の記憶も食い、賢くなった。


「そうか、不審者は捕まるのか。」


警官は立ち上がり警官の服を着て歩き始めた。


もっと、もっと、もっと食いたい。


それから1ヶ月が経った。

街では失踪者が増えたが、それほど話題にもならなかった。

元から失踪者は多かったのだ。


警官は今では美しい女性になっていた。

女性はずっと女性だった。

そのほうが、男を食いやすいのだ。

でも・・・・

もっと、もっと、もっと食いたい。


ある日、女性は山奥の大きなホテルの前にいた。

女性は男に連れてこられたのだ。

もう、食ってしまっていなくなったが・・・。


このホテルには毎日いっぱい人間がやってくる。

食いたい・・・・・。


女性はホテルを食った。

ホテルの記憶も一緒に食って、女性はホテルになった。

ホテルの従業員にもなった。


それからホテルは、見つからないようにいろいろなところを転々として泊まり客を食った。

記憶も一緒に食った。

ホテルはどんどん大きくなっていった。


ある日のこと、ホテルは自分が食った世界地図を見ながら思った。

自分がいるのはこの島国だ。


この国を食ったら・・・・・。


もっと、もっと、もっと、もっと・・・・・・、全部食いたい。


どう考えても捕食者のスライムなのですが、もとネタは日本創世神話のイメージからなんですよ。

ヒルコとスライムって似てる気がします。

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