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蔡の報告
翌日
陳と羅が蔡の武館に着いた。
蔡は二人を歓迎した。
陳は秘伝書が奪われた事を蔡に話した。
「奪われたのは金の巻です。大会に怪しい者は来ませんでしたか?」
「いやあ。そう言った者はいなかった」蔡は答えた。
「汚い身なりの強い男が目についた位だ。龍と言う男だ」
「フム」陳と羅は考えこんだ。
「ま、ゆっくりしていってくれ」と言って蔡は部屋を出て行った。
「他に手懸かりはありませんか」伊と高が聞いた。
「今のところ無いです。が、銀巻は大覚寺にあるので寺が襲われるかも知れません」と陳は言った。
蔡は裏庭に出ると井戸を降りて行った。
洞窟を進むと大帝がいた。
「大会には翡翠拳を使う者は来ませんでした」蔡が言うと「そうか」と大帝は答えた。
「ただし、変わった男が決勝まで来ました」
「フム」
「それと気撃の使い手、陳と羅が訪ねて来ました。金巻の奥義が奪われたそうです」
「わかった。行ってよい」大帝が言うと「失礼します」と言い、蔡は去った。
「金巻の奥義と翡翠拳か」大帝は呟いた。