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出たな。


エドワルド殿下は、クイっと眉をあげて、陛下の方を見ます。陛下は、如何にもめんどくさいという態度を崩さず発言を続けます。


「お前に皆の負債を肩代わりするほどの資金はあるまい。全て絵空事であろうに。そうまでしての臣下の人気取りか。」


いや、そこを考えずに、私がこの計画を進めるはずがないでしょうに。


エドワルド殿下と私が口を開こうとした瞬間、謁見室のドア付近から声があがりました。


「その資金は、私の持参金から出ますの。問題ありませんわ。」


おや、ご本人の登場です。


フィリップ殿下に導かれ、今到着したばかり、という旅行着の女性がドアのところから、陛下の席まで近づいてきます。


簡易なドレスコートに実用的なブーツですが、女性の持つ気品を隠すことができません。


陛下と殿下の前まで、進み出ると、その女性は、軽く立礼します。


エドワルド殿下はさすがに一目見て誰かはお判りのようです。席を立って、女性の横に並ぶと、深々とお辞儀をされました。


「マーガレット様、お初にお目にかかります。この度はわざわざお越し頂き、誠にありがとうございます。」


フィリップ殿下と駆けつけた、マディソン国のマーガレット王女です。


「間に合ってよかったわ。こんなに楽しいものを拝見させていただけるなんて、エドワルド様、感謝いたしますわ。時代が変わるときを目の当たりにすることなど、滅多にありませんもの。」


エドワルド殿下は、マーガレット王女から目を離すと、陛下の方を見上げます。


「そうですね。今日我々は、タッパンの新生を目の当たりにしたのです。

国は生き物です。変わります。その変わろうとした社会を無理に押さえつければ歪みが出ます。

ナイアックの事件は、その歪みの顕著な例です。ナイアックは金を使って無理やり自分たちの好きなようにこの国を変えようとした。

そんなことをしなくとも、この国が変わる方法があるということを、陛下は臣下に示さなかったのです。

陛下、貴方はこの国をそういった希望のない国にしてしまいました。よって、貴方には為政者としての責任をとっていただかなくてはなりません。」


宰相が慌てています。


「殿下、何をおっしゃいます!」


殿下は、宰相を無視して、貴族たちの方を向きます。マーガレット王女が、エドワルド殿下に寄り添います。


ここです!ここで、貴族の支持が貴方にあることを示してくださいね!


「皆の者、ナイアックの件とまったく関係がなかった者もよく聞け。流れぬ水は濁る。変わらぬ者は置いて行かれる。日々の努力を怠るものが、いつまでも上に立っていられると思うな。これから私が創るのは、そういった国だ。

自分の位置に甘んじているものは、取り残される。そう心するがよい。」


貴族が一斉に返事をします。


「「「はっ!」」」


オッシ!!


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