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ルディ君とリリアちゃんが潜り込んできて、なかなか寝付けないベッドの中でつらつらと考え続け、私の計画はようやく形を成しました。


翌朝早々に家族会議です。


「先生、今度は本当にユークリス伯爵とつなぎをつける必要が出てきたわ。大丈夫かしら?」


先生は、またもやシラッとした顔で、


「はい。申し上げたとおり、ジョージアさんを通じて伯爵と連絡をとることは可能ですわ。ただ、奥様がどういった連絡方法をご希望かで、やり方は変えることが可能です。陛下に反旗を翻す目的で伯爵にお会いになるのですよね。伯爵をお仲間に引き入れるのですか?」


と、聞かれました。


「いえ、伯爵の立場かわからない以上、いきなり仲間になっていただくようなことはしないわ。伯爵には会う目的を申し上げたくないの。外に話しが漏れる可能性はなるべく潰していかなくてはね。」


先生は、全く問題ない、という表情です。


「では、ジョージアさんにスタイヴァサントに家出をしてきていただきましょう。その上で伯爵に迎えにきていただくということでいかがでしょう。」


私が先生に質問する前にリリアちゃんが返事を全てくれました。


「ああ、それがいいわ。どっちみちジョージアは、お母様からエドワルド様との婚約話しを無理強いされて、切れる寸前だし、(スタイヴァサント)に逃げてきたら、といったら彼女二つ返事よ、きっと。」


ああ、そういうことね。オッケーです。


「じゃあ、そこはリリアと先生にお願いするわ。」


先生が


「いつをご希望ですか?」


と聞いてきたので、


「早ければ早いほど。」


と返事をしました。これは問題なさそうです。


「パトリック、早馬でマディソンにいらっしゃるフィリップ殿下に手紙を届けてくれるかしら。今日中に書くから、明日には出発してほしいのだけれど。」


殿下がいかにうまくマーガレット王女を口説き落としてくれるかが、この計画の要となります。大丈夫かしら。


「承知いたしました。殿下からのお返事は受け取りますか?」


パトリックさんは、往復にかかる日程を考えているようです。


「いえ、その必要はありません。殿下にはじっくり取り組んでいただきましょう。」


パトリックさんは、いたずらっ子のような目をしています。


「では、5日で戻ってまいります。それまで事を起こさず待っててくださいますか?何事も見逃したくないので。」


はい、はい。本音は私たちに何か起きないか心配なのでしょう?

パトリックさんもすっかりスタイヴァサントの水に馴染んでますねぇ。


「バート、貴方たちは、スタイヴァサントの警備を強化してください。デュラント伯爵のようなことが起きないようにね。」


バートさんはすまなそうに、


「はい、奥様。昨日は本当に申し訳ございませんでした。ヘンリーとともに警戒を強化いたします。」


と、言います。


私はちょっと慌てました。


「いえ、責めているわけではないの。今回の計画も、前回のナイアック以上に危険なの。話が漏れたりしたら、一巻の終わりよ。そんな事にならないよう、より一層気を引き締めてほしいの。私たちの勝手で、皆をこんなことに巻き込んで申し訳ないけれど、お願いしますね。」


私は使用人さんたちに頭を下げます。


バートさんが、


「奥様!滅相もない!我々は、奥様が私たちにとってもより良い社会になることを目指していらっしゃることを理解しております。私にも娘がいるんですから。」


ミルドレッドさんがクスクス笑いながら付け加えます。


「それも三人も。私の姪も、奥様の学校が実現したらぜひ入りたいと意気込んでおりました。

奥様、銃後の懸念なくお進みくださいませ。」


まったく旦那様ったらどうやってこんなに素晴らしい使用人さんたちを集めることができたのでしょうね。


「では、よろしくお願いします!」


集まった使用人さんたちは、一斉に返事をくれました。


「「「はい!!!」」」


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