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「奥様、私聞きちがえませんでしたよね。婚約破棄とおっしゃいましたよね」


「ええ。なんでも、ローランド殿下が懇意にしていらっしゃる(嫌味たっぷりに)ロヴィーナ嬢をいじめたそうです。」


マーティアン先生の顔が、般若とトロル(あの髪の毛立ってる人形)になりました。


「そんな事を!黙ってお受けされたのですか?!」


「まあ、十中八九、ロヴィーナと浮気して、乗り換えたいからいちゃもんつけてきたんでしょう。リリアが、どうしても殿下が良いというのであれば、話は違いますが、そうでもないようですし、あれはいらないでしょう。」


マーティアン先生から般若が消えました。怒りのトロルが、驚きトロルになっています。


「ええと、奥様からそのようなお言葉を聞くとは・・・ 」


ガヴァネスは、それなりに子供達に愛着があるのでしょう、彼女の怒り具合からもそれは読み取れます。


「そもそも無理やりくっつける訳にもいかないでしょう。破棄以外選択の余地はありません。ただ、先生も、婚約破棄された場合、リリアの受けるダメージはご存知でしょう?」


先生の顔が真剣になりました。


「ご存知の通り、私の父は准男爵でした。田舎者ではありますが、私も社交界がどんなところかは存じあげております。ああ、リリアさんのご心痛もいかばかりかと・・・」


ここで私は、先生のお話を遮ります。


「本人は、伏せっておりますが、私たちは、そうもしていられません。痛手を最小限に、そして、今度こそより良い相手と結ばれるよう、早め早めに手を打ちましょう。」


驚きトロルが、驚愕トロルになりました。


「奥様!」


「いえね、夜会にいらっしゃっていたオークデール様たちは、ゴッホン、あまり当てにはならない様子です。そうなれば、主人がいないのですから、私がここは仕切らなくてはね。」


「はあ・・・」


「口頭だけの婚約破棄ですから、近々、国王陛下から正式の通達があると思うのよ。(貴族間の婚姻、婚約における法令第17条参照)まず間違いなく呼び出されるわね。正式婚約破棄か、勝手なことをした息子を叱って、婚約を続けさせるか、陛下はどちらに動くかしらね。」


「奥様、私は陛下にお目にかかった事がないので、噂でしか推測できませんが、愚鈍な方でも、不公平な方でもないと伺っております。殿下をたしなめられることもありうるのでは。」


しかし、ここは父親の情も計算に入れなくてはなりません。特に、王太子(第1王子よ。)と、第2王子をお生みになった先の王妃が亡くなり、第3王子の母である側妃が、数年前、正式に王妃繰り上げとなった関係上、この王妃に婚約破棄を懇願される可能性もあるでしょう。


「無理やり婚約を続けるだけの価値が、王家にも我々側にもあるとは思えないわね。あちらの落ち度での婚約解消をはっきりさせましょう。その上で次の相手を探すわ。こうなると、主人という後ろ盾がないのが痛いけど。変な申し込みが入る前に、こちらから打診できる相手がいればいいのだけれど。リリアには、心に思う方はいないのかしら。(ほら、幼馴染とかよくあるじゃん)いえ、そんなに真剣な話ではなく、心トキめいた、とかその程度よ。」


先生は、言葉を無くしつつあります。


「いえ、そのようなお話は。このところ、ルディが成人するまで、私が家を守ると言わんばかりに、領地経営などお勉強されていましたので。」


それはプロにまかせましょうね、リリアちゃん。


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