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深い反省の日々を過ごしています。


リリアちゃんの頑張りで、最悪の事態は免れました。


しかし、今回の計画は、策士策に溺れるの典型的な例だったと言わざるをえません。怪我人まで出してしまいました。


幸いヘンリーさんの肩に入っていた弾は、お医者様曰く、大きな血管や臓器を傷つけることなく、鎖骨のところで止まっており、無事、弾を取り出したそうです。それでも数日間ショックで熱を出してしまい、私たちは結構心配しました。ヘンリーさんは、現在は退屈そうにベッドに収まっています。


その間にも、私たちは、司法省の憲兵さんに、カーターがスタイヴァサントで盗みを働いたけれど、仲間の手引きで逃げ出したこと、逃げ出す途中に我が家の使用人のヘンリーを撃ったことを届け出ました。


数日後、司法省のお役人から、カーターがどうやら窃盗の相棒と仲間割れを起こしたらしく、争った後に川に落ちて行方不明であるという連絡が来ました。


デュラント伯爵からはなんの連絡もありません。おそらく、アッシュワースの取り調べで忙しいのだろうと推察されます。


スタイヴァサント家は、いつもの静けさを取り戻しました。


リリアちゃんやルディ君、先生も、いつもの様に、お勉強したり、遊んだり、お出かけしたりしています。


私だけが、どうしても出かける気にならず、家に閉じこもっています。


ヘンリーさんが怪我を負っただけでなく、リリアちゃんやエイミィさんだって、下手をしていたら・・・

いや、もし、リリアちゃんがお医者さんを一緒に呼びに行ってなかったら・・・


そんな考えばかりが浮かんで、ベッドから起き上がるのも一苦労な有様です。


ある晩、早々にベッドに入ってぼんやりしていると、ルディ君が寝室に入って来ました。


「お母様、今日もお休みのご本読んでくれないの?」


ああ、そういえば、このところ、冒険のお話がちょっと苦手になってしまい、リリアちゃんに読み聞かせをお願いしています。


ルディ君は、ベッドによじ登ると、


「お母様、また元のお母様に戻っちゃった?」


と悲しそうに言います。


そうか、お母様は、こんな風にお父様の死を嘆いていたのね。ああ、一体どこからがお母様でどこからが私なんでしょう。もう、何がなんだかわからない。私の論理だった頭は、どこへ行ったのでしょう。


ルディ君がお布団の中に潜り込んで来て、頭をグリグリくっ付けて来ます。


そうだよね、私が私でも、私がお母様でもルディ君に寂しい思いをさせちゃいけないわ。明日は、ちゃんと起きよう。まずそれからです。


翌日、朝からお客様がありました。


フィリップ殿下でした。


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