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デュラント伯爵を見送ると、今まで、ずっと黙っていた先生が発言しました。


「侯爵は、やはり殺されたのですね。奥様、大丈夫ですか?」


旦那様と交流のあった先生の方が、実際ショックを受けているように見えます。先生でさえ動揺を隠せないのであれば、リリアちゃんやルディ君に与える衝撃は大変なものでしょう。


「私は大丈夫。でも、リリアには黙っていましょうね。」


先生も頷いてます。


「・・・悲しみより、私はむしろ怒りを強く感じているの。」


旦那様が一人で悩んで、リリアちゃんの婚約もあって家族を守ろうと頑張って、一生懸命悪事をただそうと努力して、その結果がひとりぼっちの死だったことに、私は怒りを感じてます。


「旦那様の死が無駄なものにならないよう、なんとか 出来ないかしらね。

まずは、カーターあたりから、やれることを考えてみるわ。」


先生は、カーターに関して、思うところがあるようで、是非ともの参加を申し出てきました。


ええ、もちろん頑張りましょうね。





翌日、バートさんに尋ねると、カーターは、夜分遅く、グデングデンに酔っ払って戻ってきたそうです。辞めるとはいえ、使用人が泥酔して主家に戻るとは言語道断、あまりの素行の悪さに、早々に出て行くよう、申し渡した様です。


これはますます追い詰められましたね。現在カーターはバタバタと身の回りのものをまとめているようです。


「カーターは、今、一人なの?」


バートさんに確認を入れると、そこは抜かりなく、他の従僕が手伝いと称して一緒にいるようです。ふむ、ハメることは可能かしら。


「バート、先生を呼んできてくださる?それと、男手を二人ばかり。」


バートさんは、訝しそうな顔をしましたが、すぐに部屋から出ていき、先生と二人の使用人さん達とで戻ってきました。


「先生、申し訳ありませんが、この人たちと主寝室で、物音を立てずに待機していてくださいますか?」


先生は相変わらず、鋭く突っ込んできます。


「何か計画がおありなのですか?お聞かせいただいて、差し支えありませんか?」


「勿論です。カーターを罠にかけます。」


バートさんは、口をあんぐり開けています。先生ほど、このような状況には慣れていませんからね。


「バート、カーターは、旦那様を裏切っていたのです。このままではすませられません。詳しいことはまたあとで説明しますが、今は、私の指示通り動いてください。

まず、使用人達がなるべく、台所周辺や食堂で作業をするよう計らってください。午前中は旦那様の寝室や主寝室に近づかないようにしてください。掃除等は午後にお願いします。」


まあ、だいたい朝のうちは、台所周辺が忙しいので、一旦ベッドメーキングが済むと、使用人さん達があまりこちらの棟に出入りすることはないのですが。


バートさんは、おぼつかない声ではありますが


「承知いたしました。」


と、返事をしました。


「その上で、30分ほどしたら、カーターに付いている従僕に何か用事を言いつけて、カーターの側から離れるようにしてください。用事は、あまり長いものではなく、15分ぐらいで終わるものを考えてね。」


先生は、ここで、私の計画を見破ったようです。


「ああ、わかりました。カーターが何か金目のものを狙うとお考えなのですね。」


「そうです。おそらく勝手知ったる旦那様の寝室を狙うでしょう。私と子供達は書斎で待機するので、そこには入ってこれないでしょうし、主寝室にある私の装身具などを探す時間はありませんからね。旦那様の貴重品であれば、どこにあるか、カーターが一番よく知っていますから、そちらを狙うのは明らかです。」


先生は、どうやら頭の中で策を練りつつあるようです。


「私たちは、主寝室に隠れていて、カーターが忍び込んできたら、隣の侯爵様のお部屋に飛び込めばよいのですね。」


さすが。その通りです。主寝室と旦那様の寝室の間には、直通のドアがありますからね。


「先生、くれぐれも、カーターが言い逃れ出来ない様、タイミングを見計らってくださいね。」


先生はにっこり笑って


「おまかせください。」


と、返事をしました。


バートさんにも計画が読めたようです。


「奥様、私も先生とご一緒した方がよいのではないでしょうか。」


バートさんの騎士道精神、理解出来ます。きっと女性に危ないことはさせられないと考えているのでしょう。ですが先生は大丈夫。それに、バートさんには他にやってほしいことがあります。


「バート、貴方は他の使用人たちがうっかりカーターの邪魔をしないよう見張っていて頂戴。」


では、30分後に。


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― 新着の感想 ―
[一言] 公爵のざまぁも無残な死でなくていけませんね。楽しみな事。 公爵だから死なないって事はない。侯爵が死んでいるんだから。
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