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夕食時にバートさんに尋ねたところ、カーターは、夕方出かけたっきり、戻ってきていないそうです。カーターが誰にどこで会っているのか、殿下がちゃんとフォローしていてくれると信じましょう。


家族でくつろいでいると、バートさんが、ちょっと心配気な顔をして入ってきました。


「奥様、デュラント伯爵が至急お目にかかりたいといって、いらっしゃっています。先触れもなく、時間も遅いので、お断りしたほうが・・・」


ああ、やはり彼は何らかの形でこの調査に絡んでましたね。


「いえ、お目にかかるわ。大丈夫よ、また先生とご一緒するわ。お通ししたら、貴方は下がっていて頂戴。」


「承知いたしました。」


先生と一緒に応接室で待っていると、伯爵が案内されて来ました。バートさんが下がると、デュラント伯爵はすぐに話を始めます。


「夜分遅く申しわけございません、スタイヴァサント夫人。カーターが戻ってくる前に、ご報告をと思いましたので。」


私は思わずにっこりしてしまいました。


「貴方がこの調査に携わっているのを知っても私が驚かないと、確信していらっしゃるのですね?」


伯爵もにっこりしていらっしゃいます。


「聡明な貴方のことです。前回の私の訪問で、何か察してらっしゃったのではないですか?」


うふふ。お褒めに預かり光栄です。前回お会いした時、なんだかカマをかけられたような気がしていたのですよね。


「貴方が探りをいれてらっしゃるのは感じましたわ。殿下のために動いていらっしゃるのですね。」


伯爵は頷きながら、訪問の理由を話し始めました。


「カーターの跡をつけたのは、私の配下の者たちです。私はカーターに顔を見られているかもしれないので、追跡に参加はしていませんが、報告は随時受けています。

お陰様で、ナイアック公爵側のコンタクトが割れました。カーターは、アッシュワースと名乗る男と、先ほどまで酒場で話をしていました。アッシュワースという名前に心当たりはありますか?」


「街の店で、貴族へ送る品を買い付けて、支払っている人と同じ名前ですね。多分同一人物でしょう。彼らの話の内容は聞き取れたのですか?」


「どうやら、カーターは、就職の斡旋をしてもらうためにアッシュワースに声を掛けたようですが、けんもホロロに断られたようです。『スタイヴァサントにいるからこそ金を支払う価値があったが、首ならお前は必要ない』とね。」


そうなるのではないかと思いましたよ。愚か者め。


「そうですか。さて、今後カーターがどう動くかですね。こちらに戻ってきたいと頭を下げるのかしら。まあ、様子を見てみましょう。」


デュラント伯爵は、ちょっと心配そうに


「カーターの事、ここ数日探ってみましたが、賭け事と女で、結構な借金を抱えているようです。追い詰められて、バカな事をしでかすかもしれません。

もし人手が必要であれば、お申し付けください。信用のできる荒事が得意な部下を手配します。」


と申し出てくれました。しかし、今、滅多やたらに新しい人を増やしたくはないですね。


「ありがとうございます。また後ほどご相談させてください。それでは今、カーターは何をしているんですか?」


「酒場でやけ酒を煽ってます。戻ってくるまで、少し時間があると思いますので、奥方様とお話させていただこうと思ってまいりました。」


カーターに会う危険性を押してまで私たちに会いに来て話したいことといえば、旦那様のことと見ました。


「スタイヴァサント侯爵の死について調査をしたのは、私です。フィリップ殿下から、奥方様が、そのことについて、知りたがっていらっしゃると伺いましたので、私の知っている限りでお話できる事があれば、と、参上致しました。」


カーターが戻ってくるまであまり時間がないのであれば、回りくどいことを言っても仕方がありません。率直に伺いましょう。


「主人の死は、落馬事故に見せかけた殺人ということでよろしいのでしょうか?」



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