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カーターに殿下の馬を連れて来てもらったので、殿下のカーターへの面通しも終わりました。殿下は、無事王宮に戻られ、私たちは、恋する娘とそれをあまり快く思わない母親という役を使用人たちの前で演じました。


殿下からの連絡は、リリアちゃん宛てのラブレターにしてお届けくださるということになっています。ついでに言うと、殿下からは毎日のように手紙を届けていただき、リリアちゃんからはあまり返事をしない、ということにもなっています。


二日後、早速殿下からリリアちゃん宛てに手紙が届きました。封印されているので途中で見られたということもないようですが、カーターがこの家にいる間は、万が一を考えて、誰に見られても問題がないようになっています。

手紙には、いつも君のことを思っている、だの、会えない時間に、君への思いを育んでいる、だの、これぞラブレターというセリフが並んでいました。思わずリリアちゃんが顔を赤らめるほどです。


追伸に、


「僕は君を迎える準備はできているよ。」


とありましたので、明日の準備は大丈夫ということでしょう。(計画の進捗状況についてはすべて、追伸にということになっています)


翌日午後、カーターを書斎に呼びました。厄介なことになった時用に、バートさんにも来てもらっています。


「カーター、貴方は従僕の仕事をあまり好きにはなれないようですね。」


カーターはふてくされた態度で返事をします。


「私は、旦那様のお世話をする仕事を誇りにしておりました。今の仕事は私の力を発揮できるものではありません。」


あら、侍従として、そんなに高いスキルをお持ちだったのかしら。


「そうですか、でも、ルディにはまだ侍従は必要ないですし、このまま貴方にスタイヴァサントにいていただいても、宝の持ち腐れかもしれませんね。それなら他のところで侍従のお仕事を探していただいた方がよいでしょう。当屋敷では、貴方にふさわしい仕事はまだありませんから。

もちろん次にお仕事を探すための時間は必要でしょうから、来月までの給与はお支払いします。」


家ではもう仕事はしたくないようですが、お金は必要らしいですね。カーターがちょっと慌てています。


「いや、一ヶ月分の給与じゃやっていけませんよ。そりゃあ酷すぎます。故郷へ仕送りもしなきゃいけないから、少なくとも三ヶ月分はお支払いいただかないと!」


カーターの仕事具合に三ヶ月分の給料は払いたくないのですが、何時までも家の周りをウロウロしてもらいたくないので、さっさと手を打つことにしました。


「でも、帳簿を見ると、貴方の給与は、一ヶ月前借りする形になってます。ですから、三ヶ月分お支払いするにしても、来月一杯になりますよ。それまでにお仕事を見つける当てはあるの?」


カーターは自信たっぷりのようです。


「ああ、大丈夫です。私の技術があれば、どこの貴族でも雇ってくれますから。」


「では、推薦状を出す準備をしなくてはならないから、決まったら宛先を教えてくださいね。引っ越しの準備もあるでしょうから、今日から家の仕事はしなくても大丈夫よ。引っ越しの手順や日程は、バートと話しあってください。

では、今後の活躍を祈っているわ。」


「ありがとうございます。奥様もお達者で。」


カーターはいそいそと出て行きました。まあ、首になることはあらかじめ予測していたのでしょう。後は、殿下達次第です。


辞めるとなると盗癖が出る使用人などもいるので、バートさんに念押しはしておきます。


「バート、カーターがいたずらしないよう、 スタイヴァサントにいる間は、しっかり監視してね。」


「承知いたしました、奥様。」


さて、ナイアック側は、スタイヴァサントを辞めるカーターにどこまで価値を見出すでしょうかね?





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