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陛下は、冊子から顔を上げると(どうやら25ページをご確認いただけたようですね)ちらっと息子のローランド殿下に目をおやりになりました。殿下は、口をあけて、ただただ驚いています。まあ、相談女ロヴィーナに騙されるタイプの正義バカ(ローランド)なんでしょう。


陛下は苦笑いしながら、


「ローランド、お前からも何かないか?」


とおっしゃっいました。


「私は、与えられた情報を元に、正当な判断を下しました!何故、このよう事実の歪曲が起こったのか!情報源に悪意があったとしか思えません!」


殿下は、発言しながら、冷めた目で、ロヴィーナ嬢の方を見ています。形勢悪しということで、さっさと彼女を切って捨てるようですね。まあ、王子様に寄ってくる女の子は多いだろうし、ロヴィーナ嬢にこだわって陛下の機嫌を損ねないほうが賢い選択でしょう。風向き読めないほどのヴァカじゃないようですね。


「私を謀ったロヴィーナには、追って沙汰する、連れ出せ!」


ご自分の面目を保つためにも、厳しいご沙汰を出そうとするでしょうね。


「ローランド様!」


キーキーいいながら、ロヴィーナ嬢が、近衛兵に引き立てられて出て行きました。ロヴィーナ嬢のご両親が、その後を追います。


騒ぎが収まると、陛下が再び話始めました。


「つまりは、スタイヴァサント令嬢には、落ち度はなかったということでよいな。では、スタイヴァサント家の名誉は回復された、双方に落ち度はないが、両者の気持ちが離れたということで、婚約破棄、ということでよろしいかな。」


陛下が私の方をご覧になります。


リリアちゃんや先生には話していませんが、ここからが私の見せ場です。


「ありがとうございます、陛下。先ほども申し上げましいた通り、スタイヴァサント家は、婚約の取り消しには、異議一切ございません。ただしながら、破棄ではなく、無効をお願いいたしたいと思います。」


陛下とローランド殿下の顔に驚きが浮かびました。隣に立っているリリアちゃんも息を飲んでます。あり得ないって?いえ、ちゃんと歴史書と憲法全書で確認してます。あり得ます。


張り詰めた空気を壊すように、エドワルド王太子が、吹き出しました。


「ローランド!お前嫌われたな。破棄じゃなくて、全くなかったことにしたい、だってさ。」


それを聞いて、王妃のこめかみに、青筋が立ちました。えーえ、そこらへんの小娘が息子を振るなんておこがましいですよね。はい、はい。


「恐れながら、申し上げます。無効をお願いいたしましたのは、決して殿下との婚約に不服があったわけではございません。(私はどんな経緯か知らないけど)


むしろこのように素晴らしいご縁は、これからのスタイヴァサントには、望むべくもございません。(嘘です。殿下と結婚させるのいやです)


しかしながら、次期当主のルドルフはまだ8歳、成人するまであと10年もございます。主人なき今、ルドルフが成人するまで、スタイヴァサントを支えるのは、リリアの夫になる人物、それも早急に決めなくてはなりません。(まあ、そんなに急いで決めないけど。決まらないのはこっちの責任じゃないもんね)


婚約破棄となりますと、次を決める手続き、調査が長くなります。(そもそも3代遡って身元調査でしょ)


主人が亡くなって以来、私にはそのような手立てもなく、心を痛めるばかりでございます。日々鬱々と、喪があけましたら、(あと5ヶ月だよ!わかってるよね。)リリアとその夫がスタイヴァサントを支えてくれるのが、唯一の心の拠り所でございます。」


ここでローランド殿下と王妃の方を縋るような目で見つめました。


「殿下がすぐにでも侯爵家に入っていただけるというのであれば・・・」


いやでしょ。臣下に下るのやでしょ。王妃がお母さんになって以来、次期国王狙ってるよね。野心満々だよね。


ローランド王子は、慌てたように言い募ります。


「いや、まだ私は若輩で、すぐにも結婚というわけには・・・」


王妃もこのしり馬に乗ります。


「陛下、兄のエドワルド様のご結婚もまだなのに、ローランドを先に行かせるなど、申し訳なさすぎます。リリアさんにはすでに成人された方がふさわしいかと。」


陛下、これで四方八方丸くおさまりません?


「相分かった。ローランドとリリア嬢の婚約は無効、存在しなかったこととしよう。」


オッシャー!!


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